1産まれたままの私
「さて行くか。」
俺は徳永良夫36歳ふつうの一般的な会社員独身。
今日もいつも通りに出勤の為にアパートの階段を降りていたら、いきなり強烈な光に照らされて、盛大にスッ転んだ。
「痛っったー。」
前のめりに転んだのか肘やら膝をぶつけたが、階段から落ちた割には痛くない。
膝を擦りながら気がついた。
『え!俺裸じゃん!』頭パニックになりながら、とりあえず必死に『股間』を隠して周りを見た。
10代から30代の裸の集団の端っこに俺は居た。
「うわっ!」
「ええっ」
などと、声を上げてパニックになっている、『俺たち裸の集団』に周囲の白いフードを被った女の人達が優しく毛布を被せてくれてる。
欧米人の様な容姿の女性達、顔立ちは皆整っていて美しい。
そんな美女が、俺の所にも優しく毛布を被せに来てくれるのだろうと、ずっと待っていた。
そんな中、体を隠せて少し落ちついた他の連中に、白いローブの様な服を被った男達がネックレスを着けていく。
この人達、 毛布やネックレスを渡す時、胸に方手を当てながら軽くおじぎしてる。
『女の人も男の人もなんか所作に品があるな。』
まだ来ない毛布を待ちながら、そんな事を思いながら見ていた。
それにしても不思議な人達だ。
何で古風な格好してんだ? 中世みたいな。
鎧着ている人もいるし。
「全員の者に着けたのか?」
「はっ!全て滞りなく。」
あれ?
日本語じゃない。だけど言葉がわかる。
何で?
王冠被った豪華な錫杖を持ったチョビヒゲの男と、神官っぽい白いフードを着た男達の中で、割かし宝石が付いて偉そうな杖と、金の首飾り着けた初老の男が話してるのが聞こえた。
「では異界の者達よ、こちらに注目しろ!
では、陛下お願いします。」
騎士団長っぽい厳ついおっさんが大声で叫ぶと他の奴らも注目しだした。
日本語ではないけど、言葉は分かる。
何か重要な話をするみたいで、皆文句も言わず、黙って王冠被った人に注目してる。
ふと、俺は疑問に思った。
『皆大人し過ぎないか?』と、
そして
『俺まだフル○ンなんだけど』と。
だが俺は空気読んで我慢しとく。
今はたぶん言っちゃいけない雰囲気だ。
「近年、我が国では周辺諸国との争いが頻繁に行われている。
我が国の兵士として、これからの活躍に期待する」
は?
何言ってんだコイツ?
だが、それよりも
『何で他の奴等は誰も文句を言わないんだ?』
疑問に思いながら、とにかく『空気』に徹しとく。
…今、目立つのは危険な気がする。
「では、まず貴様達にステータスの確認をしてもらう。」
騎士団長っぽいのが変なこと言い始めた
「頭の中でステータス確認と念じてみろ!」
『なにをアホなことを』…と馬鹿馬鹿しく思いながらも、俺も念じてみる。
…ホントに出た。