08 魔王軍の行進 1
とても恥ずかしかった。2人同時に、しかもハモって入っていくなんて、、、
とにかく、カラノとかいう神について、聞いてみるとしますか!
「マルタさんは、なんの御用で此処に来たんですか?」
「ん、あぁ。ちょっとお前について話すために来たんだ。」
俺のこと? なんで俺についてを話すんだ? 何か企みでもあるのかしら。
「おぉ、マルタとニシヤマではないか! ところで、なんの用かな?」
「あ、どうぞ。マルタさんからでいいですよ。」
「え、いいのか? まぁ、お前がいるうちに話しておきたいからな。」
「マルタ、まさか、例のことかぁ!?」
「まさにその通り。例のことです!」
ん? ん? 例のこととはなんぞや。俺だけ知らないのか、くっそぉぉぉぉお! うるさいですか。すみませんね、うるさくて。
「まさにそう、こいつ、例のパロッコの店に行っていたのです!!」
え、ええぇぇぇえぁ! リンクみたいになってしまった。最後の謎の『あ』のせいで。そんなことより、何故知っているのか。まさか、俺をずっと監視していたというのか? あらヤダ、変態!
「くそぉっ、ニシヤマは誠実で良い奴だと思っていたのに、、、私の読みが間違っていたというのか。」
なんの読みだよ! って、俺はいつでも誠実で素晴らしいんですぅ。え? そんな人ならあんな店行かないって? 誰だってねぇ、ああいう休息が必要なんです!
「え、何の話ですか?」
「すっとぼけるなぁ! お前があの店に入っていくところを、俺はこの目で、大事なことなので2回言うぞ! この目で見たんだ!」
「だからそれが何だって言うんですか! 貴方達だってねぇ、そういう店に入ったことがあるでしょう。下界でも、天界、神界でも。」
「そ、そんな訳ないでしょう。ね、魔裟斗様もそんなことはねぇ。」
「も、もちろんそんなことはない!」
めっちゃ、声が震えてるんですけど、絶対入ったことあるなぁ、この2人。
「まぁ、これでニシヤマはそこまで誠実な人ではないと分かった。そんなに生真面目で誠実な奴だったら我々も困るのだがな。」
え、それってダメってことじゃなくて、良いのかしら? まあね、神様は誰だって誠実で、素晴らしいものだとか考えてる方が、おかしいんだよ。
「あ、そんなことよりニシヤマは、なんの用で来たのだ? 早く申せ。」
そんな急かすなって。えぇと、なんだっけ? ビックリし過ぎて忘れてしまった。
あ、そうそう、、、
「魔裟斗様は、カラノという神をご存知ですが?」
「カ、カラノだってぇ!?」
「ま、まさか、あいつが、、、」
{、、、おい、カラノって誰だ?}
{カラノは、だいぶ前に行方不明になった神ですよ。魔裟斗様も知ってるはずですが、、、}
小声で喋ってんじゃねぇよ! 自分の部下の名前も忘れるとか、こいつもなかなかだな。
「あの、担当になった世界、摩砕で、カラノさんだと言う人にお会いしまして、、、
その方によりますと、冥王の呪いによって、この世界から出られないのだと。だから助けて欲しいと仰っておりました。
そのことについて、魔裟斗様にご相談したく、ここへ参りました。」
「ほう、なんと! 我々どももそれを考えていたのだが、いくら探しても見つからんので諦めとったわ。もし、そいつが本当にカラノだとして、本当に摩砕に閉じ込められたのなら、冥界からの宣戦布告ということになる。そのようなことにはなりたくない。 そこで、マルタには、冥界の調査を。ニシヤマは、カラノだというものから、引き続き情報収集を頼む。」
「「はぁっ!」」
やはり、こういうことになったか。もぉ、なんでこういうのに巻き込まれやすいのかなぁ。今度病院行ってみるかぁ。
まぁ、とりあえず、自分の部屋に戻ってきた。なんか、この呼び方、変な気がするんだが。ようし、俺の天才的なネーミングセンスで、スンバラシィイ名前をつけてやろう。感謝しなさい!
ううんと、ええと、そうだ! 『パーム』だ! 凄い、なんか、悲しいなぁ。いや、とっても良いと思う、、、よね?
まぁ、そんなことより、カラノと名乗る奴についてを探らなければな。万が一、違った場合、下界のものは、神界に上げることは出来ないからな。お前もそうだって? いいじゃん、認められたんだし、、、
あ、魔王の1人、ミラニスがエルフの国に向かって進軍させてるな。もぉ、お願いだから、これ以上面倒くさいこと増やさないでくれよぉ。
そういえば、カラノと名乗る奴は、エルフの国にいるんだっけ。これは助けてやらんとな!
―――――はい、やって参りました。下界ですぅ。え? いつまでこの件やるのかって? そこは、言わんといて、、、
まだ、ミラニスの軍は到着していないようだな。魔王に攻められているというのに、皆呑気に遊んだり、酒飲んだり、、、 悲しくなってきたなぁ。
「あれ、ニシヤマさんではないですか。私をの呪いを解いてくれる気になりましたか? 魔裟斗様は、どうお考えなのでしょう。」
カラノさんかぁ。本当に本物なのか、見極める必要があるが、彼女を知っている人が見れば、分かるんじゃないか? ま、深く考えないでいよう。
「あぁ、魔裟斗様は、どうにかしてやりたいというお考えです。でも、そんなことより、此処エルフの国に魔王軍が攻めてきていますよ。こんな、呑気にしてて大丈夫なんですか?」
「魔王軍なら、もう既に確認しております。この国には、魔物が入れないように、結界を張ってあるので、恐らく大丈夫です。」
え、マジで。めっちゃ恥ずかしいんですけど、、、何が『呑気』だよ。もう、そこのごみ箱の中に隠れたい気分だわ。
「とりあえず、私の屋敷に移りましょうか。」
うぉ、でっけぇ! 馬鹿信徒会よりは、全然小さいけれど、そこらの建物とは、格が違う。
なんで、こんな建物に住んでるのか、、、
「さ、ニシヤマさん。こちらへどうぞ。」
「そういえば、カラノさんって、下界では何をされてるんですか?」
「あ、はい。この国の大名の1人をさせてもらっているのですよ。前、この世界に閉じ込められた時に、どうしようかと思っていたのです。そんな時に声をかけてくれたのが、防衛大名のハルでした。せっかくだから、人間達みたいに、結婚ていうものをしてみたんです。」
「もう、彼は死んでしまったし、私には子供を産めないし。だから、私が今、防衛大名をやらせていただいています。」
へ、へぇ。じゃあ、あの聖騎士団の最高責任者ってカラノさんなのか。団長の教育くらい、ちゃんとしてくれよな。そうか、罪を揉み消せるくらいの権力って、このことか。
ガチャっ
「カ、カラノ様っ。緊急事態です。け、結界が破られました!」
「な、なんですって!? 絶対に破れないはずなのに。急ぎましょう。ニシヤマさんも手伝ってくれますか? 私は、魔物を近寄らせない力はあるものの、呪いによって、神の力は出せないのです。なので、是非ともおねがいしたいのですが、、、」
いや、今はこの世界の担当の神だからな。手は貸すよ。何故、結界が破られたのかも知りたいし、、、
「いいですよ。しかし、援護をするだけ。実際に戦うのは、貴方達ですよ。」
こういうの、1回言ってみたかったのよなぁ。実は、ぶっちゃけると、神になったらやりたいことリストが、あるんよ。え? どうでもいいって? すみませんね。もう言わないからな。
「それは、重々承知しております。援護だけで結構ですので、よろしくお願い致します。」
「全兵士を広場に集めてください!」
「はっ! 承知しました!」
~1分後~
「全員揃いました!」
は、早いねぇ。この世界の軍隊は、優秀だねぇ。
「それでは、全戦力を持って、戦いましょう!」