07 エルフの国 2
よし、目的の場所へ着いた。何処とは言わないぞ? 絶対に批判されるであろう。
そう、可愛いエルフちゃん達とあんなことや、こんなことができてしまう場所、パロッコだ。あ、言っちゃった。てへぺろ!
俺は神だが、あくまでバイト。正式ではない。あ、でも魔裟斗の野郎に『新人はこれくらいでいい』とかなんとか。
ま、気にすることなかれ。いざ、レッツゴー!
~カランカランッ~
「それじゃー、また来るぜっ!」
「次の御来店をお待ちしております。」
お、誰か帰るみたいだな。俺が入った瞬間にだ。
あれ、見たことがあるような、ないような。
「あ、お前、この前の奴だ!」
「え、俺? あ、お前はさっきの俺が顔を吹き飛ばした聖騎士団の兵士か。俺になんの用かな? また、俺にちょっかいを出す気か?」
ま、ここは大人の対応をしていこうか。また、変なことに巻き込まれたくないからな。
「ちょっかいを出すために呼び止めたのではない。お前には、国家反逆罪で問われている。とりあえず、一緒に来てもらおう。まぁ、逃げることなんて出来ないがな。」
「え、それって聖騎士団の団長さんのご意向なんですかな? あの人は既に捕まっていたはずですが、、、」
「あの方はもう、聖騎士団の団長ではない。他の方が既に団長になったらしい。が、お前には関係のないことだ。さ、来てもらおう。」
なんか、くさいな。恐らく、裏で何かあるのだろう。この国の大名の誰かか、その他の種族の思惑か。
なのだとしたら、良い思惑ではないだろう。良いことならこんなことはせずに、普通に頼めばいい話だ。
大人しく、ついて行って真相をつきとめるのがいいだろう。
「いいでしょう。ですが。何処に行くんですかな?」
「もう一度言うが、お前には関係ない。大人しく着いてくれば良いのだ。あと、お前には目隠しをつけてもらう。場所が分からないようにな。」
目隠しか、くさくなる一方だ。
「それじゃ聖騎士さん、お勤め頑張ってください!」
「うん、頑張るよ!」
「いやぁ、絶対来そうな所で張っていたんだが、まさか本当に来るとはな。俺の感は凄いなぁ。」
ん? 絶対違うだろ。勤務時間にあんな店で遊んでいただけだろう。あの時は、熱心な人だと思っていたのにな。ガッカリだよ。
~しばらく歩いているが、なかなか着かない。普通は馬車とかに乗ったりするんだろうが、予想外のことだったらしく、用意されていないらしい。
「おい、あとちょっとで着くからな。用心しろよ。」
なんで用心するんだ? そんなにヤバい所に向かっているのか? ま、いざとなったら神界に戻ればいいので問題は無い。
「ようし、着いたぞ。もう目隠しを外していい。」
!?、何だこの建物、とにかく凄い。何が凄いかというと、ボロ過ぎるのだよ。何故、俺をこんな所に連れてきたんだ?
「例の男を連れてきました。中に入れてください。」
「なにっ!? 本当か! ささっ、早く入れ!」
ん、この声は、あいつの、、、 やっぱり俺を拷問するためなのか。でも、あの時この騎士が言っていたこと、嘘をついているようには見えなかった。
おお、凄い凄い。ボロ屋が切り開かれて、大きい階段が出てきた。凄い仕掛けだ。現代の日本の技術でもかなり難しいぞ? 多分ね、、、
「ようし、お前はもう帰って良い。そしてそこのニシヤマとやら、中に入れ。」
「はっ!」
ん? なんで俺の名前を知ってるんだよ、こいつ。気味悪いわ。
「どうした、早く入れ。」
「あのぉー、なんで俺の名前を、、、」
「そんなことは気にするでない。早くしろって!」
そんなに急かすなって。急かさずとも行きますよーだ。
中は思ったより狭いな。階段が大きかったから、それなりに大きい部屋があると思ったのだが。
「よく来てくださいましたね。心より歓迎しますぞ!」
誰ですかな、この方は。かなり裕福そうな身なりだ。大名の1人なのか? なんかただならぬオーラが感じ取れる。只者ではなさそうだ。油断は出来ないな。
「団長さん、あ、元団長さん。もう戻られていいですよ。新しい場所にも早く慣れて、また1からの人生頑張ってください!」
「ありがとうございます! 私の罪を見逃してくれたのみならず、今よりも素晴らしい環境を提供してくれて、本当に感謝しています。」
なんか、この団長さんさっきまでの人とは全くの別人みたいだ。罪を見逃す? 新しい環境とはなんなのか。詳しく話を聞いた方が良さそうだな。
「あなた、余計なことを喋りすぎです。早くおゆ来なさい。さもないと、今までの話はなかったことにしますぞ。」
滅茶苦茶に慌てて出ていった。そんなに大事なことなんだろう。こんなことが出来るのなら、かなりの権力者なのだろう。何故こんなことをしているのかも気になる。
「さぁ、やっと2人きりになれましたね。早速ですが、貴方が神というのは本当の話なのですか? 本当なら何故、こんな所に居るのでしょう?」
俺が神だってそんなこと言ったかな? あ、あの時団長に言ったな。あいつから聞き出した情報か。
「あと、一気に質問して悪いのですが、この世界の神はカラノ様で、カラノ様がもう居ない、というのはどういう意味ですか?」
本当に結構な量の質問してくるなぁ。悪いと思ってるならすんなよって話だよな! まぁ、答えてはあげましょうか。
ボクちゃん優しっ!
「俺が神だと言うのは本島だ。このエルフの国に居るのは、何となく、見に来ただけ。新しく、この世界を担当することになったから、色んな国を回ろうとな。カラノがもう居ない、というのは、さっきも言った通り、俺がこの世界担当するので、もう居ないということだ。」
「フーン、そういうことですか。実は言いますと、私がカラノなんです。」
え、マジで。俺は、先輩の神様にこんなタメ口で偉そうに喋っていたのか? めっちゃ恥ずいわ〜
「と言ったら、どうしますか?」
うわ、びっくりしたぁ! 驚かすなよ。性格悪いなぁ。
「何故、下界にいるのかと、聞くと思います。」
「ほー、そうですか。まぁ、本当なんですけどね。その質問に答えると、上界には、天界と神界の2種類がありますが、それの反対、地界には、地獄と冥界があるのです。その冥界の最高権力者、冥王によってこの世界に閉じ込められてしまったのです。
そこでお願いなのですが、この私にかけられてしまった呪い、貴方が解いてくれませんか?」
え、そんな設定が。いや、設定じゃねぇや。現実だよな。冥王が関わってるなんてなんかヤバそうなんだよなぁ。
これを解決できれば、カッコイイし、失敗すれば、魂ごと消されちゃいそうだし、、、
「どうですか? やってくれますか?」
「少し、考えさせて下さい。治神様と相談してみます。」
「そうですよね。直ぐに決断なんかできませんよね。それでは、この世界の時間で明後日の正午に、この場所で会いましょう。」
変なことに俺は巻き込まれやすい体質なのかなぁ。また、厄介なことになってしまった。とりあえず、神界に戻って、魔裟斗の野郎に相談しよう。あいつの言ってることが、本当かどうかも分からないしなぁ。
―――――ようし、神界、馬鹿信徒会の目の前だ。いつ聞いても、変な名前よなぁ、この神殿。
「「頼もぉぅ!」」
え? マルタさん? めっちゃハモったぁ!