05 可愛いお名前
「たのもぉー!」
!? びっくりしたァ! え? 俺の心の叫びにびっくりしたって? すみません、、、
今更だが、この部屋にドアがあったんだなぁ。!
「アラモス殿はいらっしゃるか! ん? 貴様は誰だ?」
え? 俺? 俺は西山薫36歳だぜっ。言葉にしないと伝わらないよね、そうだよね、、、
「ここの神様、えぇとアラモス様から雇われました、西山薫と申します。」
「雇われた、と言うと?」
「バイトとして、アラモス様の代わりに、この世界を経営しておるということです。」
「クソっ、あいつはまたさぼっていたのか。探しに行かねば。ちょっとお前もついてこい!」
何故、俺もついて行かなければならないのか。
そのような疑問を持ちながらも、俺はこいつについて行くしかないのだ。
あ、こいつの自己紹介を代わりにしてやろう。
こいつの名は、マルタ。とってもキュートな、名前だろう? でも、本人の目の前でその事を言うと、殺されるから気をつけろよ?
マルタは、あのへぼ神と同じ階級神武らしく、あ、神の階級についてを説明しないと。神は、神武>神宙>神河>治神というふうに、階級が振り分けられているらしい。
神武が最も最下層の神だということだ!
「勝手に私の紹介をするなぁっ! というか、なんで知っておる?」
ハッハッハ! 運営はなんでも知っている! メタいこと言うなって? 俺は常にメタ発言をしているのさぁっ!
どうこうしているうちに、なんかとてつもなくデカい建物に連れてこられたんだが。外装は、人間界で言うサン・ピエトロ? って感じかな。分かりにくいか!
内装はと言うと、、、もういいって? 最後まで言わせてくれよぉ。
意地でも最後まで言う。壁全体が白く、天井には、どこかの神殿にありそうな装飾が施されている。人間界で言うと、モン、、、なんだっけ?
「ふざけているでないっ! ここは、治神の魔裟斗様がいらっしゃる、大神堂馬鹿信徒会だぞ?」
なんとも日本人っぽい名前だなぁ。子供っぽい見た目だし。それにしても大神堂の名前が酷すぎる。フーリッシュも、ダァムも英語で馬鹿に近い意味だったはず、、、
「おお、マルタではないか。ん? その者は誰だ? アラモス殿を連れて参れと申したはずだが。」
「はい、申し訳ありません。アラモス殿は、既に逃走していたらしく、この者が雇われて、《地球》を運営しているそうです。」
「ほう、その雇われた者。名はなんという?」
雇われた者ってやめろっ! なんか変な感じがする。そなたとかで良いだろ!
「西山薫と言います。以後、お見知り置きを。」
「ほう。《地球》の日本とかいう国の人の名前に似とるなぁ。しかも、人間臭いのは何故だ? まさか、下界から連れてこられたりしてないだろうなぁ?」
は! 見た目とは裏腹に、鋭いなぁ。人間というのは言っといた方がいいのか? 言って下界に戻されても困るし、、、
「あのぉ、マルタ様には席を外してもらいたいのですが、、、」
「何故だ?」
「魔裟斗様に大切なお話があるのです。駄目ですかぁ?」
「まぁ、いいだろう。マルタ殿はもう行っていいぞ。」
よし、これで邪魔者はいなくなった。
「とても大切なことなのでしっかり聞いてください。実は私、魔裟斗様が仰った通り、下界から連れてこられた人間なのです。」
「え、もう1回、言って貰えないか?」
「何度でも言いましょう。私は、下界から連れてこられた人間なのです!」
「じゃあ、戻してあげましょう!」
そう来ると思っていた。ここは条件攻めをしよう。商売の基本だ。
「こうしましょう、アラモス様は、仕事をちゃんとしない方なのでしょう。代わりに私が素晴らしい仕事を成し遂げてみせます。なので、私を下界には戻さないでくれますでしょうか?」
「うーん、そう言われてもなぁ。」
よし、あと一押しだァ!
「アラモス様の分まで精一杯頑張りますので。」
「まぁ、いいだろう。その代わり『地球』は、他の神に任せる。ニシヤマは、魔砕という世界を担当とする。」
え、何その世界。でも何だかオラワクワクスッゾ!
「この世界はニシヤマの世界で言う、中世くらいの文明レベルだ。初めての神にはこれくらいがちょうどいい。」
「とりあえず、摩砕に行ってみるといい。」
―――――はい、やって参りました。摩砕ですぅ。いつ聞いても、厨二病チックなんだよなぁ。
今、俺が降り立ったところの近くには、右に森、左に村がある。村に行く以外にやることは無い。
1つ予想外だったことがある。村が壊滅状態だったことだ。一体何があったというのか。あ、魔裟斗の野郎にこの世界の事情を聞いとくべきだったな。
「ZZz… ZZz…」
こんな壊滅状態だと言うのに、呑気に眠っている奴がいる。どんだけ神経が図太いのか、、、え? お前が言える立場ではないって? 気にしない、気にしないっ!
こいつを起こして事情を聞くとするかぁ。
「おい、そこのお前。おい、起きろ!」
どれだけ揺さぶっても起きないとは。俺より酷いな。こうなったら力ずくで。
バチンッ!
思いっきり、平手打ちをしてみた。!? これでも起きないとは。ある意味才能だな、これは。
なら、
ボォォォォア!
「アッチィー! なんだ、なんだ! 魔物の襲撃かぁ!? ん? あんたは誰だ?」
「それは知らなくていい。それより、この村はどうしたんだ? なんで壊滅してるんだ?」
「そ、それは、オラがうっかり爆発させちまったんだ。」
爆発? 今の科学レベルじゃあ、爆発はそう簡単に起こせないはず。魔法かなんかがあるのか?
「爆発? どうやって?」
「爆発って言ったら魔法しかねーだろ? それ以外に何があるって言うんだ?」
やっぱり魔法があるのか。かなり厄介な世界かもしれないな。
「何故、爆発してしまったんだ?」
「オラが寝ている間に魔物が襲撃してきたってんだ。村のみんなから言われて、殲滅してくれって。オラがこの村で1番強いからなぁ。だからいいとこ見せようと張り切ってたら、こうなっちまっただ。」
うん、馬鹿だ。断言出来る。
そしてこの世界について色々なことをこの馬鹿から聞いた。馬鹿でも、この世界の事情は分かるらしい。
この世界には、3人の魔王がいるらしい。この世界の1/3を魔王の3人で均等に土地を分けて、治めているらしい。その他は、人間、エルフの領地らしい。
だが、魔王の中の1人、ミラニスがでしゃばり始め、人間の領地にも、魔物が攻めて来ているのだとか。
RPGみたいな世界観だ。
「1人でぶつぶつ言って、どうしたんだ?」
どうしたもこうしたも、画面の前の皆に向けて言ってる以外に何がある?
「とりあえずオラは寝るぞー。おやすZZz..」
寝るの早っ! 俺でも10秒はかかるぞ! それでも短いって?え、俺ってそんな早いのぉ!?
神界に戻りますかぁ!
――――はい、戻って参りました、白い部屋。この白い部屋は、各世界にひとつあるらしい。
「なんでやねん!?」
うわ! 久しぶりに聞いたわ、そのツッコミ! やっぱり意味が分からんわ。