04 後輩の死 2
「早く、下すんだよ! 天罰を!」
日に日に酷くなっている。こいつは、なんなんだよ! そこまで、天罰を下したいなら、自分でやれっ!
「それはいいですね!」
まずい、やっぱ、やめろっ!
まぁ、今は、下界にいるんだがな。何故かって? 会社を確認したいからな。先輩方もね。
会社も大きくなったなぁ。入社当時は、中規模会社程度だったのに、今では、大企業だ。やっぱり、俺のおかげかな! 、、、いいだろ、少しくらいそう思っても、、、
会社のオフィスだ。あれ、改装するって辞める前に聞いたような気がするんだが、止めたようだ。前と全く変わってない。変わったのは、人だけか。
一応、俺をどん底まで引きずり落とした3人を紹介しよう。
脳筋こと、神崎大和42歳。彼は頭が全く回らず、力で物を言う、社会で1番要らない部類の人間だ。
2人目、浜松剛43歳。能力が高いとは言えないものの、かなりの努力家で、頑張れば課長までいけるレベル。あ、上から目線なのは、気にしないでね?
3人目、酒谷涼39歳。この中で、1番若い。しかも、まとめる能力、機械関係にも長けている。社会が求めてるのは、こういう人材だ。
あれ、酒谷涼が居ないな。まさか、クビになってたりして、、、 それはないかぁ。
~12時間後~
何故、時間を置いたって? そりゃ、出勤時間だと、人が多すぎるからな。先輩方は、今日、残業らしいし。
え? その時に、下界に降りれば良かったって? まぁ、確かに、、、馬鹿とかいうな?
とにかく、あの2人を観察しますか! 覗き魔とか、やめろっ!
「ふぅ! 今日も残業かぁ!」
「神崎、うるさいぞ、静かに仕事出来ないのか?」
「出来ましぇーん」
はぁ、この先輩方は、いつになっても変わらないなぁ。
「なぁ神埼、あの事、覚えてるか? あの、生意気な後輩上司よぉ。」
「あ、覚えてる、覚えてる! 俺達で潰した奴だよな!」
「声がでかいぞ! 誰かが聞いてたらどうすんだよ。」
あぁ、やっぱりか、知ってたけど。
じゃあ、あの後輩はなんだったんだ。知りたいが、何か、聞きたくない気がする。
「あいつ潰すために、1人、殺っちまった後輩、いたじゃん。明日、そいつの命日でさぁ、社長が行ってやれって言うんだよ。」
やっぱりか、予想はついてたがな。さすがにそれは許せない。俺のせいで後輩を巻き込むことになるのを防げなかった自分も、関係ない後輩を死に貶めた、あいつらも、、、
いつもは穏やかで、格好いい俺でも、怒りで顔にシワが一本、、、 元々シワくちゃだって? そ、そんなわけないだろぉ!?
「今の話、詳しく聞かせてもらおうか。」
「お、おい。な、何でお前がここに居るんだよっ! 警備員はどうしたんだ! こんな汚いホームレスなんか入れやがって、頭おかしいのか!?」
「警備員は、明日の朝まで起きないよ。それより、俺の質問に答えてもらおうか。」
「ヤバいんじゃないか? とりあえず、警備員を呼ぼうぜっ。」
ヤバいのはお前の頭だよ。マジで、どんだけ頭弱いんだよ。今の発言で分かるだろぉ、いや、分かってくれぇ。
大人しく、俺の質問に答えるわけないだろう、これだけは断言できる。こう言う時は、俺の力を見せつけるに限るな。お前の力じゃないって? いいだろ少しくらい夢見させてくれよぉ。
ほうら、何故そこにあるのかは知らないが、浜松が鉄の棒を振りかざしていやがる。
「死ねェェエェ!?」
バンッ! バンッ!
この力で、爆発を起こしてみた。力の見せ方で最も簡単な方法だ。
初めてだったから神力の使い方が良く分からなかったが、したいことを強く思い浮かべて、お腹の辺りに力を入れると使えることが分かった。
あ、罪のない観葉植物に巻き添えを食らわしてしまった。ごめんよォ、植物ちゃん。
浜松も、あまりにびっくりしたせいか、腰を強く打ってしまったようだ。痛そうだなぁ。
「なんなんだよ、お前。爆弾でも仕込んでいたのか!?」
「残念でした。僕は、神になったのだよ!」
「ん? え? なんだって? よく聞こえなかったが、なんて言った?」
「神になったのさぁ!」
「お、お前、ついに薬物まで手を出したのか。やっぱりだ、お前を潰したのは正解だったんだ。」
「本当さ、その証拠を見せてあげよう。」
スっ、スっ。ん? 鳴らないんだが、指パッチンが。クソォ。
パチンっ
よっしゃぁぁ、鳴ったぜ!
その瞬間、神崎の体が、地面から4cm浮き上がった。しょぼいとか言わんといて! 浮くだけでも凄いんだからな?
「あ、俺、空飛べるようになったのか!?」
こいつ、どんだけ馬鹿なんだよっ。飛べるわけねぇだろ、、、
「そ、そんな子供騙しに俺が引っかかると思ってるのか? 俺は、そこの馬鹿とは違うんだよ!」
「それだから俺は、お前が嫌いなんだよ。いつもいつも、俺を馬鹿にしやがって。どれだけ俺が苦しんだか分かるか? 新米が俺より先に昇進して、俺は昇進出来ないのは何故か? どれもこれも、お前のせいなんだよ!」
「そんな人のせいにしてるようじゃ、いつまで経っても昇進できず、定年迎えるんだな。その苦しみは、俺に負けた悔しさだろ? それなら俺を負かして見れば良かったじゃないか、あんな卑怯な手を使わずに。俺を超えられてないから、今も昇進できず、ここのオフィスにいるんだろ? さ、早く俺の質問に答えろ!」
「うるさい、うるさい! そんなに知りたいなら、力ずくでやってみろ! それこそお前の終わりだぞ!」
力ずくかぁ。それもいいが、事情を聞いてから、天罰は下したいところ。
バンッ、バンッ、バンッ!
「お前は賢い男だ。言ってしまえば、俺はすぐに帰る。まぁ、内容によるがな。これが爆弾ではないと分かってるだろ? 自衛隊に居たお前ならな。」
「う、うぅ。分かった、分かった。答えてやろう。後輩が謎の死を遂げたのは、俺がそう、うながしたからさ。あいつ、本当に死にやがったよ。馬鹿っかだなぁ。でも、これだけはわかって欲しい。全て、計画したのはあ、あいつだよ。酒谷涼だ。」
「酒谷は、どこに行ったんだ?」
「あいつは、仕事をこなして部長まで上がったよ。俺達を使って、お前を落とし、自分だけいいように仕向けたんだよ。」
んー、部長になったのか、あいつ。周りを見て回っていたが、あいつは居なかった。恐らく、帰っているだろうなぁ。
呼びますかぁ!
パチンっ
今回は、一発で鳴ったよォ!
「ん? なんで会社に居るんだ? 俺は家に帰ったはず、、、 !? な、なんで、西山の野郎がここに居るんだよ! お前ら、こいつが何故居るか知ってるか?」
相変わらず、生意気な奴だな。こいつもいつかは、潰されるんだなぁ。
「お前が計画したのか? 俺を潰す計画を。その中で、あの後輩を使ったのか?」
「あぁ、そうさ。俺が全て計画したさ。あいつは不幸な奴だよ。お前が素直に辞めていたら、あいつは死ななかった。ほぼ、お前が殺したようなものさ!」
は? そんなことないだろ! 人としてどうなんだ?
「早く、警察に出頭しろ! さもないと、」
「さもないと?」
馬鹿って聞き返すよなぁ。わかってると思うが、神崎な。
バンッ バンッ バンッ
書類を吹き飛ばしてしまった! 誰のか知らんが、マジでごめんなさい、、、 明日の会議で使う? 頑張れ!
「今度は、お前達の頭を吹き飛ばすぞ? 出頭しろ。」
「警察に行った所で、証拠不十分で、釈放される。だから。行っても意味無いさ!」
それはもっともな意見だなぁ。この力にかかれば、証拠なんかつくれるんだよなぁ。
「そこの所は大丈夫だ! 問題ない!」
ということで、この3人は実刑判決を受けた。展開が無理矢理すぎるって? 仕方ないさ!
神の世界に来てるんだから、後輩に会いに行けるんじゃね? 今度試してみようかな。