09 魔王軍の行進 2
「フハハハハッ! ついに、私が世界を制する日が来たのだ! この、エルフの国さえ、落とせれば、もう、こっちのものよ。人間なんてチョロいものだ!」
ミラニスは、そんなことを言いながら、一角獣に乗っていた。
「ミラニス様! エルフの国、エリークが見えてきました。如何なさいますか?」
「モチのロンで、突撃だァ!」
「「「はっ!」」」
おお、結界だなぁ。やっぱり、あいつが言っていた通りだったのだ! あいつを頼っていたのは、間違いではなかったのん。これを使って、、、
「はぁぁ、絶対的結界破壊! どうだ。あいつから教わった技なのだ!」
「皆の衆! 改めて、突撃じゃぁ!」
「「うぉおぉ!」」
一方、その頃、、、
「あれ、ミラニスの軍隊の奴ら、俺達に気づいていないのか?」
「それはですね、私の力で周囲の背景に溶け込んでいるからですよ。ここから、不意の攻撃をするんです。」
ほう、なるほどな。今、門の前に軍が立っているから、ミラニスの軍隊も中に入れないのか。
ほうら、なんか騒いでいるぞ。
「あれ、なにか硬い壁があります。なにか歪な形、、、 エルフです!」
気づいた時には、もう遅い。残念だったな。
「弓部隊、前方に矢を射るのです!」
ピュンっ! ビュンっ!
矢が一斉に放たれた。ミラニスの軍の前方がほぼ、壊滅状態だ。息はしているものの、使い物にはならないだろうから、生かしていても、良いか。
不意の攻撃にビックリしていて、ミラニス達は、硬直状態になっていた。
そこにすかさず、
「第1魔道士部隊、攻撃開始!」
よ、容赦ないなぁ、カラノさんは。俺ですら引いてしまうレベル、、、
「「「火炎球!」」」
前方で倒れていた魔物達が焼け死に、後方の魔物達がほぼ、壊滅した。
残りの魔物は、数える程しかいなくなっていた。あと、ひぃフゥみぃ、、、41匹ですな、ミラニスも合わせてね。
というか、俺の出番なかったのね。悲しいなぁ。いつ戦っても大丈夫なように、ストレッチしていたのに。
「魔王ミラニスさん。大人しく、降参してください。」
「私が、降参なんてしないに決まってるでしょ。私の力だけで充分なのだ。私の秘技を受けてみよ!」
「死欲増化!」
なんか、さっきから、ミラニスから出る、技の名前が厨二病臭いんだが。かなり子供っぽい見た目だから、そういうお年頃なのか?
グサっ! グサッ!
!?、こちらの軍隊の皆が、自分に剣を突き刺して、、、 どうなっているんだ? ま、まさか、今の技のせいか?
「ハッハッハ! 私の技を見たか! これは、受けた人の自殺願望を急激に上げまくる技なのだ! 受けたらそれが、最後になるのだ!」
う、まずい。こちらの軍も、壊滅してしまう。何とかしなくては、、、
「ニシヤマさん、呪いを解けますか?」
あ、俺何もしてないし、これくらいしてあげるか。て言っても、出来るかな?
「はぁぁ、とりゃぅっ!」
滅茶苦茶に変な掛け声になった。凄く、恥ずかしいのだよ。いつもカッコつけようとすると、こうなるのよな。
まぁ、結果的に呪いは解けたんだからいいけど。多分解けたと思います。え、まだ殺ってるよ。なんで解けんの?
「そんな簡単に解けるわけないのだ。冥、あの方に教えて貰った技のひとつなのだからな!」
こいつ、滅茶苦茶に馬鹿だ。もう、言ったも同じよ。冥王でしょ? そりゃ、解けないわけだよ。
でも、なんでこんな世界の魔王なんかに、手を貸しているんだ? あ、力を封じた神なら、下界では、殺せるんだっけ。だから、この国に最初に攻めてきたわけだ。
あーあ、もう、こっちも壊滅したよ。俺と、カラノさんしか立っていない。皆、自分で自分を刺して、皆死んだよ。皮肉なものだねぇ。
めっちゃ、調子に乗ってるなぁ。あの魔王。マジでウザイんだが。
「あの子、とてもウザイので、ニシヤマさん、殺してくれませんか?」
「ん、あ、良いのか? 何か、聞き出したりしなくて。」
「大丈夫です。もう、あの子は自分で白状してましたから。」
ああ、さっき漏らしたところね。まぁ、確かに聞き出さなくてもいいな。
「じゃあ、もう殺るぞー、魔王ミラニスさん、何か言い残すことは、ありますか?」
「殺れるもんなら、ヤッテミナサイ!」
可哀想に、そんなことが最後の言葉になるなんて、、、仕方ないか、冥王に唆されたとはいえ、許されないことをしてしまったからな。
「んじゃ、バイバイ!」
バァンっ!
ご愁傷さまです。ん、へ? 生きてるのかな? 待って、有り得ないんだけど、俺の一撃を食らって死なないって、どういうことだ?
「どうした? 私を殺すんだろ? 早くやって見せてよ。」
うわ、うっぜっぇ。マジで殺したいんだけど。
バァンっ!
バァン! バァン!
バァンっ! バァンっ! バァンっ! バァンっ!
はぁ、はぁ、これでも死なないとか、どうなってるのこの子の体は。
「だから言っただろ? 私はお前ごときに殺されはせん。フハハハハッ!」
「なんで死なないか、知りたい?」
「うん、知りたいよ。」
「それはな、背中の、、、おっと、汚いぞ。私を誘導して、弱点を聞き出そうなんて。」
自分から知りたいか聞いてきたんだろ。いやぁ、どんだけ馬鹿なの? 自分の弱点までバラすなんて。背中だっけ。ちょっと確認してみるか。
サッ!
「あれ、あやつ、何処へ行ったのだ? ははぁ、私のあまりの強さに怖気付いて、逃げ出したのだな! そうか、そうか。あれだけ、大口叩いてたくせに、この程度だったのかぁ。どれだけの技を出してくるか、楽しみだったのになぁ。」
後ろですよぉ。ミラニスさん。簡単に回り込まれちゃうなんて、まだまだですなァ。ミラニスさんも。
あれぇ、背中にでっかい、宝石見たいのが着いてますなぁ。これを壊してしまうと、、、
バリンっ!
「なんだ、何なのだ? あ、私の自慢の宝石がァ。よくもやってくれたなぁ。お前、許さないのだ!」
あ、なんか微妙に周りの雰囲気が変わった。あれが、ミラニスの保護していたのだろう。
ということは、もう、攻撃が効くだろう。今度こそ、ご愁傷さまです。
バァンっ!
ミラニスの頭が吹き飛び、粉々になった。めっちゃウザかったなぁ。ああいう奴は、躊躇なく、処分していくからな。
「なんでやねん!」
うわっ! 不意の『なんでやねん』は、きつい。何故、今のタイミングで言ったのかは、これからも一生解明されないであろう。
「やりましたね、ニシヤマさん。」
「というか、残っている魔物達は、どうしますかね。」
「死刑で!」
「うわっ、逃げろぉっー。」
さよならです笑。
バァンっ!
一週間、お休みです。