プロローグ
残酷描写(キーワードにあるような内容を仄めかす表現)があります。
苦手な方は、引き返すことをお勧めします。
大丈夫な方のみ、どうぞ。
少女は、クリスマスが嫌いだった。
12月に入ると、世界中が一斉にクリスマス一色に染まり始める。
少女の住むこの街も、例外ではない。
あちこちで煌びやかなネオンがキラキラと輝き、この時ばかりは『節電』や『省エネ』なんて気に掛けている人間は一人も居ないだろう。誰もかれもが幸せそうに微笑み、プレゼントの相談でもしているのか、嬉しそうに身を寄せて囁きあう。
リボンの赤とツリーの緑、それに雪の白に彩られた期間限定の異空間。
いつもの見慣れた街とは違う、どこか別の場所に紛れ込んだような錯覚に囚われそうな雰囲気。
少女は、そのどれもを嫌悪していた。
クリスマス自体を嫌悪していた、と言ってもいいのかも知れない。
一人で住むには広すぎる一軒家。閑静な住宅街の一角に、彼女の家がある。
正確にはあった、と言うべきか。
その広い家の中のだだっ広いリビングに、少女は自分自身を抱きしめるようにして横になっていた。
青白く生気の感じられない彼女の顔は、それでも十分に美しかった。
今日は12月24日。世間で言うところの、クリスマス・イブ。
そして、少女の『大嫌いな日』でもある。
少女は、少しだけ体を起して細い腕を気だるげに持ち上げると、小さく身じろいて窓の外を見やる。
昨夜から降り続いた雪が積もったようだ。
この雪の様に、全てが溶けてなくなてしまえば好いのに……少女は思った。
そして、握っていた小瓶を口へと近づけると、ゆっくりと浅い眠りへと落ちていった。
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