第7話 もういくつ寝るとお小遣い
7月25日(月)晴れ、所により豪雨
来月から正社員として雇用されることになった。給料は……2万くらい上がると思う。ボーナスなし。1人だったらぎりぎり生活できるかな? 車の維持は……もうちょっと頑張ろう。車検通したばっかりだし。東京じゃ別に車なくても問題ないけど、この無駄遣いしている感が人間らしい気がする、僕は人間でありたい。
アキラと会う日が今週の金曜で、JOXAにいくのが日曜だ! 飲み過ぎて忘れるべからず。
……ほかに書くことがないけど、もうちょっと頑張ろう。
今日はちょっとは運動しようと思って歩いて会社まで行った。1時間と20分くらいかかった。帰りは電車で帰ろうと思ったら、財布をお家に忘れてた。帰りも歩いて帰った。
家に帰ったらコインランドリーに行った。洗濯機が回っているあいだス―パー銭湯に行った。戻ってきたら、まだ洗濯機が動いていたので、近くのスーパーで買い物を済ませた。
普段1人じゃ飲まないのだけど、缶チューハイを買って飲みながら、洗濯が終わるのを待った。
洗濯が終わったので、洗濯物を乾燥機に突っ込んで40分回すことにした。ジーンズってなかなか乾かないよな。
で、数少ないズボンの股下に穴が開いているのに前々から気付いてたから、この際安い奴いくつか買っておこうと思って、近くにある複合施設内の衣料品売り場に行った。
この辺は駅から結構歩くから家賃が安い。さらに、スーパー、天然温泉かけ流しの銭湯、最近になって中規模の複合施設が2つも近くに出来たので、かなり便利だ。
ちょっと遅い時間だったから服屋は閉まってた。明日も股下に穴をあけたまま出勤しよう。
暇つぶしにまだ営業している家電量販店を覗いてみた。おもちゃ売り場も併設していて、立ち寄ってみると、小さな男の子が遊んでいた。
戦隊ものの合体ロボットが遊べるように展示されていて、男の子は合体ロボットのパーツを真剣な面持ちで黙々とつけたり外したりしてた。
あたりを見渡すと、おもちゃ売り場だから、それこそたくさんの玩具がある。家電量販店のおまけコーナーみたいなものだから大した規模ではないのだろうけど、なかなか見ごたえがあった。
見ごたえというのは、もちろん値段のことだ。
とある額縁に立派な絵が飾ってあったとする。子供がその絵に興味をもったら、真っ先に絵を見るだろう。大人は額縁の下に作者の名前が書いていないか、あとは値札がないかを探す。だから僕は大人だ。
「どれも高いなぁ」って思わず口に出そうになったけど、言わなかった。
薄給の身の上で、如何に自身のダメージを少なくしつつ、子どもの笑顔を引き出すか、そんなことで悩む必要は今の僕にはないんだな。
そんなことボケら~と考えていたら、なんか涙が出そうになったので店を後にした。
ちょっと酔っぱらっちゃったんだろうか。コインランドリーに戻ると、ちょうどいい頃合いで乾燥が終わりそうだったので待った。
洗濯物は明日の朝たたもう、こんな僕は腐っていますか。腐敗……覚えていますか?
腐る……これは考えようによっては発酵するともいえる。
大豆は納豆になるし、米は日本酒、ブドウはワイン、ミルクに至ってはヨーグルトにもチーズにだってなれるんだ。
僕は腐ってるんじゃない、発酵してるんだ! うん、もう寝よう。おやすみ僕、おまえは1人(笑)。
「夏の夜の 凍え恐るる(略してトーキョー)
彼の地にて
咲良を想う 父、花太郎」
一句できました。
カイドと飲んだときよりも酔っぱらったかもしれない、たかだか缶チューハイ1本なのにさ。アルコールって不思議。
追伸
そういえば結構遅い時間だったけど、売り場にいた男の子のそばに保護者らしき人いなかったな。かといって僕が声かけたら通報される可能性もなきにしもあらずだから、さもしい世の中だな。店内だから店員さんが気にかけてくれるだろう、と、前向きに考えることにする。