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第20話 終章 冒険の当事者

 かつて源砂の塔と呼ばれていた反重力の渦は、跡形もなく消えていた。


 源砂の塔が作り出した盆地は、中空で力を失った砂粒の群れで覆い尽くされ、何の変哲もない大きな砂山に変わっていた。標高が若干高くなっているかもしれない。


 その砂山の頂に、一風変わったものが鎮座していた。

 直径が10メートル前後まで膨張した、青白い球体だ。


 ユリハはこれを「アルターホール」と呼んでいた。


降り懸かる砂塵の嵐を持ち前の反重力で弾きとばし、これの下に滑り込んだ砂たちが、山頂までコイツを押し上げたのだろう。


 今、アルターホールの膨張は止まり、収縮をはじめている。


 そばにはカイドたちがいた。一部始終を見届けようと目を逸らさず、口も聞かずにその様子を見つめていた。


 やがて直径1メートル程まで縮んだアルターホールが、その球体の姿を崩しはじめた。

 伸縮を繰り返し、人が立っているようなシルエットになると、青白い光が消えた。


 そこには人間が立っていた。


 中肉中背の黄色人種で、イガグリのような坊主頭の男。やや幅広の肩は、海洋民族を先祖に持つ者に見られる特徴の一つだ。


 そして全裸だった。


 パーティーの中で年頃の女性 (サイア) を見た男は身を屈め、自らの秘部を両手で隠した。


「あの、ごめんなさい。その、……全裸で」

 

 思わずひっぱたきたくなるような第一声を放つこの男は、紛れもなく甘田花太郎である。


 こいつが甘田花太郎なら、目の前でこいつが顕現する様子を眺めていた甘田花太郎の記憶を持つ僕は、一体誰なんだ?


 一瞬だけ、この男と目が合ったような気がした。

挿絵(By みてみん)


次回より新章突入します。

ここまで読んで頂き、ありがとうございます。


評価、ブックマークして頂いた方、改めてお礼申し上げます。


『ブックマークまでとはいかないけど、とりあえず読んではみようかな』な方、ここまでお付き合い頂いたこと、改めてお礼申し上げます。


私自身、2016年9月くらいにここに登録した新参者でマナーについてもよくわかっていなくて(ただ、必ず完結させるのが最低限のマナーということだけは理解してます。) そして初めて書く長編作品というのがあって、自分で『面白くするぞ!』と思って、信じて書いてはいても、正直不安でした。

しかし、ここまで多くの方に読んで頂けて、とてもうれしいです。


そこそこ長い作品になるかと思いますが今後ともよろしくお願いします。 中村はちす



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