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ぴぴぴぴぴっぴぴぴぴぴっぴぴぴ……
はいうるさーい。目覚ましうるさーい。
黙らっしゃーい。もうおきてんだよー。
布団から出てないだけだしー。
……はぁ。
うん。だるい。
今日も学校ですよ。うえぇー
『今日も』って、今日月曜日じゃん。昨日休みじゃん。
じゃあ何故だるい?
はいそうです。年中だるいです。
俺はそういう人です。
「さて、起こしに行くか。」
俺の毎朝の日課、それは隣に住んでる同い年の幼馴染(♀)を起こしに行くことだったりする。まじかよ、ラノベかよ。って自分でも言いたくなる。
ぴんぽーんっ
がちゃ、ばたん
「おばさん、おはよ。」
「あぁ、凪ちゃん。おはよー」
昔からずっと毎日だからなぁ。これが普通なんすよ。
さて今日はどうやって起こすかな。
……って、
「なんちゅーカッコだよ……」
え? テンプレすぎる? 知るか。詳細は省く。
「おい起きろ。」×19回
「うぅ……うるせぇ……」
今日は割とすんなり起きたな。
「……ん、あ? あぁ、凪……んん」
「朝だぞ。雅。」
雅は生まれたときからお隣さん。思春期になって疎遠になったりとか全然無く、今でもほぼ一緒にいる。おかげで友人からは、
「あれ? 今日相方は? 」
みたいな感じで言われる。相方とかwやめてほしいんですけど。まじで。
そういうのはまじで無い。そういうのって、どういうの? 聞くな。
雅は自分の性別を勘違いしてんじゃないか? って感じで、ガサツで、サバサバしてて、一人称はボクで、髪は短くて、中学入るまでコイツのスカート姿とか想像できねえって感じで、もうホントに全くもって全然オンナノコしてない。俺よりも言葉使い汚いし。
胸ないし。
だからまあ、男友達みたいな感じで、気楽でいいんですけどね。
そんでもって、雅のせいで今日もホームルーム2分前に教室に滑り込んで、学校という鬱スポットでの鬱タイムが始まった。
鬱だ。
鬱なので省略する。いいよね?
そして放課後の海だ。
ひとり海だ。
学校が割と海に近いんですよ。
海水浴場とかじゃないから、人あんまいないし。放課後一人でよくここに来る。オアシス的な。
たまに雅が乱入してくるが。
今日は撒いた。
今は4月なんでまだ寒いな。
少し冷たくて乾いた風が、いい。
いやー、いいわ。
もう俺風と結婚するわ。
「お、人がいる……珍しいな。」
真っ赤な夕日をバックに、一人の人がこちらに向かって……
……こちらに向かって?
その歩調はゆっくりと、
顔は逆光で見えないが、こっちを見てる気がする。
俺は、さりげなく横移動してみた。
その人も方向転換した。こっちに向けて。
俺は、さりげなく逆方向に歩いてみた。
その人も方向転換した。やっぱりこっちに向けて。
うん。俺ターゲットだわ。
やばい来るなー、どうしようどうしよう
誰だろなー、何の用だろなー、
……なんで俺こんな焦ってんの?
段々、距離が縮まってきて、少しづつ、その人の特徴が確認できるまでになった。
身長は俺と同じくらい。175センチくらい。
体格も俺と近いな。
全体的に細めで、肩幅とかあんま無さそうだ。
若そうだな。同い年くらい?
髪はまっすぐで、まっ黒で、
対照的に、肌は色素が薄い。
そしてその顔立ちは……
………俺の顔
そっくりそのまんま、だった。
ボクっ娘でつるぺたとか、尊敬しますわ。