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幼馴染みのマッドサイエンティスト

大学正門付近で立ち話も何なので、天使は3人で学食兼カフェテリアのような建物に入ることにした。


ちなみに、声をかけてきた彼女は、天使とは幼稚園からの幼馴染みで名前を亜美という。見かけとしゃべり方は正直小学生と言われても信じたくなるが、実はかなりの天才的頭脳の持ち主だ。

亜美という名前も、セー○ー○ーンが大好きだった母親が頭の良い子に育って欲しいという願いで付けたのだが、その通りになっているのでなかなか侮れない。


「それで?これまでモテモテの人生だったくせに彼氏の1人も作らなかった天使ちゃんと、彼はどういう関係なのかなっ??」


カフェの席で、見た目には不釣り合いな大量のエスプレッソを飲みながら、亜美は楽しそうに聞いてきた。

今も白衣姿なのだが、どうやら徹夜で実験中だったらしい。


「あー、えーっとね……」


とりあえず言葉を濁して時間稼ぎをするが、良い誤魔化しは浮かんでこない。

いっそ彼氏が出来たということにしてもいいのだが、それはそれで後から面倒なことになりそうだし、今も学食のドリンクバーが珍しいらしく、自分の前に10種類くらいのグラスを並べて飲み比べているこの悪魔を嘘でも彼氏だとは言いたくなかった。


「実は、昨日私が喚び出した悪魔なの、彼」


ド直球に真実をぶちまけた天使の台詞に驚いて飲み物を吹き出したのは、亜美ではなくサタンの方だった。


「アンジュ、お前!いきなり何を……!!」

「いいでしょ、別に。契約書には、そっちがバラさないって項目は合ったけど、私がばらしちゃいけないって文言はなかったわよ」


こんな人間は初めてだ、とサタンは吹き出したジュースが髪の毛に付くのも気にせず、机に突っ伏した。


「天使ちゃんが冗談言うとも思えないけど、ホント~にコレ、悪魔なの?」

「たぶんね。昨日、急に私の部屋に現れたのは事実だし、変な使い魔みたいのもいたし」


初対面の人形の生き物をコレ呼ばわりなことは見事にスルーである。


「そうなんだ~。ねぇ、悪魔さん?」

「……何だ?」


まだ机とラブラブしているサタンは、亜美の瞳が好奇心に輝いていることに気付かない。


「悪魔も切られたりすると痛い?再生する?血液ある?」

「は?急に何……、いてぇ!!」


いきなりの質問攻めに、サタンが顔をあげると、亜美は遠慮なくサタンの髪の毛を一束、一本ではなく一束掴んで、躊躇なく引っこ抜いた。


「あ、ヤバイかも」


状況を最初に理解したのは天使だった。


「ヤバイってなんだよ!」


亜美から必要以上に距離を取ってサタンは聞く。


「いやー、亜美ってこう見えて科学者でさ。専門は遺伝子とかそういうので、変わった体質の人間とか見ると見境なく血をくれとかいうタイプなんだよね」

「何!?」

「天使ちゃん、その説明じゃあ、あたしが危ない子みたいでしょ~?」


ぷっくり頬を膨らませた様は可愛らしいが、正直危ない奴であることは事実だ。


「あたしはただ、天使ちゃんを心配して、コレが安全な奴なのかを科学的に考察しなきゃと思って~」


まったく説得力がない。

まだ、若干震えているサタンの肩に手を置いて、亜美はとどめを刺した。


「悪魔さん、とりあえずあたしの研究室で輪切りになってみよっか♪」

「なるわけねぇだろ!嫌だ、帰る!!」


輪切りという単語の恐怖に、サタンは椅子を蹴って立ち上がり、天使の腕を掴んですごいスピードで大学を出た。


残された亜美は、奪い取った髪の毛はしっかりと握りしめたまま、呟いた。


「痛くないのに。閉所恐怖症なのかな??」


彼女は、一般人は輪切り=MRIだとは思わない、そしてサタンはMRIの存在すら知らないということを理解できていなかった。



◆◆◆◆◆



「……はぁ、はぁ、はぁ」


天使の家までたどり着き、鍵までしっかりかけたところでサタンはようやく呼吸を落ち着けた。


「サタン、脅えすぎ」

「脅えるだろ!なんだよ、輪切りって!!目の前の人間の形したものを遠慮なく切り刻もうってどんな神経してんだよ!!」


マジで涙目だった。


「でもさぁ、昔って悪魔召喚の儀式に生け贄とか使ってたんじゃないの?グロいのは平気でしょ」

「見るのと自分がされるのじゃ意味が違いすぎる!」

「あ、まぁ、それは確かに」

「それに……」


過去の記憶を思い出しているのか、サタンは苦々しい表情で言った。


「動物どころか自分と同じ人間を生け贄にして、利己的な願いを叶えようって人間の方が、魂奪う時に罪悪感がなくていい」


罪悪感……?

その単語が引っ掛かり、天使は尋ねた。


「悪魔にとって人間って、人間の魂って何?」

「……必要不可欠なもの、としか言えないな」


そう答えて、サタンはこの話は終わりだとばかりに話題を変えた。


「明日からはお前の願いを叶える為に動かないとな。アンジュは何がしたいんだ?今までしたくても出来なかったこととかねぇのか?」


そう聞かれて、天使は考えてみた。


「……あ」

「思い付いたのか?」

「遊園地」


明日の予定は決まった。

lets go to 夢の国。

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