玄関先で、
冴島蒼馬。なかなか不思議な人だ。
僕なんかを子分にして何がしたいのだろうか。
実に謎だ。
「ただいまー」
家にたどり着き玄関に入り部屋に戻ろうとして階段を上がろうと廊下を曲がった。
「ん、」
「……て、」
「あ、帰ってたんだ」
角から曲がってぶつかったのは僕の弟の小鳥遊和弥だ。
「いちゃ悪いの?」
弟なのに兄貴よりデカくて少し顔着良くて運動ができて女子ウケがいいからって生意気である。
「あ、いや、部活かなって」
「始業式にある訳ないだろ」
和弥は、結構有名なテニスの選手で現在中3で高校は推薦で行けるらしい。
「そ、そっか」
「………」
和弥をよけて階段を上がろうとしたら踏み外した。
ヤバイ!!コケる!!
と、思ったら右腕をすごい力で引っ張られる。
とっさに目をつぶってしまう。
ゆっくり目を開けると和弥の胸の中で……。
「全く何してんだか、このバカ兄貴は」
「うっせーよ、ばぁか!!」
和弥の胸の中で暴れてみるがかなうわけもなく。
「何暴れてんの?」
「お前が離れねーからだよ、お前がくっついてると改めてチビだと思うからだよ!!」
「ふーん、まだ気にしてたんだ。もう止まってるだろ」
無表情のまま見下して言ってきた。
ヤバイ泣きそう。
「そーだな、優が、そのままの身長だと俺と丁度いい身長差だから伸びなくていいだろ」
「え、あ、ぅ、うん?」
よくわからないまま頷く。
「あ、俺今から友達の家行くから」
と言って僕から離れ支えを失い膝から床に倒れこんだ。
「って…あ、おう、早く帰ってこいよ」
座り込んだまま手を振り見送る。
和弥は、チラリとこっちを見て少し赤くなって目をそらして玄関を出た。
なんだアイツ……。