act4潜入
次の日、昨日と同じように目覚まし時計に起こされて目を覚ます。
「…今日の夜…か…」
体を起こし、壁を見つめて昨日の事を思い出す。
…そうだ…今日は…
はやる気持ちを抑えてベッドを降り、部屋を出てカウンターへ向かう。
プレートを開店に切り替え、いつものようにカウンターに座り、本を読む。
…落ち着かない…全く、らしくもない…ここまで我慢してきたんだ、もう少し我慢してもいいだろうに。
カウンターでうだうだとそんなことを考えていたら、気がつくと外は日が沈んで暗くなり始めていた。
「あ…今日、誰も来なかったんだ…。」
あっという間だった。そして、ここからだ。
床下の隠し部屋へ降り、今では着慣れたそれを纏い、おやっさんからもらったブレードが動作するか確認する。
「…まずは、一人目…」
フードを被り、部屋を後にする。
またいつものように祭壇の横へ出ると、神父は相変わらず祈りを捧げていた。
「アルトや、本当に行くのか?」
「あぁ、やってやるさ、もう時間は十分すぎるほど使ったさ…耐えるのは…もう十分だ。」
「…そうか、汝に神のご加護があらんことを…。」
神父の祈りを背中で聞きながら、教会の扉を開き、夜の街へ足を踏み込む。
公爵の屋敷へ向かうと、入り口には番兵が二人、外から見た感じだと中にも衛兵が複数人いるようだった。
「…汝、奮い立てども鎮まりたもうれ…。」
自分に言い聞かせるように呟き、門へ近づく。
「ーーーだってよ。」
「というか、俺たちここで見張ってて意味あるのか?」
「さぁ?招待された客人の確認とかがあるんじゃないのか?」
「あー、それは盲点だったな〜。」
番兵達はまるで警戒すらしていなほどにありきたりなやりとりをしていた。
「…なぁ、おい、あれ…」
「ん?どうした?」
「…なんか…いるぜ?白いのが」
「白い?気のせいだろ?」
見つかったか、腰に括り付けてあるナイフを両手で引き抜き、それぞれの方向へ腕を鞭のようにしならせて放り投げる。
「ん?ーーッガッ…」
放られたナイフは風を切ってそれぞれの喉に喰いつくように突き刺さった。