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リベンジワンズアサシネーション  作者: 阿木津 秋水
第一接触(ファースト・コンタクト)
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act2戦果報告

営業を再開したのはいいものの、特に客がいなければこれといった仕事もないので暇であった。


「時計の整備でもするかなぁ〜」


カウンターに出しっ放しだった道具を取り出して、カウンターのショーケースに入っている時計の中で、止まってしまっているものを選び、その整備を始めた。

すると、ドアのベルが鳴り、誰かが店に入って来た。


「よう、さっきは随分と暴れたみたいだな」

「あぁ、おやっさんか。まあな、少しばかり派手に暴れちゃったかな。」

「それで、どうだったんだ?」


あの時確かに縄を斬り落としたはずだ、あのままあそこから逃げ出したならまだ生きているはずだ。今頃家族と再開していればいいのだが。

「まあ、処刑は免れたってところだな、それと、ここまで逃げる途中で見かけたんだけどさ」


脳裏に朧げながら視界に小さく映った、猟犬を模したエンブレムを肩につけた兵士の姿を思い出した。


「どうした?」

「…ハウンドがいた…」

すると、おやっさんは険しい顔をした。

「…ハウンドっていうと、アカデミー卒業者の中でもトップクラスの人間が入隊できるっていうあのハウンドか?」

「あぁ、どう見てもそこら辺の衛兵とは制服が違った。」


おやっさんはやれやれと顔を抑えた。


「お前よぉ、とうとうハウンドまで出張らせちまったのか」

「別に構わないさ、もとより国家指名手配にされてる時点でいつか戦わざるを得なかったんだからさ」


おやっさんはおいおいと突っ込みを入れた。


「おいおい、確かにそりゃそうかもしれないけどよ、まだこれからってところだろうに」

「心配するなよ、どうせ何とかなるさ」

「お前な…」


おやっさんは呆れ返ってしまった。

そのあと、おやっさんはそれはそうと…と話を切り出してきた。


「そういえば、お前徴税用の金用意してあるのか?」

「んぇ?…チョウゼイ?…あ…。」


忘れていた、すっかり記憶から抜け落ちていた。

俺は軍に時計屋として収めるための金を用意していないことをすっかり忘れていた。


「…やべ…どうしよ…」

「やっぱり用意してなかったのか?」


と思うじゃん?


「用意してないや」

「おいおい、徴税どうするんだよ?払えなければ取り壊しだぞ?」


俺は笑いながら金を取り出す。


「大丈夫、金はあるから」

「ならいいけどよ…ってか、お前その金どこから持ってきた⁉︎」


金を持ってニヤリと笑う。


「金を無駄遣いしたがる馬鹿野郎さ」

「おまっ!まさか…‼︎」

「そう、そのまさかさ」


おやっさんは再び顔を抑えた。


「お前公爵の屋敷から持ち出したのか?」

「少しだけだよ、少しだけ。」

「また出向いた時に追っ手送り込まれても知らないぞ?」


全く、相変わらず見た目の割りに心配性だな


「大丈夫だって、そもそも俺がアルトだってことも向こうは把握できちゃいないんだ、特定できるわけがないさ。」

おやっさんは、だけどよ…と続ける。

「もし仮にそうだとしても、あまり気を抜いてると何が起こるかわからないぞ?」

「ま、それは一理あるかな、とりあえず、この間頼んだアレの設計図もらえるかな?」

「ん?設計図なんか受け取って何するんだ?」

やれやれ、肝心なところで警戒が甘いぜ。

「証拠隠滅」

「証拠隠滅?なんだって証拠隠滅なんてするのさ?」


おやっさんがあまりにも腑抜けていて、俺は思わず大きな溜息をついてしまった。


「おやっさん、あんたボケちまったのか?アレの設計図がおやっさんの工房で見つかっちまったら真っ先におやっさんは共犯者として処刑されちまうなんてことが見え見えだろ?」


おやっさんはそう言われてようやくはっとした表情をした。


「そ、そうだったな、それじゃ、こいつな」


おやっさんが手渡したそれを受け取り、構造図を見る。


「…それにしても、こんな複雑な部品もあるのにアレを簡単に作るなんて、おやっさんも大したもんだよな。」

「お、おう。」


おやっさんは照れ臭げに笑った。


「とりあえず、装備はおおよそ揃ったからしばらくは時計の部品の依頼だけになるかな。」

「いいのか?」

「問題ないさ、それに、何度も武器の依頼を出すとおやっさんにもリスクがあるだろうからな、とりあえずはそうゆうことでよろしくたのむよ。」

「ああ、…死ぬなよ?」

「当然」


そう交わして、おやっさんは店を出て、ベルの余韻が店内に残った。

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