第五十四話 ハンターメイヴィス
一言で言えば、メイヴィスは元気だった。
どんな人?と聞かれて 元気な人 と答えるのはまるで小学生のようだが、それ以外に形容するのは的を射ないような気がするくらいに元気なのである。
メイヴィスを仲間に加えた翌日に、今後どうするかについての相談をした。
「これからどうするかだけど、やっぱり二人を探すべきだと思う」
「二人?」
加入1日目のメイヴィスは今までの経緯を全く知らないでいる。
どこまで話したものかと言葉を選び、」とりあえずこんな風に話をした。
・私達は重要な使命のために旅をしている。
・仲間は私達の他にもう二人いる、が突然襲われ離れ離れになった。
・とりあえずすぐには使命を果たす必要はないから離れ離れになった二人を探したい。
それを聞いたメイヴィスは
「ふぅん……大変だったんだねぇ」
とわかったようなわかってないような事を言っていたように思う。
「離れ離れになった二人ってどんな人?」
「ああ、名前はフィーディアとシャーリーって言って、フィーディアはエイディアの姉、シャーリーはフィーディアと一緒に捕まっていたところを助けだしたんだ」
「そっか……お姉さんと……」
「うん……」
エイディアがその耳をしんなりとさせると、メイヴィスがエイディアの手を取って励ました。
「こっちが生きてればいつか会えるよ!元気出して!ね?」
ストレートに励ます言葉を受けて、ちょっと面食らったもののエイディアは微笑んでその手を握り返していた。
その後どうするかについてもっと詳しく話した所、メイヴィスが一昨日翼竜が南西へと飛んでいくのを見ていたらしい。
あんなのと戦ってたらサクっと食べられちゃってたかもねぇ とケラケラ笑うメイヴィスとは対照的に、村正達は真剣な表情で顔を見合わせた。
何も手がかりが無いので、藁にすがる程度の思いで南西の方へと行ってみることに決めた。ルメールの南西にはあまり密度の濃くない森が広がっており、それを超えるとこの島国では最大の都市があるということだった。
旅を初めてからは多少土地勘のあるメイヴィスが先導して進むことになったのだが
「とりあえず私はムラマサ達に着いて行くよ、行き先とかは任せるから好きな所行っていいよ?あ、でも村とか街に着いたらちゃんとしたところに泊めてよねっ、それだけが条件かな〜」
「え?荷物は魔法で仕舞っておける?手ぶらで歩けるの?やったー!」
「うおー!これ珍しい香草だよ〜、取ってっていい?あ、あっちには木の実が〜」
「ギャー!見えないところに穴がー!」
と、まぁ騒がしいのなんの。
最初はドン引……面食らっていた二人もだんだんと慣れてきて、だいたいメイヴィスという人となりがわかってきた。
「元気だなぁ」
「元気だね」
何度目になるかの元気を口にしたところで、メイヴィスが突然動きを止めて喋るのを止めた。
「…………」
何かあったのかと問いかける前にメイヴィスは背中に背負っていた二つ折りの弓を素早く展開し、矢筒から数本の矢を引き抜いてその場に膝をついた。
ギリギリと悲鳴を上げながら弓が引き絞られていく、先ほどまでの陽気なメイヴィスと同一人物とは思えないほどに鋭い目つきでその矢を放った。
放たれた矢は風を切り、高く短い音を上げて木々の合間を抜け、生い茂る草へと吸い込まれていった。
何かの短い悲鳴と共に、そこから数匹の鳥が飛び立つ。メイヴィスはそれに向かって再び矢を放った。
一本はかろうじて躱した鳥が、速射による追撃を躱す事が出来ずに撃ち落とされる。
突然メイヴィスが弓を構えてから、一瞬の出来事であったように思う。
「すごーい」
打ち終わったあとすぐに回収に走りだしたメイヴィスの後ろ姿を見てエイディアは目を輝かせていた。
「凄いな……弓使いってことはもともと猟とかしてたんだろうな、凄い手際だった」
と評する二人のもとに、片手に二羽の鳥を持ってメイヴィスが戻ってくる。
「いやー、今日はあんまり調子よくないなぁ」
「いや、凄かったよ、なんか見なおした」
と正直に感想を言うと、でへへと嬉しそうに笑っていた。
ちょうど森のなかでも開けた場所に出た。そこには火を炊いた後がいくつも残っていて、丁度冒険者達の休憩の場となっているようだった。
村正達もそこで火を起こして休憩することにした。
「普段からあんな風に狩りしてたの?」
エイディアはメイヴィスの弓さばきに惚れてしまったのか、取ってきた鳥を調理しながら質問攻めにしている。
こんなに人に懐いている様子を見せるのはある意味初めてかもしれない。
今まで緊張した旅が続いていて見せることのなかった、歳相応に見える無邪気な姿だった。
「もともとウチがちょこーっと名のある弓術のなんちゃらでねー、昔っから弓をおもちゃにしてきたからさ。こうやって狩りするのは楽しいから好きなんだけどさ」
「だけど?」
「ウチの堅物ときたら狩りをそんなものとか、下らないとか行って稽古稽古修行修行うるっさいんだよねー。人にも撃たない狩りもしない弓術に何の価値があるんだか私にはさっぱりだよ」
「なるほどなぁ、それで嫌になって出てきたと」
「そうなるね、なんだかんだこうやって人と喋りながら旅するってのもけっこう楽しいかも」
と話しながら手際よく鳥を捌き、香草で巻いて火にかけていく。
すぐに肉の焼ける香ばしい匂いがあたりを漂った。
「さ、もうすぐ出来るよ」
香ばしく焼きあがった鳥肉を頬張るのと村正一行のシェフが任命されるのにそう時間は開かなかったという。
もうすぐ1章が終わり・・・ってどこらへんで終わりにしようかちゃんと決めてなかった・・・
もうすぐ(15話) とかにならないように気をつけなきゃ・・・




