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WORLD ARMS  作者: 河海豚
第二章 死した大地
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理由

「それが、俺が死ぬべき理由だって? 訳が分からない」

「わかった、わかった。今から教えてやるって」

 ユウジは肌を露出したままで続けた。

「お前は、なんで天上人が地上に下りて来ず、あんな所に住んでいるのか知っているか?」

「さあ、知らない。考えたこともない」

「それもそうだろうな」と、ユウジは首を二、三度縦にふる。そして、続けた。

「この世界ーー地上のことだが、ここにはお前達に対して致命となる物が存在する」

「それは、その斑点とは関係あるのか?」

「関係大ありだ。俺は露出狂じゃあないぞ」

 ユウジは苦笑する。ジンは馬鹿にされたように感じたが、表に出さないようにする。

「それは、上の世界では『瘴気』と呼ばれている」

「瘴気……。文字通りの毒というわけか」

「その通り」とでも言いたげに、ユウジは頷いた。

「瘴気とは、上の世界での呼び方だ。天上人が長く地上に居られないのは、この瘴気を長時間吸い込み取り込むと、やがて死に至るからだ。だが、俺たち地上人にとってみれば、なんてことはない。ただの空気と変わらない」

「どうしてか、わかるか?」とユウジはジンに問う。ジンは「わからない」と、首を横に振った。

「進化したんだよ。俺たち、地上人はな」

 ユウジは自分の肩にある斑点を指差して続ける。

「これは、その証だ。地上人は、空気中の瘴気を血液中で分解して排斥することができる。もっとも、身体から出すためには装置が必要だがな」

「そこから取り出すってことか?」

「その通り。だから、お前には驚いているんだよ」

 ここで、ユウジは服を着直した。驚いているとは言っているものの、ジンにはユウジの表情に余裕が感じられた。

「俺が上の世界の人間なのに、死なないからか?」

「そうだ、奇妙なことだ……。だが、俺はお前に一つの可能性を感じている。それをこれから、確かめさせてくれないか?」

「どうする気だ?」

 ジンは尋ねる。ユウジは待ってましたと、手を叩いて言う。

「お前を、ある男に会わせたい。話はそこでしよう」

 ジンは、ユウジの言うことを信じていいものか、と思い始めた。だが、この男に命を救われているのも確かであり、殺すのなら目の覚まさないうちにやるべきである、と考える。

 また、ここで逃げたところで、この地上においては、ジンには行く宛がない。いや、元の世界ですら、居場所がないのだ。このままでは、のたれ死んで終わりであろう。

「今から、行くのか?」

「そうだ。善は急げって言うだろう。それに、お前には俺を殺そうとする元気があったしな」

 ユウジは立ち上がり、部屋を出ようとする。

「早く支度しろよ。その前に寄る場所があるからな」

「どこに行くんだ?」

「来ればわかるさ。というより、お前に関係なかったら、アレは何だっていうんだ?」

 ユウジの言葉に、ジンは首をかしげる。「アレ」というのは何なのか。

 ジンはユウジが持ってきた服に着替えて、部屋を出た。

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