第五話
間が開きました〜。
申し訳ありません〜〜。
当たり前だが、あんな自己紹介をした転入生に暖かい歓迎があるとは思えず…。
みんな暖かいというより、生暖かい目で遠巻きに転入生を見つめていた。
彼女は美人である。が、しかし、異色だ。
十色も出来るだけ関わりたくないので、黙って一人で本を読む。
しかし「神本華子」は、唯一の知り合いである十色をじっと見つめていた。
そして、さっきまで彼女を万歳三唱していた彼もいなくなっていた。
「十色」
「あぁ…穂波。どうしたんだ?」
「どうしたもこうしたもないわよ」
「…な、何がだ?」
「あの転入生よ。何者なの?あの子」
「さ、さぁ…」
十色は視線を穂波からはずした。
「神って、意味わかんないし」
そういって軽く穂波は笑う。
十色は、頭の中で生き返らせてもらったという事実を思い出した
きちんと自分の身体は動く。
――穂波、お前の隣にいる人間はその意味わかんない転入生がいたからなんだぞ?
「十色ぉ」
明らかに穂波とは違う声が、彼を呼んだ。
その声は、足元からする。
十色はゆっくりと足元に視線を落とした。
嫌な予感がする。
「十色♪」
視線を下ろした先には、猫耳をつけ、フリフリしたぴんくのエプロンドレスを着た姫子がいた。
「…姫子!?だっけ?」
「うん、姫子だよ。ねぇ、十色。マスターは?」
可愛らしく笑いながら聞いてくるが、それどころではない。
「十色?何?下向いて誰と喋ってるの?」
穂波が怪訝そうな顔をする。
「あ、いや…その…」
「あ、マスター!!」
大声で叫びながら、姫子は自分のマスターの元へ走り出した。
「ねぇ十色…」
「な、なんだ?」
「今の子、十色の足元から出てきたわよね?」
「いや、気のせいじゃない…か?」
彼の背中に、冷たい汗が流れるのが感じられた。
穂波が疑いのまなざしを向けてくる。
――やばい。
「十色ぉ〜!!ありがとー!!」
姫子がニコニコしながら、こちらに手を振っていた。
椅子に座っている彼からすれば、上からの穂波の冷たい視線。
――ど、どうするオレ。どうするよ!