第四話
「やぁやぁ、待っていたぞ。十色くん!」
学校側に入学させてくれるようにおど…頼みに行くと言った華子こと、神と別れて教室に入った十色を待ちかまえていたのは、坂口知宏だった。
「あ…え…?っていうか、誰?」
「坂口知宏。何度も自己紹介したつもりだったけど。まぁいいや」
知宏がフッと笑った。
「十色〜〜!!」
ドスンっと、知宏を突き飛ばし、十色の前に現れたのは幼なじみの水面穂波だ。
「ほ、穂波…」
「おはよう十色!朝ご飯食べた?顔洗えた?」
「う、うん…大丈夫。大丈夫」
心配させないためにへらっと笑いながら十色は答える。
「良かったぁ…。お腹減ったらいつでも言ってね。おごってあげる」
十色に向かって、穂波はにっこりと微笑んだ。
「俺のことは無視か?」
床にまだ倒れている知宏のつぶやきは、聞かなかったことにした……。
チャイムと同時に、担任が教室に入ってきた。
きりーつ、礼、着席〜…という声が教室に響き、クラスの人間はそれに従う。
「はい、おはよう」
担任である彩吹は、優雅に微笑みながら挨拶した。
「今日はなんと、突然の転校生です。それでは、入ってきて!」
そういうと、クラスメイトたちはざわざわとざわめきだした。
「うむ!」
という返事とともに中に入ってきたのは、言わずもがな神本華子。
ツインテールを揺らしながら、教壇の前に立った。
「天から来た、神本華子じゃ。人間というものはまだよくわからないが、神であるから気にするでない。よろしく頼むぞ」
それこそ神である!と賞賛したくなるほど、神々しい笑みを浮かべて言葉を切った。
それまでざわついていたクラスメイトたちは、水を打ったように静かになった。
んなこと堂々と言うなよ…と、十色が心の中でつっこみを入れていると、拍手の音がした。
「素晴らしい!!」
拍手をしながら立ち上がったのは坂口知宏だった。
更に、「素晴らしいではないか!神、そうあなたはまさに神だ!」
などと、謎の賞賛まで始める始末。
十色は今後のことが心配になり、溜息をついた。