『何気ないカイワが(1)』
ーーー此処はとある学園のとある教室ーーー
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「ねぇ、今朝のニュース聞いた?」
「知らない。何のニュース?」
「イーストタウンにある、とある屋敷が火事になったんだって。で、その屋敷の中には、銃で撃たれて死んじゃった人たちの死体があって、それが焼かれちゃったらしいの。多分、放火だと思うって言ってた」
「え〜嘘でしょ?怖くない?」
女子の朝の会話から、クラス中にこの話が広まった。
「その殺されちゃった人たちね、マフィアらしいよ。鷹だったと思う。やっぱり、|殺《や》っちゃったのは、敵の鷲じゃないかな?」
「敵?鷲は格下は相手にしないだろ?」
「鷹はね、イーストタウンを荒らす事が多かったみたいだよ。イーストタウンは、鷲のシマでしょ?」
「まぁ、いくら格下とはいえ、街を荒らす奴らをほっとくようなファミリーじゃないぜ、鷲は。だからカッコイイんだ」
「あ、そう」
「あ、お前馬鹿にしただろ」
「なによ、そんなに鷲が好きなら、ボスの名前くらい知ってるでしょうね!?」
「鷲は秘密主義なんだよ!そんなところもカッコイイんだ!」
「あーはいはい」
「お前、今適当に流しただろ!ねぇ、ハルーさんどう思いますか?」
突然、1人が話を振った。
「え…ボク?」
余談だがこの子、一人称は"ボク"であるものの、正真正銘の女子である。
彼女の名前はハルー・ロミュア。彼女は、実は鷲の一員である。彼女の姉は鷲のボスだ。この事を知ってるのは、彼女の親友達のみ。
「こら、やめなよ!馬鹿男子!ハルーちゃんが困ってるでしょ!」
「ゴメンね、ハルーちゃん。コイツら、気が利かなくて」
「大丈夫。どう思うって、事件の事?鷲のボスの事?それとも、両方?」
「じゃあ、両方で」
「事件は、多分、君達の言ってた事で合ってると思う。鷲のボスは…多分女性だと思う」
それだけ言うと、彼女は教室から出ていった。
彼女が去ったあとには、薔薇の花びらが落ちていた。
真っ赤な薔薇の花びらが一枚。
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