第三話 ~面白い話~
「金になる話をさがしてるんだけどさ、何か知らない?」店主はリタを呆れ顔で見つめた。
「もう充分に金はあるんじゃないのか。こんな酒場にでっけえ宝石落としていくぐらいだしよ」
「一生楽して暮らせるぐらいはね」
「ならそれでいいんじゃないか。欲を出しすぎると良いことなんて待ってないぞ」
「なんか説教臭い言い方だね」
「年若い娘の身の破滅を黙って見てられるような男じゃないんでね」それを聞くとリタは小さく笑った。
「おじさんみたいな人があたしの親だったら良かったのに」そうして皿の中身を一気に平らげるともう一度聞く。
「あたしは面白いことをしたいだけなんだよ。金は後からついてくるオマケみたいなもんだと思ってる。でも金のあるとこにはきっとあたし好みの危険で面白い出来事がゴロゴロ転がってるはずなんだ。なんか心当たりはないかい?」
「人生そんなにうまくいかないとおもうがね。それなら客の方がいろいろ知ってると思うが」店主の問うような目つきに客たちもおずおずと会話に参加してくる。
「そういや隣村で家畜がいっぺんに殺されちまったとか・・・」
「この前の事件の指名手配犯だって捕まってないじゃないか」次第に熱が高まってきたのか口々に色々と述べ立て始める。
「それより東の大山脈の近くを通る商人の警護をやればいいんじゃないか?嬢ちゃん強いし、あそこを根城にしてる盗賊共をやっつけられるかもしれねえ」それには同意の声がいくつも上がった。彼らも盗賊団に苦労を強いられてきたようだ。
「それは無理だね。・・・あたしはあいつらに目を付けられてるから山脈には近づけないんだ」とたんに残念そうな声が上がる。嘘は言っていないとリタは心の中でつぶやいた。
「そういや、ここから少し離れたでっけえ街で冒険家を探してるとか聞いたな」
「それは俺も知ってるぜ。なんでも古い教会から秘密の通路が見つかって、その奥にはお宝が山のようにあるとかないとか」リタは男たちのほうを振り向きにっこり笑った。ようやく面白そうなことに出会えそうだった。
「その話には少し興味があるな。詳しく聞かせてくれ」
あ、今回は少し短いですかね?
そんなに間を空けず次話を投稿するつもりなのでカンベンしてください・・・。