第八話 ~盗賊の血筋~
「彼を放してやってください。ここで武器などを持ち出されては困ります」クラークはリタがナイフをよけないのを見て言い添えた。
「ここからつまみ出してほしいのでしたら結構ですが」それを聞いて渋々ナイフをしまう。
「それに彼の言うことにも一理あります。命を粗末にするべきではありませんよ。あなた達はまだ若いのですからなおさらに・・・」
それを聞いて今度はクラークの方をにらみ付ける。
「始まる前から命の心配か?馬鹿らしい。言っておくが、あたしのナイフはあんたの年齢の何倍もの人数の血を吸ってるんだ。一日中、机の前に座っているお前のような奴なんかに意見される筋合いなんざないね」
「それに、あたし達はこんなところで死ぬ気はない」
リタの眼光の鋭さに、クラークは身が震えるような心地がした。
「ケイ。あたしにつくと決めた以上、勝手に死んだら許さんから心しておけ」
リタは気付いているのだろうか。怒ったように言ったその言葉は、リタというよりその母親の口から出たような言葉だ。
まだ、お頭の影がリタについて離れないのか、それとも血筋のなせる業か。
リタが落ち着いたのを見て、クラークが声を上げる。
「先ほど言っていた人員の選別については、教主様が神にお伺いをたてているところです」
その言葉を待っていたかのように、扉が開き少年がクラークに封筒を渡す。
「お名前を呼ばれた方は、私についてきてください。発見された通路の入り口までご案内します」
不安げな眼をしてクラークは付け加えた。
「どうか後悔のなさらぬよう・・・」そうしてわずかに首を振り、封筒に書かれた名前を読み上げ始めた。
すいません・・・。更新遅い上に短い・・・。
次からまじめに冒険が始まりますよー。