第七話 ~誇り~
「しかし神父さんよ。このままじゃあ、ちょっと人数が多すぎるんじゃないかい」壁に寄りかかっていた男が声を上げた。
「人を減らさなけりゃまともに探索なんざ出来ねえよ。なんか知らんが女子供まで混じってるし、そいつらはお家に返してやるべきじゃねえかい」男はあごでリタたちの方を指し示した。
ケイはリタの顔を見たとたん、これはまずいとはっきり感じた。眉間に深くシワがより、明らかに怒っている風なのに、口元には実に爽やかな笑みが浮かんでいる。
こんな複雑且つ危ない笑顔などなかなかお目にかかれないだろう。
「それよりもここにはご老体が混じっているようだから、そっちを減らすべきだと思うね。足を引っ張られちゃこっちが困る」リタに話させてはいけないと、慌てて切り返す。
「おうおう、言ってくれるじゃねえか坊主。そんなに睨み付けられちゃあ怖くてちびりそうだぜ」ケイの制止を押しのけて、せせら笑う男の前にリタはゆっくりと歩みを進めた。
「さっさとここから出ていきな。お前のママはここにはいないぜ」ニヤニヤ笑う男の顔は一瞬の間を置いて歪められた。
「出て行くのはお前の方だろう?安全で快適なお家へ帰ったらどうだ?」いつの間にか取り出されたナイフが男の腹に突き刺さらんばかりに押し付けられていた。
「武器は持ち込み禁止じゃなかったのか?」少しかすれた声で男が言う。その眼はナイフを離れようとしなかった。
「罠かもしれない場所に丸腰で乗り込んでいく馬鹿がいるか?場慣れしてない教会の奴らの眼をかすめるのなんか簡単すぎてお話にもならん」ナイフは徐々に胸を伝い、男の喉元までやってきた。
「どうせ此処の奴らもなにかしら持ち込んでるだろうさ。まあ、それはともかくとして。お前はあたし達を侮辱したな?」ナイフが男の喉仏の辺りをくすぐった。
「言ったからにはそれなりの報いを受ける覚悟はあるんだろうな。言っておくが、あたしの誇りは高くつくぞ?」
お待たせしました。やっと更新です。(待っている方がいるのか微妙ですが)
時間がかかった割りに内容が少ないのは見逃してください・・・。