真面目すぎる悪霊
人を殺さなければならない。
その悪霊はまじめだった。
悪霊なら、とりついたり、意地悪して人を殺すのが普通。
そう思って、頑張った。
けれどうまくいかない。
落とし穴にはめたら、過労死寸前だった社員に感謝され。
幻を見せて、車と人の衝突事故を起こしたら、運命の相手と出会って結婚できたと感謝され。
悪夢を見せて眠れなくさせたら、すごいクマができた会社員が病院に入院した後、仕事を辞められなかったブラック企業にさよならできたと感謝された。
これでは悪霊に生まれた意味がない。
と悪霊はまじめに悩んだ。
悪霊はそれからも、悪霊として頑張った。
とりついたり、幻を見せたり、悪夢を見せた。
そのかいあって、やっと人を一人殺すことができた。
悪霊は喜んで達成感とともに成仏していった。
しかし悪霊は、なぜ自分が悪霊になったのかわからないままだった。
「僕は、死んだら悪霊になってみたいな」
「え、どうして?」
「だって、悪霊って悪いいたずらたくさんできるんでしょ? 僕、誰かにいたずらするのが夢だったんだ」
「いたずらするのが?」
「だって、ママもパパもいつもは話をしてくれないし、ぜんぜんかまってくれないけど、いたずらしたときはいっぱい話をしてくれるんだ」




