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イベリスの鎖  作者: Amit Tsu
追加エピローグ
29/33

イベリスの記憶


白い花を、最初に見たのはいつだっただろう。


たぶん、中学生のとき。

通学路の途中、古びたフェンス越しに、小さな庭があった。

そこに、ひっそりと咲いていた。

人の目に触れることのない、名も知らぬ白い花。


見た瞬間、なぜだか、泣きたくなった。

うれしくもないのに、悲しくもないのに、

胸の奥が、ぎゅっと締めつけられるようだった。


あの日、誰かに声をかけられた。

「それ、イベリスっていうんだよ」


やさしい声だった。

それから私は、その人のことをずっと考えるようになった。


笑った顔。

泣きそうな顔。

一緒に歩いた放課後の道。

ふたりで撮った写真のこと。

小さなペンダントの重み。

やがてその人は、私のすべてになった。


……でも、それが“誰”だったのか、思い出せない。


名前も、顔も、声も。

なにひとつ、確かには思い出せない。


だけど、たしかに私は、

あのとき――

恋をした。


(ここで、ページが破れている)


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