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ファーストインプレッション
【香山 りか 視点】
次の小説の主人公は弱者男性にしようと思っている。
コミュニケーション能力が低く、それゆえに人生がうまくいかず、それゆえ異性にもありつけない人たち。
彼らの複雑な劣等感や、それによる逆恨みのドロドロとした感情は絶対にいいネタになる。
そんな弱者男性を大量に見れるのがマッチングアプリだ。
今日会う予定の男子は、コウキ(=主人公)くん。
肌が白く、顔立ちは整っているが、服や髪は一切整えていない感じのプロフィールだ。
メガネをかけていて、趣味はプログラミングと、
典型的な理系男子くんらしい。
彼みたいなタイプは二手に別れる。
感情の表現が苦手な論理的なタイプか、
ガッツリ異性に気持ち悪い性欲や嫉妬心を向けている、アニメアイコンでツイッターをしているタイプ。
後者だったら取材のしがいがあるなあ、なんて考えながら彼と会ってみた。
写真よりもかなり整った顔の男だった。