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第5話 「ここは未来?」

赤い光に包まれた後、桃華が目を覚ますと、そこにはこれまで見たことのない奇妙で美しい世界が広がっていた。


周囲を彩るのは軽快で活気に満ちた音楽と、風と共に流れるデジタルコード。


それらが噴水のように渦を巻きながら、この不思議な世界と美しく調和している。


その光景に桃華は圧倒され、彼女の心の中に渦巻いていた疑問は、まるで風と一緒に消え去ってしまったかのようだった。


「ここは…どこなの?」

私は思わずつぶやいたが、その答えを探すよりも、目の前の光景に魅了されていた。


色とりどりの光が踊るように舞い上がり、私は思わず笑顔を浮かべた。


目の前に広がる風景は、まるで夢の中にいるような気分にさせたが、同時に、現実とはかけ離れた感覚に心が揺れている・

しかし、ふとした瞬間に、私の心には不安がよぎった。


「でも…私は本当にここにいるの?」

自分の手を見ると、その透明感に驚きと戸惑いが押し寄せてきた。


体が軽く、ふわふわと宙に浮いているような感覚が、不安を引き起こした。


「私、どうしちゃったの…?」


その時、突然、背後から低く響くがどこか親しみやすいデジタル音がした。


「やぁ〜、あなたは来たばかりですね?」


その声に驚き、慌てて振り向いた。


そこにいたのは、直径30cmほどの奇妙な球体だった。

球体は輝く半透明の光をまとい、全体が柔らかい青白い光で包まれていた。

球体の表面は滑らかで、ところどころに微細な模様が浮かび上がっており、まるで生きているかのように微妙に動いている。


突起物が球体の上下から不規則に出たり入ったりしており、まるで触覚や耳のように感じさせる。球体の中心には淡い光の点があり、それが時折点滅しながら彼女に話しかけているようだった。


さらに、球体の下部からは細い煙のようなものがシュッシュと出ていて、周囲に漂っている。


球体の周りには小さな粒子が浮遊しており、時折その粒子が球体の表面に触れるたびに、微かな音が聞こえる。

まるで、彼がその場の空気と交信しているかのようだった。


「ええ〜〜〜!、何!その姿ー!!」


球体は私の反応に対して、軽い調子で応えた。


「ごめんね。驚かしちゃったかな?」

彼の声は、少し電子音が混じりながらも、どこか優しさを感じさせるものだった。


「たま〜に、ちゃんと転生できていない子がいるのでパトロールしてるんだよ。

あなたを見ることはできないけど、未転生の意識が存在する場所をピンポイントで特定できるんだ。

まずはIDを取得してもらいますね。」


「転生できていない?身元確認って?私は死んだのに、何の身元確認…?」

私はその言葉の意味を考えようとしたが、すぐに思考が追いつかず、


「すみません。まだ慣れていないもので…」

と曖昧な返答をするしかなかった。


球体はふわりと浮かびながら、周囲をゆっくりと回り始めた。

その動きは滑らかで、まるで空中を漂う水泡のように軽やかだ。


しかし、その一方で、何か神秘的な存在感を持っているようにも感じられる。


「では、簡単に説明しますね。あなたは肉体を失い、意識だけが残ってこの惑星に飛ばされたんだ。

こちらの世界では精神(意識)と肉体(器)は別々に管理されていて、これから仮の体となる『stone』を用いて、あなたは可視化されるんだ。」


「ということは、私は今、意識だけの存在なのか…」

何かが同じカテゴリーに存在していることに、私はどこか安心感を覚えた。

だが、その安心感はすぐに疑問に変わる。


「ここはいま何年ですか?」

未来のように感じられるこの世界に、桃華はその質問をせずにはいられなかった。


「年代?ですか、そうですね、何年かってことで言うなら、今は3423年です。」

球体の中心の光が一度強く輝き、次に少し弱まると、静かにその答えを返した。


「え〜〜!!!!まじでー!!え〜〜〜〜〜うっそ〜〜〜〜〜〜〜!!!ここは、1400年も未来…?」その答えに、私は驚愕するしかなかった。


「そうみたいですね。それだけ驚くってことは。」

球体は小さく震えながら、まるでクスクスと笑っているかのようだった。


「それでは、このstoneの中から1つ選んで、仮の体をゲットしてください。」

「このstoneにはここで活動するためのニューロンが組み込まれています。

そのニューロンとあなたの意識が融合して初めてこの世界に転生し、

活動することが許されるんです。」


目の前に並べられたstoneは、光り輝きながら不思議なオーラを放っていた。

その輝きには、スキルや能力の情報が文字として浮かび上がっていた。


アクア(水) スキル:治癒、直感、柔軟性、高生命力。

茶色(土) スキル:堅固、耐久性、防御。

赤(火) スキル:攻撃、情熱、破壊。

明るい緑(風)スキル:速さ、自由、移動。

淡い青(氷)スキル:冷気、凍結、熱耐性。防御。

黄色(雷)スキル:電撃、瞬発力、移動。

緑(木)スキル:治癒、保護、防御。

金色(光)スキル:治癒、純粋、平和。

黒または深紫(闇)スキル:欺瞞、禁断、破壊、魅了。

薄紫または透明(空)スキル:次元、空間、召喚、移動。

青く半透明(霊)スキル:精神力、魔霊術、保護・防御。

淡いピンクまたは薄紫エーテルスキル:宇宙、高次元、超越。愛。

ダイヤの様な光沢(結晶)スキル:美、魅了、治癒、保護。

濃いオレンジ(炎)スキル:情熱、破壊、怪力。

銀色または半透明(音)スキル:振動、平和、集中、混乱・撹乱。



うわぁ。何これ?? 

確か天使が話してたな・・・何に転生するかわからないって。

ということは選択をミスると植物とかになる可能性があるのか・・・

だめだ、迷う・・・


私はそのstoneたちを見つめながら、どうすべきか迷っていた。


選択をミスれば植物などになる可能性があると考えると、容易に決断することができない。


球体が再び話しかけてきた。

「そろそろ、次のパトロールに行かないといけないので、どれか選んでもらえますか?」

球体の表面が淡い赤に染まり、彼が少し焦っているのがわかった。


何かが促すように、stoneたちが次々と消えていく。

「紫stoneが消え。金色stoneが消え。黒stoneが消え…」


「えーー、ちょっとーー!消えるの早いー!」


私は焦り、

「じ、じゃ、ピンクにします!!」と急いで選んだ。


「エーテルですね。」

と言った瞬間、私の体はピンクの衣装を纏い、何やら別人格の意識が入り込んできた感覚がした。


目の前に「ID《Ms. Momoka》」と表示され、無事に転生が完了したことを示していた。


球体は、明るく輝きながらふわりと浮かび、

「無事、転生されましたね。では、私はこれで。この世界での活動を期待しています!」

と言い残し、まるで風に乗るように、優雅にその場から離れていった。


私は、彼の姿が見えなくなるまでじっと見送った。

何か奇妙で不思議な存在だったが、その存在がもたらす安心感は私の心に少しだけ残っていた。


「何かさん、どっか行っちゃったけど…とりあえず植物とかじゃなくて、ちゃんと転生できたみたい!」


ふと周囲を見回すと、彼女の周りにはゲージや文字が浮かび上がっていた。

•レベル:1/50000

•シナプス:1/10000

•魔力:0/10000

•体力:10/100

•行動力:10/100

•特殊能力:20/1000

•転生:10001/10000

•運:1/1000

•歴史:100/1000

•奇跡:0/3

「何これ?まるでゲームみたい…しかもレベル全部低っ…」


360°のVRゴーグルをつけているかのような景色が広がり、私は戸惑いを隠せなかった。

目の前には「奇跡」ゲージも表示されているが、現在のところまだ0個だ。


「この奇跡ゲージって何だろう…奇跡を起こせる能力ってこと?」


その時、別の人格が私の頭の中で何かが話しかけてきた。


「はい。その通りです、Ms. Momoka。奇跡を獲得するために必要なミッションは、この5つになります。」

1.転生数が1万回以上のプレイヤーを三人仲間にすると1つゲット。

2.レベルが10000の人を一人仲間にするか、体力を100にすることで1つゲット。

3.旅の途中で現れるローグを殺さずに1000体仲間にすることで1つゲット。

4.あと2つはシークレットで、現段階では非公開です。


その説明が表示されると、私の頭の中は混乱したが、一つの考えが浮かんだ。


「このスキルで奇跡を起こせば、地球を救えるかもしれない!…

でも、待てよ、ここは未来ってことは、地球はすでに滅亡してるんじゃ…?」


別人格は再び答えた。

「はい、Ms. Momoka。その通りです。」


私は少し絶望的な気持ちになった。

「もう手遅れなんだ…」


「いいえ、Ms. Momoka。まだ滅亡まで23時間と50分あります。」


「でも、ここは未来なんでしょ?」


「そうでもあり、そうでもないのです。光の速度で移動すれば、地球に到達するころには1400年後になりますが、今は2025年7月10日、15:10。地球はまだ滅亡していません。」


「光の速度で移動したら、どっちみち地球に戻る頃には滅亡してるんじゃないの?」


「はい、Ms. Momoka。その通りです。光の速度で移動すると1400年後に地球へ到着します。」


「・・・、 やっぱ、奇跡が起きないと無理じゃん…」


「ん?あれ?…

「あっ、えっ、

「そっか、奇跡か!!」

目の前に広がる新たな可能性を私は感じた!


「奇跡を起こせば、地球を滅亡から救うことができる!?」



そして、ふと気になった。


「さっきから頭の中で説明してくれているあなたは一体誰なの?」





その瞬間、遠くの宇宙で白く輝く稲妻が一つ光った。

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