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そこでいいんじゃない  作者: リトルバタフライ
5/41

1-5

「おはよー」「おはよ」


眠たい目を擦りながら座った。


まただ。また斜め前から見られてる。


見ていた彼女は軽く僕に会釈をした。


誰だ…知らないぞ


キーンコーンカーンコーンキンコンカンコン


ガラガラ


「静かにしなさいよ」


西川先生の数学の時間が始まった。


黒板に書き出されるXやY


コソコソと周りが騒がしい。


よく見ると手紙の回し合いをしていた。


右から左へ 前から後ろへ


僕に紙が回ってきた。


「はい、あの人から」


「あ、ありがとう」


小さな声で横の女性にお礼を言った。


(あの娘か…)


カシャカシャと回ってきた手紙を開けた。


[誠中の柳君だよね?私響中の野球部マネージャー]


と書いてあった。


(あ、そうなんだ、あの娘マネージャーだったんだ)


わかった途端何故か恥ずかしかった。


僕は返事の手紙を書き、響のマネージャーさんまで回してもらった。


[最弱野球部の柳です。よろしく]



響のマネージャーは笑っていた。


「こらっ!静かにしなさいよ」


西川先生はわかってるからみたいな顔で僕達を睨みつけた。


キーンコーンカーンコーンキンコンカンコン


授業が終わり、休み時間。


「あの…そうだよね?」


ボーッとしながら声の方に顔を向けた。


電気が流れた


ショートカットに程よく日焼けした可愛い顔。


「ほら、部活の自己紹介の時に」


「………」


「ねぇ聞いてる?私 中谷萌々愛 よろしくね」


「うん!うん!」


「はい?それだけ?」


「うん!  だから   うん」


彼女は首をかしげながら離れていった。


よく見ると可愛い人多いじゃないか



「ねぇねぇ、さっきの娘可愛いよね」


「うん、素晴らしい 笑」


「僕 浜田明、よろしく」


「僕は柳拓です、よろしく」


隣の席の浜田君から話しかけてもらった。


「柳君は陸上部?」


「うん、そうみたい。浜田君は?」


「そうみたいって笑。中学はバスケだったけど、陸上しよっかな」


「あ、さっきの人、そだ中谷さんだったかな。いるから? 笑」


「あはは 笑。1500Mどれくらいで走るの?」


「んー5分20くらいかな」


「同じくらいだよ・・・100M にしよっかな」


「適当でいいんじゃない」


「だよね、仮入部見にいくよ」


「うん待ってるよ」


初めて出来た友達  浜田明君


ずっと視線を感じていた。


浜田君と話してる時も、陸上部の人と話してる時も。


視線の方に目をやった。


彼女は  ニコーーッと白い歯を見せて笑っていた。


社会の授業が終わり、また中谷さんが来た。


「ねぇ、何の選手なの?」


「え?中学野球部だよ」


「聞いてないよ、陸上よ、何するの?」


「え?何したらいいのかな」


「はぁ?決まってないの?」


「うん、ボール投げとかないの?」


「砲丸?そんなガリガリで投げれる?無理だよ」


「じゃ100とか?」


「無理無理無理、小南と新田がいるから」


「わかんないやん、結構速いよ」


「2人は11秒前半だよ!勝てる?」


「浜田君、100は辞めよう笑」


「ちょっと!そっちの人も陸上すんの?」


「あ、僕 浜田明です。よろしく。多分入るよ」


「浜田ね、よろしく。えっと柳君だったよね」


「うん」


「真剣に考えなよ。今日パート練習なんだから」


「パート?何それ」


「あ〜じゃ中長にすれば?なんかそんな感じだし」


「中長?」


「800 1500 5000 3000scあるから」


「あははじゃ障害物競走でいいや笑」


「もう知らないからね!」


「中谷さんだったよね?何してるの?」


「え?私?私は幅跳びと400」


「へーそうなんだ…3Mくらいならいけるよ」


「何よ…しょぼ」


「いや別に…って…え?」


「もぅいい。また部活でっ。いいよね男子は」


「どして?」


「人数少ないから部室着替えでしょ?」


「うん、そう聞いたよ…ゴリラみたいな先輩に」


「いいなぁ女子1年は教室だよ」


「そうなんだ…」


「怖そうな先輩いっぱいだし」


「そかな…あ!そだ!なんで皆ジャージインなの?笑」


「え?そ、それは…わからない…けど…清潔だし、それに野球だってインじゃない」


「確かに…ユニホームはね。だけど考えた事なんてないな」


「でしょ?陸上だってユニホームもインだからね!ちゃんと入れなよ!判定妨げないでよ」


「はいは〜い」


「気楽でいいね柳君は。じゃ」


中谷さんは席に戻った。


「ぬおぉぉぉ可愛い!たまらんな〜中谷さん」


「は、浜田君 笑」


「何であんなに可愛いんだ!ズルいよ柳君」


「どしてさ」


「ん、君の存在がズルいんだよ笑」


浜田君は何を言ってるのかわからなかった。


「どうも〜私、東出ゆかり。よろしくね、あ、ほんでこの娘は小西さやかさん」


「ども、小西で〜す」


「柳です。よろしく」


「浜田です。よろしくっ」


「柳君と浜田ね、コニタン覚えた?」


「うん、柳君と浜田 了解!よろしく」


中々明るい二人だった。


続々と自己紹介をしてくれた5組のみんな。


「えへ、改めて、の、の、の野間千鶴です…柳君…よろしく…って手紙で書いたけど…」


「野間さんよろしくね 笑」


「うううううん、よろしくよろしくよろしく絶対宜しく」


「僕は浜田です。よろしく」


「はいはい」


「え?そんだけ?」


「だから浜田でしょ了解」


「柳君の時と全然…」


「そう?一緒だよ」


「う、うん……だよね、よろしく」



こうして僕は5組の皆と仲良くなっていった。


チラッと中谷さんを見たら


黙って何か見ていた。


それから少し後ろに 


(ヤバイヤバイ…あれは怖すぎるだろ)





ガラガラ


「じゃ英語始めるぞ!ツレテイク」


「ツレテイク」「ツレテイク」


「ニューホライズン」


「ニューホライズン」「ニューホライズン」


「ハウオールドアーユーを んーそだな柳」


「え?あ、アイ・アムジュニアハイスクールオッケー?」



「ん?なんや?大丈夫か?じゃ中谷」


「アイ・アムジュニアハイスクールスチューデント」


「……えとな…そんなん聞いたか?」



わからんが、わからんが…アホ仲間ゲットの気がした。


「じゃ野間」


「フィフティーンですよ〜私っエヘッ」


中谷さんは僕を見て


口を動かした



確実に  バカ と動いていた。


野間さんは僕を見て自分を指差し


手で15歳とアピールしていた。


僕は野間さんに手でオッケーサインを。


中谷さんには


ごめん と手を重ねた。


中谷さんは軽く微笑み頷いていた。



キーンコーンカーンコーンキンコンカンコン



暫しの休憩


野間さんが聞いてきた。


「ねぇねぇ柳君、あのグローブはセカンド用?」


「うん、そだよ」


「だと思ったーかなり小さいもんね」


「野間さん詳しいね」


「うん、野球好きだから」



この時はまだ野間さんはただ野球が好きな女子なんだとしか思ってなかった。


「でも残念だよ、野球しないんだね」


「うん、よくわからないんだけど…陸上だよ」


「そっか、高田、あ、響のピッチャーも残念がるよ」


「いたいた、僕見たよ。いたね、響のピッチャー」


「うん、野球するんだって」


「野間さんは?」


「仕方ない、野球部のマネージャーするのだ野田は」


「……笑うところ?野田?野間?」


「いいよ、柳君の好きにしてよ」


「あはは」


キーンコーンカーンコーンキンコンカンコン


6時間目はホームルーム


西川先生が来た。


「静かにしなさいよ!席替えしますよ〜」



ザワザワザワザワザワ


どんな席になるのやら…と思っていると



「先生、提案があります」


と上田君が話した。


「どうせなら、1年間この席替えに固定しませんか?」


ザワついた。


この席替えで1年間過ごす提案


「皆さんどうします?先生は反対よ」


「それしよ〜ぜー」「えー」


様々な意見がでたが、多数決で固定するに決まった。


黒板に書かれた席番。


窓側から


1列目 1〜9


2列目 10〜18


3列目 19〜28


4列目 29〜37


5列目 38〜46


先生は箱の中に46人分の番号を入れフリフリしていた。


名簿の順にクジを引き、机に置く。


全員引いた後名簿の1番から開いていった。


「あ〜25」


続々と決まってゆく。


浜田君だ


「マジか!1っす」


浜田君は窓側1番前に。


僕の番が来た


「9番です」



やった!窓側一番後ゲット


中谷さん…


「8番です」


あ…前だ


東出さんは16


小西さん17


野間さん19


1年間の席が決まった。


各自荷物を持って移動。


「中谷さんよろしく」


「柳君の前だね笑 よろしく」


「東出さん、小西さんよろしく」


「よろしく」「よろ」



ツカツカツカツカ


18番、僕の横に


(マジか……)



ギギギーダン


ツンツンした茶髪のポニーテールが座った。


固まったよ。怖いよ


「チッ」


彼女は舌打ちをし僕を睨み、股の間で本を読んだ


東出さんが


「あ……村山さんよろしく」


と挨拶をした。


この人村山って言うんだ。


東出さんは無視されていた。


暫くして目線を本から東出さんにかえ


軽く会釈した。


そして僕と中谷さんを見て


また黙って本を見ていた。


めっちゃ気になるよ 村山さん


しかし…スカート短いよな…


少し嬉しい。太ももがあらわな村山さん。


嬉しそうな僕に中谷さんが


「変態」


と笑って前を向いた。


この席で1年間過ごすのだ。


1番前から浜田君が手を振った。


手を振り返した時、村山さんが右に消しゴムを落とした。


椅子に座ったまま、消しゴムを拾う村山さん。


ごめんっ見える。村山さんごめん。


さっと拾い、机に消しゴムを置き


ゆっくりと僕を見た。そして


「あぁ?」


と言われた。


「すすすいません」



前を向いたまま中谷さんが肩を揺らして笑っていた。


ちょっと大丈夫かよ、この席


また横の席は股の間で本を読んでいた。


(小説か?……)


真剣な顔がかっこよかった。


怖いが シュッとした顔立ち。


かなりの美人さんだ。


見とれていると


「なんだよお前なんかよーか」


低い声で本を見たまま話してきた。


「すすすいません、ごめんなさいごめんなさい」


そっこー謝ったよ。



また前が肩を揺らして笑っていた。



さぁ席は決まった!勉強は楽勝!


今日から部活頑張るぞー











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