夏の汗と制汗デオドラント
ガラガラガラ
「うっわ!くっさー」
教室に充満する制汗剤の香り。もちろん中谷さんも村山さんも。
いつも思う。女子は教室で着替え、男子は体育館の更衣室で着替えをして体育をするのだが…
教室の戻った時の何とも言えない香り。
バタバタとシャツをつまんで放熱する女子達から発する
石鹸、オレンジ、レモンの香りが教室を漂っている。
「柳君、お疲れ」
「中谷さんもおつかれ」
「ね柳君・・・男子って剣道だった?」
「うん、そだよ」
「そ、やっぱり…そなんだ…ね」
中谷さんの会話を聞いていた村山さんが無言で僕に制汗剤を渡そうとする。
「村山さん いいよ大丈夫大丈夫」
「遠慮すんなよ」
「いいって((笑)」
「使えよ」
「いいって」
「・・・おまえ・・・使え(臭うから)」
「(こ、こわ・・・)はい・・・ありがと」
村山さんの制汗剤はレモンの香りだ・・・しかし・・・
ワキに直接使うやつじゃないか・・・
「む、村山さん・・・これさ」
「あ?何?」
「これってどうやって使うの?」
「はぁ・・・ワキに塗るんだよ!!」
「ぁ・・・いいのかな」
「なにが!」
「直接・・・使う・・・」
「・・・あっ!アホ返せ!あはは・・・かえせ・・」
「だよね、はい」
「お・おぉ…」
「はいどうぞ私の使っていいよ」
「中谷さん、いいよいいよ結構いやでしょ?」
「うん大丈夫だよ〜私気にならないかなぁ」
「え!マジでーじゃ借りよっかな」
話を聞いていた浜田君が 中谷さんの制汗剤を手にした。
バコッ
激しく頭を叩かれた浜田君
「な、なんだよ中谷さん…痛いじゃないか」
頭を手で擦りながら浜田君は苦虫を噛んだ。
「浜田、あんたは駄目だよ」
「…は…はい…ごめん」
そう言って制汗剤を中谷さんに返す時に
悲しい顔をしながら僕を見ていた。
「柳君、はいどうぞ」
「…や、やっぱり大丈夫(笑)あははは」
僕は借りる勇気がなくなった(笑)。
-琵琶湖商業-
「愛〜あんたレモン?」
「だよ、しおりは石鹸だね〜」
「うん。にしてもさー愛は胸ないよね〜キャハハ」
「あんたさ〜、何が言いたいわけ?はいはいないですよ、ないない、私はまな板ですよ〜だ!このう〇こ(笑)」
「最近よくそれ使うよね う〇こって。流行ってんの?」
「えー知らないの?キャピキャピにも載ってるよ」
「うっそだ〜!あの雑誌にそんなの載るわけないでしょ(笑)」
「あははないない」
「そだ、あれからどう?」
「どうって何が?しおりどしたの?」
「ほーそうきましたか。ほら優信の人よ」
「あ〜柳の事?」
「名前はしんな〜い。愛がいいなって言ってた人」
「うん、ちょくちょく電話してるよ」
「マジ?あんたら付き合ってんの?」
「ないない、親同士が知り合いでさ、たまたま話すのよ」
「ふ〜ん、そんな事言いながらドキドキして電話してんじゃないの?」
「(あ…)なわけあるか笑」
「そなんだ!10組の柴田って人が愛が好きなんだってさ」
「ふ〜ん興味ない(笑)」
「結構イケメンだよ」
「そなんだ。じゃあんたいけば?」
「はぁ?私は山本君だもん…」
「ヤマは誰か気になる人いるのかねぇ。また聞いとくよ」
「うん。でもさ、愛めっちゃモテるのに ほんと断るよね。一学期でもう9人だよ9人」
「だって…」
「優信の人が告ってきても断る?」
「柳なら速攻オッケーするよ(笑)」
「そんなに好きなんだ」
「うん、好き、大好き、でもさ〜ライバル多し(笑)」
「そなの?」
「なんとなくね。沢山彼を好きそうな人いるわ〜 あー腹立つ〜(笑)」
「そっか〜そのレモンの香りでも負けますか〜」
「優信も女ばっかだしね、どうせうちらと一緒で色んな匂いしてんじゃないの」
「ん〜その柳とやらは どんな匂いしてんだろねー。なんかこう、滴り落ちる汗、腹式呼吸から放たれるみだらな呼吸、脇に手をやりスポーツドリンクが口元から流れ落ち、あぁ、私はその汗を拭い、スポーツドリンクを拭って言い放つ!君は爽やかだね、抱きしめてって。すると彼はいった。しおり、僕は今汗だくなんだ。シャワーをしてくるよ。うん、待ってる!後ろを振り向いた彼からは薔薇の香りが漂っていた」
「…しおり…あんた頭大丈夫?つか柳の事知ってんの?」
「しらな〜い(笑)」
「ばっかだね〜(笑)簿記の宿題したの?」
「あー!ヤバい」
-優信-
ガラガラ
起立例着席
「じゃ佐藤、102ページ」
「はい。 2件隣の奥野さん宅にはブルドッグがいる。私は吠えられないように静かに静かに前を通り続けている。慣れてきたのだろうか…ブルちゃんはムクッと顔を上げ私を見つめる。目を合わさず、何食わぬ顔で制汗剤を塗りながら通り過ぎた。成功だ!後ろから寺本さんが来た。ガルルーワンッワンッワンッ!」
「はい佐藤有難う。じゃ池田」
「はい。 もうまたやんか、毎日毎日よー飽きもせんと吠えてからに! 」
「おばちゃん、私も苦労してるねん(笑)今日は成功したけどな毎日必死やねん」
「池田有難う。もっと感情入れて読んでくれよ〜。じゃ小西」
「はい。 寺本さんと話してると お父さんがきた」
※先生の心の声
(おいおい小西またや…勝手に話つくるなよ…)
ギャンギャンギャンギャンギャン。狂ったようにブルドッグのブドーは吠えまくる
(ブドー?また勝手に…)
きっとブドーは知っているに違いない、お父さんの秘密を。 お父さんめっちゃ吠えられてる。私は父に笑いながら話した。父は眉間にシワをよせ、ブドーを睨んでいる。その顔をみたブドーはさらに吠える。父は私に
「すまん先に行っといて、トイレや。」
そう言い残し家に戻りだした。その後ろ姿に吠えるブドー。
小走りにお尻をモジモジしながら帰る父…そっか、昨夜はあまり食べた事のない夕食だったのだから。
(はぁ…もう先生しらん・・・仕方ないか…5組やしな)
「小西有難う。じゃみんな考えよう!また父はもよおしたようだな。今回はきっと間に合うだろうな。家そこだからな。じゃ昨夜は何を食べたんだろうな…中谷どうだ?」
「そもそも父は食べても食べなくてもお腹が緩いのではないでしょうか?」
「有難う、そうかもしれないな。村山どうだ」
「チッ(しらね〜よ)パンツ履き忘れたんから嘘ついて戻ったんじゃねーのかよ」
「村山、どうしてそう思った?」
「はぁ?(ウザ)このおっさん何すっかわかんないしね!家帰って今頃必死で探してんじゃねーの」
「なるほど〜村山、いい意見だ」
「(あほか)ども」
「じゃ浜田」
「僕はオムライスを食べたと思います。なぜなら僕が食べたいからです」
「そうか。じゃ柳どうだ」
「柳拓調べによりますと男性のハンカチ鼻紙持参率は1.5割・女性は4割だと確信しております。先日の持参率より少しだけ増えたかもですが、僕は ほらっ!」
「おお!柳~お前の鼻紙 前より進化してるじゃないか」
「先生、当たり前じゃないですか。僕のお母さんはトモダチマートにいるんですよ。これは限定の鼻紙なんですよ」
「すげー」「ほしい」「くれ~」
僕は母からもらった鼻紙をみんなに見せた。
後日談だが、同じように琵琶湖商業の町田さんも自慢げに限定ティッシュで鼻をかんだらしい。
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン
「じゃ中谷さん先行くね」
「うん」
ダダダダダ
「こら!廊下走るなっ!」
「しゅうご~~~~~~う!」
「お願いします」「お願いします」
夏休み前の練習。
ジリジリと皮膚を太陽が焦がしていく。
陸上部員は小麦色に焼けメッシュのTシャツが絞れるくらいに汗で濡れていた。
坂下先輩と鈴木先輩、港先輩と鵜飼先輩は僕達男子のメニューに混じっていた。
「ほらほらカモンカモン」
「声出していきましょう・元気出していきましょう」
「はい」「はい」
ダダダダダ ダダダ ダダダダダ
「ハァハァハァハァ・・・拓ちゃん大丈夫?」
「はい、大丈夫です」




