都大路にいこうよ
「あ〜ぁ、血がでてるじゃない…もぅ!先生は体育祭楽しんでたのに!で、あの男の子は?」
「ね、ね、先生もカッコイイって思ってた?」
「…あなたねぇ、ワザと転けといて森先生が来たら彼のせいにして…ヤな娘ね!嫌われるわよ」
「もぅみんな嫌ってるもん!いいもん別に。絶対絶対ぜ〜ったい柳っちの気持ちが私だけに向くからね!」
「はぁ…あなた頭でも打った?」
「あのね、小島先生だったよね?知らないでしょ!柳っちの野球センス」
「うん知らない。てか私の名前知ってるんだ」
「うん、知ってる。彼、凄いんだからね!」
「じゃなんで陸上してんの?あのこ」
「う〜ん、わかんない。私さ、小学生の頃に柳っちを初めて見て、それからずっとファンなの!1番〜ショ〜ト〜やなぎ〜背番号ろく〜。たまになんだけどアナウンス流れるのね。あれがたまらなくてさ。サラッと左打席に入って、サラッとヒット打って走ってカッコいいんだよ。小さいグラブはめてさ〜下からさばいてさ〜サッとアウトにすんの!わかる?流れるような動作」
「(うわぁ…無理だわ私)あはは先生わかんない」
「絶対甲子園行く高校行くと思うじゃん?」
「(じゃん?)そ、そうなの?」
「うん、まさか激弱の優信とは…しかも陸上部…でも…奇跡だよ!おな高&同じクラス!これはもう旦那様決定だよね?ね?だよね?」
「…は?やっぱり頭打った?病院行く?」
「ね〜ね〜先生ぃ、どうしたら柳っちゲットできるかな?」
「あはは〜無理〜っ!きっとむり〜だと思うなぁ先生は」
「…血とまったから帰る!あのさ、先生って可愛いだけだよね。中身ガキじゃん!じゃ」
「ちょっと待ちなさい!」
ガラガラ
「ばーい…ブス」
「(あっ…なにあの娘)ちょっと!」
-待機場-
「柳君大丈夫?」
「拓ちゃん…」
「柳…」「柳君…」
「あはは、すみません失格でした申し訳ない」
「拓ちゃん足から血でてる」
「ほんとだ」「おいおい大丈夫かよ」
「大丈夫大丈夫、東出さん吉川ごめん」
「鵜飼先輩も中谷さんも」
「いいって…野間さんがワザとやったのみんなみてたから」
「ごめん。浜田君ごめんよ、村山さんも」
「大丈夫だよ、オケツしないと」
「浜田…止血だろ!」
「あはは村山さん話してくれたね笑」
「…浜田さぁ、こいつの足見て顔色悪いよな?お前、血だめなのか?」
「あは〜大丈夫大丈夫…村山さん、柳君大丈夫〜じゃ僕はいくよ」
テクテクテク
「あ…帰ってきたよ野間さん」
「みんなごめ〜ん!柳っち〜皆に謝った?あんたがコケて失格なんだから…ちゃんとごめんて言った?」
「…野間さんあのさ」
テクテクテク
「ん?村山さん何よ」
「野間てめえ!お前がワザとコケて柳との距離楽しんでたんじゃね〜か!」
「…はは〜ん、村山さん羨ましいんだ!そっかそっか!あんた柳っち好きだもんね!」
「は?」
「は?なにが?わかりやすいよ、村山、中谷、鵜飼、あんたら柳っち好きじゃん!自分の気持ち抑えてさ〜よく我慢してるよね〜。ついでにさ、気づいてないんだろうけど、鈴木さん?なんだっけ?陸上部の先輩、あんたも柳っち好きなんじゃない?世話役ふりしてさーてかさ…どうせ嫌われてるんだしハッキリ言うよ。手に入れるならなんでもするから私!これは運命なのね。見てただけの人が近くにいて、まさかの毎日にドキドキしてんのよ!あんたらにはわからないでしょ!絶対譲らないからね。あ〜ぁ柳っち…足から血でてるよ…痛いよね…ヨシヨシ、心配いらないよ、私がいるからね」
「…」「…」「…」
この時…ピンクチームは
無言と同時に
野間さんのなんとも言えない雰囲気に
だんまりだった。しかしこの中で
「あはは〜演説終了?はいはいお疲れ〜っお疲れ!」
「(鵜飼さん)…あはは元気だった?連絡くれないから悲しかったよ〜」
「ごめ〜ん。誰?」
「え?私だよ野間千鶴だよ、ちーちゃんだよ〜」
「ふーん、そなんだ!ごめんっ興味ない。で何?拓ちゃんが好きなの?残念だよ、拓ちゃんは あんたに気ないよ」
「…何言ってんの?ねぇ、何言ってんのよ!アホ!バカ…アホ!鵜飼アホ!」
「ほらほらカッカしちゃって〜。仕方ないよね、ほんとだもん。ね、拓ちゃん」
「は、はい」
「ほらね。残念だけど、諦めなよ」
「…無理、絶対無理。今日はもういい!柳っち、大好きだよ!お疲れ〜っ」
テクテクテク
ピンクチームの雰囲気が他のチームにも伝染していた。
新田君と平田さんがきた。
「大丈夫かよ」「大丈夫?」
「有り難う、大丈夫だよ」
「あいつヤバいよな」
「ま、大丈夫だよ野間さんも別に悪気ないと思うよ」
「柳 お前さ、お気楽とゆ〜か、なんか他人事なんだよな」
「そうそう」
「そ、そうかな」
「あぁ、ビシっとしろよ!俺はお前嫌いって言えよ」
「新田くん…野間さんを好きじゃないけど…そこまで嫌いでもないし…」
「はぁ?」「は?」「え?」「拓ちゃん?」
「はい?」
「ふぅ、いいか、お前は あいつにつきまとわれてるんだぞ!それで、周りにも迷惑かかってるんだ。わかるよな?」
「うん、わかるけど…」
「あ〜イラってするわ!怖いやろ?あいつ」
「うん」
「ほならなんでハッキリ言わへんねん」
「だよね…」
「あかんあかん!お前も悪いわ!その態度が勘違いさせる。あかん!洋子いくぞ」
「うん…柳君、嫌なことは嫌ってハッキリ言わないと駄目だよ」
「うん。有り難う、難しいよね…」
「…わかるけど…ちょっとあの人行き過ぎだと私は思うよ」
「平田さん…気を付けるよ」
「うん、じゃ」
新田君と平田さんは去った。
村山さんが
「お前さぁいい人すぎんだよ。悪気ないんだろうけどな」
「…そうなんかな」
「そうだろ。じゃ、聞くぞ!誰か好きな人はいんのかよ!」
(ゴクリ)(ゴクリ)(ゴクリ)
「……」
「な、聞いてる?」
「村山さん…あのさ…お願いがあるんだ」
「な、な、なんだよ」
「ほら、男子はさ、全然無理なんだけど…女子さ、都大路…」
「ん?お前何言ってんの?」
「お願いがあります。僕達男子は必ず応援になります。でも女子は琵琶湖商業、緑学園、東高に勝って都大路に言ってほしいんです。陸上部に入ってくれないかな」
「は?お前…話しが違う方向じゃないか」
「わかってる、でも坂下先輩、鈴木先輩、港先輩、鵜飼先輩…今日の走り見て思った。みんな思ってる。入ってほしい。お願いします」
「……」
「私からも改めてお願い」
「私からも」
「私も」「うちも」「僕も」
「……柳…中谷…浜田…陸上部…」
村山さんから誰か好きな人はいるのかと訪ねられた僕。
答えに困った僕は、村山さんを陸上部に誘う返事を返した。
困った顔とビックリした顔が混ざった村山さん。
短く切った髪が艷やかだった。
鵜飼先輩や中谷さんは村山さんから返事を待ってる。
なんだろ…みんな素敵だ。
駄目なんだろな、この優柔不断が。
「…ま、またな」
そう言って村山さんはこの場から去った。
鵜飼先輩が
「ま、よしだよ。拓ちゃんの言葉聞いて彼女ちょっと気持ち揺れたね」
「そなんすか?」
「うんうん、まーでもよく話を違う話に変えれるね〜」
「え?そうですか?」
「あはは、気づいてないの?ま、いいけど…あ、そだ、琵琶湖商業の娘がね聞いてきたよ」
「誰です?」
「ほら生意気な1年の町田って娘」
「あ〜なんか言ってました?」
「ないしょ〜」
「ちょっと先輩〜」
「あははないしょ〜、じゃ山際さんとこいくよ。またね〜」
「もう…お疲れ様です」
「柳君…仲いいね」
「中谷さん…」
「先輩が好き?村山さんが好き?」
「え?」
「答えなくていいよ」
「……」
「お疲れさん」
「あ、えっと…」
「3組の浅井だよ」
「あ〜お疲れさま」
「うわぁすんごい血!保健室行った?」
「今からいくよ」
「うん、早く治療してもらいなよ」
「有り難う」
「うん、じゃまたね」
「うん、また」
足からの出血を止めるため保健室に行った。
ガラガラ
「失礼します」
「は〜い!やっときたねぇ笑」
「すみません、足から血が」
「うん、座って」
「はい」
「陸上部大変?」
「え?」
「ほら、入学式の日、小野寺先生はどこかって」
「あ!そうです、有り難うございました。先生でしたね笑」
「うん」
黙って先生は消毒をし、止血をしてくれた
「よしっ!」
パンッ
僕の太ももを叩き
「もっとも食べなよ〜終わりっ!」
そう言った
「有り難うございました」
「うんがんばれ〜」
「失礼します」
「うん」
ガラガラ
痩せた僕がいた。
42キロになっていた。
(あ〜ぁ私あの子の前…緊張するわぁ…恋かな……ダメダメダメダメ生徒なんだから)
すれ違う先生に挨拶をし
グラウンドに戻った。
僕を見つめる立て看板の
ピンクエロガッパ。
僕は
「お前は誰が好きなんだい?」
と呟いた。




