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そこでいいんじゃない  作者: リトルバタフライ
3/41

中学最後

ファイトーオー・ファイトオー


「な、な、中谷・・・あ、あのよ、好き、好きなんだ」


「ごめんなさい・・・」


「あは・・あははは・・・だよな」


「萌々愛 行くよ」


「うん」















「よーい」  パンッ


「11秒にーろくです」


「ふぅ…まぁまぁかな」







      誠中学野球部


「サード!」


僕は 柳拓ヤナギタク1番ショート


市内で1 2を争う弱小野球部。


最後の夏の中体連…1回戦が


もう1つの弱小野球部  響中学と決まった。


事実上の最弱決定戦だ。


僕はお父さんの影響で、小さい頃から野球をやっていた。


お父さんは甲子園には出れなかったが、大学からもオファーがあったらしい。


しかし大工になりたいと言い、本気野球を辞めた。


今は草野球をガッツリ楽しんでいる。


そんなお父さんだが、一度も強制してきたことはなく


「やりたい事をやれ!決めたらケツわるなよ」


それだけを言う。




ガラガラ


「ただいま」


「拓、お帰り、どう?最後の夏いけそう?」


どちらかと言うと、お母さんの方が興味だけあるみたい。


「1回戦な、響中学やねん 笑」


「あらまたぁ〜いきなり決勝やんかあんた 笑」


「え?何ゆーてるんよ」


「何て...1位決める戦やんか あははは 後ろから」


お気楽と言うか、ネタにされてると言うか


ま、頑張ろ。




そして中体連の1回戦


僕達の誠中学は響中学に負けた。


同点で迎えた7回裏ツーアウト2.3塁のピンチ


相手の打球はライトへ


高く上がった打球。


口を少し開けた 増山。


ショートから見えた景色。


センターの田村、セカンドの山本がカバーに走り


僕の横を2塁ランナーが走り抜ける。


「よし」


ピッチャーの古田が叫んでいた。


時間が止まったかのようだった。


「眩しい!!」


左でグラブを天に差し出し


右手で光を遮り


そして・・・


ポヨンと白球が跳ねた。


うずくまった増山の前に転がる白球を


誠中学野球部員は呆然と見ていた



「整列っ!ゲーム!」


「有難うございました」


僕達の夏は終った。


顧問の田川先生は腕を組み


「さ、帰ろう」と。


響中学の先生なんだろうな監督の織田さんが近づいてきた。


「田川先生すんませんなぁ、勝ってまいましたがな」


「織田先生、2回戦も頑張ってくださいよ」


「そうでんな…しかし1番の子にやられましたわい」


「はい…うちは彼中心のチームでしたもんで」


「高校も楽しみですな」


「はい、ありがとうございました失礼します」




「あ〜ぁ終わっちゃったー残念…かっこいいなー誠の1番の柳拓。はぁ素敵」


「あはは、もう覚えたのかよ」


「ブブー少年野球から知ってるの!」


「へーさすが野球好きだな」


「当たり前よ、凄いんだから彼。高校どこなんだろ」


「帰るぞ!早くしろよ」


「待ってよ、高田〜、どうせ次ボコボコだよ」


「うるさいよ、マネジャーらしくしろよ」


「はいは〜い」






ガラガラ


「ただいま」


「お帰りっ!どやった?てあはははは負けたやろ」


「う、うるさい」


「わかりやすっ、あんた わかりやすいわぁ」


「仕方ないやん…」


「しゃーないやん済んだことゆ〜たかてあきません」


「わ、わかってるけど…」


「はぁ?けどなんや?ウジウジしてんと風呂入り」


「うん」



チャポン[風呂の中]


「ふぅ…はぁ…あ〜も〜考えるな!」



      台所


トントントントン


(よくがんばったね、お疲れさん)


「拓、はよ上がりや〜。あんたの好きな ざる蕎麦やで」


「はーい」



ガラガラ


「帰ったで〜」


「あらお父さんお帰り、拓はお風呂」


「どやったんや?」


「田村君のお母さんに聞いたんやけどサヨナラ負けやて」


「そうか」


「ほら上がってきたわよ」


「あ、お父さんお帰り」


「よ〜お疲れ!負けか、そか」


「うん」


「さ、ご飯や」



いつも通りのお父さんとお母さん。


お父さんはビールを飲み、枝豆を食べていた。


何も言わないが、テーブルには僕の好きな


ざる蕎麦があった。


「あ、そや、拓よ、ボチボチ勉強せーよ」


「うん…ま、うん」




秋になり、皆本格的な受験モードになっていた。


文化祭、合唱コンクールを終え


三者懇談の日が来た。


「ん〜お母さん、どないしますか…」


「なんとか公立で…」


「まぁ、お気持ちは解りますが、な、柳…お前」


「はい…」


「今観学園はいかがです?私学ですが、新設校ですし…」


「はい、ちょっと帰って相談します、失礼します」




僕は廊下で母に「アホ 笑」と言われた。



担任の井上先生は私学を薦めた。




       職員室


電話中の高城先生


「はい、そうです、彼女の気持ちは決まってるみたいですので、是非お願いします。そうですよ小野寺先生」





ガラガラ


「はぁ…」


「井上先生どないしはりましたん?」


「聞いてくださいよ丸田先生、柳ですよ」


「柳?あ、体育優秀の」


「どないしましょ…今観薦めたんですがね」


「そうなりますわな、新設校ですし」


「そやけど お母さんがどうしても公立にと」


「ん〜厳しいですなぁ…」




電話中の高城先生


「えぇ、そうですね、今は進路で各先生大変なんですよ。はい、今も体育の成績は抜群なんですが他が…え?性格は真面目ですよ、はい3年間無遅刻無欠席ですし、はいはいそんな子もおりますけど、勉強が・・・あはは、みんな大変ですわ。は?何をおっしゃってます?はい、はい、え?はい、一度聞いてみます、はい失礼します」


ガチャ



「井上先生?井上先生!」


「高城先生、なんですか?」


「今ね、青木ミカの、ほら陸上推薦の」


「あ〜優信高校」


「はい、顧問の小野寺先生と話てたんですが、なんか、柳もらいましょかって…」


「は?」


「いや、だから…優信に」


「えぇ?そやけど…野球部ありましたっけ?」


「一応あるみたいですが…柳の話、こちらから進めてよろしいでしょうか?」


「はい、お願いしますわぁ助かります」



     



       しばらくして



「柳、お前 優信高校行くか?」


「は?優信高校?」


「俺もよーわからん、高城先生に聞いてこい」


「はーい」



「高城先生」


「おー柳、陸上せ〜へんけ?」


「はい?いや、興味ありませんよ 笑」


「そりゃそやな。優信の話や、受験しろ」


「え?てかどんな高校ですか?」


「そやし、私立は今観受けて、公立は優信や」


「は、はぁあ…」


その後も全く優信高校を調べない柳であった。




ガラガラ


「ただいま」


「お帰り」


「なぁなぁお母さん、高城先生がな私立は今観受けて公立は優信受けろやて」


「優信?どんな学校よ? 笑  もう好きにして、お母さん知らん」


「知らんけど、ま、ちょっと勉強するわ」



僕は冬、少し勉強頑張った。


何故か分からないが、今観に受かり


卒業式を終え合格発表の日


「あ・・・あった」


優信も受かっていた。



ガラガラ


「失礼します」


僕は高城先生に受かった報告をしに来た。


「先生、受かりました」


「そか、決まってたからな」


「はい?」


「お前は優信決まってたわ。ゆーたら勉強せーへんやんな。ま、受験の成績もまさかの普通に合格してたけどな」


「はぁあ」


よくわからないが、とりあえず優信なんだよ僕は。







-大路中学-


「新田先輩!」


「お〜渚」


「先輩、優信おめでとう」


「あぁ、推薦だったしな」


「じゃ私も来年行きますね」


「インターハイ選手になって待ってるわ」


「楽しみー、女子だらけでいいなー」


「アホか」


「先輩モテるからな〜」


「お前なぁ」







-川村中学-


「ほんとに優信でいいのかね」


「鈴村先生、あれだけ頭下げられたら 笑」


「しかし小南よ、沢山オファーあったじゃないか」


「僕は地元で頑張りたいですし今更ですよ先生」


「優信は知ってる通り、短距離男子部員おらんじゃろ」


「あはは、ですね、僕が歴史を作ります」






-中町中学-


「萌々愛、優信だよね」


「うん、幅跳びの推薦決まってたから」


「いいなー、私なんて…きゃは」


「澄子は大丈夫よ、また会えるよ」


「だよね〜つか、ちょっと可哀想…」


「どして?」


「だって優信…女子ばっかだし、萌々愛大丈夫?」


「大丈夫って何が?」


「あれだけ告白されてた女子が男子の少ない高校に」


「だから何よ?私は陸上しに行くの」


「あ〜あ、折角の青春をスポーツに捧げるとは」


「いいじゃない別に」


「いいけど…私は恋しまくるから」






-響中学-


「高田、また一緒だねぇ」


「腐れ縁だな。で、わかったのかよ」


「わからないの…他県に行くのかな…野球上手いし」


「あは、あはは下手ですんませんな」


「高田は普通だよ、柳君が特別」


「そんなに特別ならすぐわかるだろ…あ、お前の中の特別な 笑」


「うるさい!てか高田は優信でも野球やるの?」


「もちろん、お前は?」


「えー高田一緒ならやんない」


「だよな、あんま強くないんだってさ優信。しかも女ばっかだし・・・部員いるのかよって感じ」


「だよね…なんか探そっと」






-誠中学-


「ミカ、改めて優信高校おめでとう」


「お父さんお母さん有難う」


「福田さんは?」


「福田さんは緑学園だよ。お嬢様だもん」


「そうか、でも彼女も速いよな。ミカはインターハイだけどな 笑」


「もちろん、優信は今年もかなり集まってるみたいよ」


「へー流石だな」








「わはは ほら食え、お祝いだ!拓、食え」


「もう食べれないよ」


「誠から何人優信に行くんや?」


「知らん」


「どんな学校なんよ」


「え?知らんよ。野球部は弱いのはわかる。いつも2回戦位で負けてるから」


「そや、硬式のグローブな、これ使うけ?」


「マジ?いいの?ほんまにいいの?」


「あぁ、やるよ」


「有難う。友達沢山作って野球部強くするよ」


「先輩とかに負けるなよ」


「うん、男子野球部集めまくるから」






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