自分なりに
ピンポンパンポーン
「1年5組 柳、放課後 体育教官室 小野寺まで。1-5柳、放課後体育教官室小野寺まで」
ピンポンパンポン
「や、柳君・・・何かしたの?」
「・・・浜田君・・・これは恐怖の何物でもないね・・・」
放課後 小野寺先生に呼ばれた。
ガガガ
「じゃ・・・村山さんまた明日」
「あぁ」
村山さんから貰ったキーホルダーは自転車の鍵につけてある。
落ちたら最悪なので・・・家にあるスペアキーに。
「ふぅ・・・」
溜息しか出ない。
あの空間は一度入ったが・・・
「ふぅ・・・」
「ははは柳君顔ヤバいよ」
「東出さん・・・行くのいやなんだよ」
「じゃ行かなきゃいいやん」
「それは・・・」
「はいはいさっさと行きなさい!もうじれったい」
「ぅん・・・じゃ」
トボトボと校舎を出てグランドを歩いて教官室に向かっていた。
コロコロ
「あ・ごめんとって」
ピシュッ
パン
「・・・あ、ありがと」
「はい」
(なんだこいつ・・・いい球返ってきた・・・)
「高田!ちゃんと投げろよな」
「住谷先輩、ちょっとビビった?」
「何が?」
「さっきの返球。あれが誠中の柳です」
「え?今のが?そうなんだ・・・(噂は聞いてたけど・・学校弱かったからな)」
「そう、あはは俺の次に上手いやつっす。あははは」
(あほかこいつ・・・毎回暴投じゃねーか・・・いい球だったよな・・・)
コツコツと鉄階段を上がり
トントン「失礼します、1年5組の柳です」
「入れ」
「失礼します」
(おっと・・・凄い!ジャージが1・2・3・4・)
ソファーに座り、TVを観ながら後頭部で手を組んでいる先生が僕を見ないまま
「何の用事や!」
「・・・・あ・・小野寺先生に呼ばれまして」
「まだおらへん。待っとけ」
「はい」
シーーーン
沈黙の時間。直立不動で待つ。
「すまん、ちょっと退いて」
「はい、すみません」
部活に行くのかな、数名の先生が去っていった
カチャ
体育館側の階段から小野寺先生が入ってきた
「おー小野寺、ずっと待っとるぞ」
「すみません、こいつアホなもんで」
「見たらわかるわ」
(なんやこの先生・・・顔みてへんやんけ泣かしたろか!・・・ってめっちゃ強そう)
「柳、どうした?何か用事か?」
「はい?」
「だから何だ?言ってみろ」
「えっと・・・」
「あの・・・校内放送でですね・・・その・・・僕を」
「はっきり言え!小野寺、この子なんや」
「すみません小山先生」
「俺こんなんばっかり担当ちゃうやろな!」
(・・・担当?・・・はぁ?・・まさか・・顧問に・・・)
「すみません、彼は特別です。で話はなんだ?」
「校内放送で呼ばれましたので来ました!!」
デカい声で言ってやった(あははざまぁ)
「誰が呼んだんだ?」
「・・・」
「あははは すまんすまん冗談やないか」
(・・・・)
「柳!」
「はい」
「お前・・・」
ドキドキドキドキ
「俺は保体で酸性雨と体のダメージについて授業したよな?」
「・・・・はぁ・・・い」
「じゃどうして酸性雨が選挙権になって社会の授業になるんだ?それに飲酒は25歳だと言ったよな?間違ってるぞ」
「え?あ・・30でしたっけ」
「20だ」
「はい」
「中谷は中谷で靭帯損傷を身体温存っていってたよな」
「・・・・」
「勉強してるのか?お前らテスト次第で総体わかってるよな」
「は、はい頑張ります」
「そうか、中谷にも言っとけ!15点以上とれ!」
「はい!(15点?マジか…)失礼します」
「それから浜田にルールはわかってるよなといっとけ!!」
「・・・・」
「返事!」
「はいっ・・すみません失礼しました」ガチャ
コンコンコンコンダッシュで階段を駆け下りた
1秒でも早くこの空間から出たかった
そっこー部室へ
「柳君先生なんだった?」
「浜田くん・・・」
毎日楽しそうな浜田君に僕は
「・・・ルールわかってるよな?だって」
「・・・え・・・」
黙って二人で部室に入った。
「へ~~~~い柳~~浜田~~~~」
シーン
「先輩・・・毎日幸せっすか?」
「は?当たり前やないけ。どや?また筋肉育ったぞ笑。浜田お前どないした」
「毎日毎日筋肉見せつけて、腕相撲させて自慢しておもろいっすか」
「・・・あのよ・・・誰に口聞いとるんや浜田・・・どした」
(・・・ヤバくない・・・浜田君・・・)
「はぁ・・・ウザ」
「・・・あ?何やて?おい浜田・・・もっかいゆーてみー」
浜田君は上条先輩を睨みつけた
と同時に外に吹っ飛んでいった
「キャー何何?」「浜田ちょっと大丈夫?」
「上条何?どしたの」
「あ?教育じゃ。今お前睨んできたよな?」
「・・・す」
「立てこら浜田!」
「キャー上条!!」「先輩ストップ」「コラボケ」「ちょっと上条やめなって」
「早く北川呼んできて」「はい」
「・・・すみません・・・そんなつもりじゃ」
「ほなどんなつもいじゃ?ゆーてみー!!おー!」
(やばい・・)「先輩すみませんでした。僕から言い聞かせます。すみませんすみませんっ」
「柳、お前も1年全員調子乗るなよ。出来るとか出来ないとか関係ない!礼儀正しくしろ」
「・・・はいっすみません」
「次はないぞ浜田。わかったな?」
「はいっすみませんでした」
(ヤベェな先輩)
流石の新田君もビビっていた。
上条先輩は・・・・ゴリラの中のキングだ。キングコングだ。
「浜田君大丈夫?かなり・・・」
「柳君ありがと・・・ごめん、さっきの話でイライラして」
「うん、でも相手考えないと・・・」
「だね、北川先輩にしたらよかったかな」
「まぁ・・・ちょっとそれもどうかと」
「あはは だよね」
「浜田!コイこら」
指二本をたてて上条先輩が腕相撲体制で ふじ棚の椅子で待っていた
ちょっと間があったが
「・・・負けませんよー」
走って浜田君は上条先輩に撃沈されていた。
「こーゆーところなんだよね」
「坂下先輩」
「あいつが好かれるところは」
「いい先輩っすね」
「うん、めんどくさいけどねー笑」
「ドリャー!まだまだじゃガキ」
「明日は勝ちまっせ筋肉野郎!」
冗談の時はサラッと流してくれるけど笑。
「集合!」
ダダダダダダ
「三原、全員に配れ」
「はい」
この日、春季高校総体のプログラムが配られた。
5000Mの予選は2日目の14時・決勝が3日目の15時だった。
「柳、お前終わったな笑」
北川先輩がプログラムを見ながら話してきた。
「ま頑張れ」
「はい」
予選 2組8プラス2
僕は2組だった
「拓ちゃんわかる?」
鵜飼先輩が
「いい、各組8着までは決勝に行けるの。で、プラス2は1組2組関係なくタイムが速い2人が決勝に行けるのよ」
「へー」
「で、拓ちゃんは外側から入ってくるの。わかった?」
「な・なんとなく・・・はい」
「あ・・・いるよ、緑学園の佐久間」
「うわぁ・・・ほんまっすね」
「あーあ可哀想に、山田に遠藤、佐々木凛に児島、本橋・山本・頑張りなよ笑。みんな15分半切るから」
「・・・ん」
チーン
「特に東高の佐々木凛さんは速いからね」
「そうなんすか」
「うん、双子。で浜田が出る1組に弟の佐々木涼さん」
「ややこしいっすね」
「見たらもっとわかんないよ。同じ顔」
「へー僕は先生に言われたタイムで頑張ります」
「うん、周回遅れなんて気にするなー笑」
「周回遅れ?」
「うん、そのタイムなら絶対周回遅れじゃない」
「なんでですか!!」
「あはは・・・ほんと・・・ま 頑張りな・・・あははは」
「はい、やってやりますよ僕は」
「うんうん」
少しだけ中谷さんと目が合った。
だけどすぐに中谷さんは青木さんと競技場に行ってしまった。
「坂下・鈴木は競技場へ、その他は坂へ!」
「はいっ」
腕を組んで小野寺先生は厳しめの声で叫んだ。
「鵜飼、柳、浜田はちょっと残れ」
「はい」「はい」「はい」
他の部員は練習へ。
「鵜飼、忘れてはないよな。昨年の7着」
「はい」
「お前と東高の倉本の違いは何だ!」
「油断と貪欲さです」
「そうだな。6着で近畿大会に出れると思っただろ?」
「・・・はい」
「ゴール手前、ほんの一瞬、お前は気を抜いたな。倉本は最後まで走りきったぞ」
「はい」
「今回はどうだ?1500をどう走る?」
「もう悔しい思いはしたくありません」
「じゃお前の設定は4分30!!いいな」
「・・・はい」
「柳、浜田、お前らは初めての5000だ。設定タイムより速いのは許す、走りぬいてこい!」
「はい」「はい」
「僕やりますよ!17分半で走って、絶対相手が15分台でも周回遅れされませんから」
「僕もされません」
「・・・お・・・おまえら・・・・」
「先生!僕ら頑張ります」
「・・・そ、そうか、頑張れ(アホすぎだな笑)以上だ!各自練習に」
「はい」「はい」「はいっ」
昨年の1500決勝。鵜飼先輩は6着で近畿大会に行けると確信したらしい。
ほんの一瞬・ゴールするほんの一瞬の気のゆるみ。その瞬間に抜かれたらしい。
・・・倉本さんって人に
「じゃいこっか」
「はい」「はい」
何もないフリしてるけど、負けん気強いんだよなー先輩。
「拓ちゃん浜田、絶対最後まで手抜いちゃだめよ」
「はい」「はい」
「それから浜田、上条にむかっていくなよ笑」
「はいすみません」
「うん、上条だって毎日努力してるの。みんなもそうよね。結果出ない人も沢山いる。女子は部員が多いから大会でれない子も多いの」
(そっか・・・全員出れるわけじゃないんだ)
「でも頑張ってるの。だからあなたたちも手ぬかないでね」
「はい」「はい」
「じゃ浜田はここで、拓ちゃんは私とロードよ」
「はい」「はい失礼します」
タタタタタ
「中谷と話してる?」
「はぁはぁ い・いえ・・・」
「そうなんだ、また仲良くなれるよ」
「はぃ・・・」
「私さ・・・部活やめようかな・・・」
「・・・・・え?」
「・・・・冗談よ冗談笑」
「ビックリしますやん はぁはぁはぁはぁ」
(・・・君が・・・)
「ごめんごめん、もう言わないから」
「ほんま頼みますよ」
「だからごめんって」
この日のロードは凄く短く感じた。
ゆっくりとペースを落とす先輩。夕日が先輩の紅い顔をさらに紅くした。
ニコッと笑った先輩はジーっと僕を見て
「自分に負けるなよ」
「はい」
「じゃダウンね」
「はい」
裸足になり競技場の芝生をゆっくりゆっくりと。
タタタタタ
「あ、あの・・・」
「川口どうしたの?」
「中谷さんが鵜飼先輩に用事がって・・・」
「そう、ありがと。じゃ拓ちゃん、何か呼ばれたみたいだからまたね」
「・・・お疲れ様でした」
「お疲れ様」
競技場を後にし、学校へ
「よっ」
「あ村山さん、こんな時間にどうしたの?」
「漫画に夢中でさ・・・今になった・・・て今終わったのか?」
「うん、今から着替えて帰る」
「そ、そうか」
「すぐ着替えるから待ってて」
「え?」
「じゃ後で」
‐2分後‐
「ごめんごめん待った?」
「は、はやいんだな・・・着替え」
「うんごめんね汗くさいかも」
「いいよ・・・嫌いじゃないし」
「そうなの?汗好きなの?」
「はぁ?バカかお前」
「だよねーそんな人あんまりいないよね笑」
「で・・・中谷とは・・・」
「うん・・・話してないよ」
「そか・・・どうせ聞いても訳言わないだろ?」
「うん・・・ま」
「あのさうちのパパ、あんずの『自分なりに』って曲が好きでよく聴いてるぞ」
「そうなんだ!!お父さん中々渋いね」
「お前は何が好きなんだ?」
「僕は全部」
「何だよそれ」
「だって・・・村山さんもハリーズの曲選べる?」
「確かに・・・全部だよな」
「でしょ!ワチャーとかアチャーとか」
「なんだそれ」
「叫んでるよねハリーズ」
「ギヤオーとかビャビッシュだぞ」
「あははそうだね」
「あぁそうだ笑」
「今度新しいの出たらまた貸してね」
「うん、柳も貸せよな」
「うん」
(・・・あ・・・私笑ってる・・・柳って言ってる。今凄く楽しい)
ガタンガタンガタン
プシュー
ガタンゴトンガタンゴトン
「次降りるよ」
「そうなのか」
「うん村山さんは?」
「あと3駅」
「そうなんだ」
「うん。で帰る途中のガードレールにさ、いっつもカセットテープがビローンて巻き付いてんの」
「あははビローンて」
「何だよ」
「ビローン笑」
「おいやめろよ笑」
「えへへ ビローン」
「しつこいぞ柳 笑」
プシュー
「じゃまた明日ね、バイバイ」
「・・・おぅまたな」
ドア締まりますプシュー
ガタンガタンガタンガタン
「・・・・笑」
「中谷、用事って何?」
「あ、あの・・・」
「ん?どうしたの?」
「先輩・・・佐久間と知り合いですか?」
「佐久間?」
「ミド高の佐久間仁です」
「・・・しんないけど・・・もしかして拓ちゃんに絡む子?」
「はぃ・・・本当に知らないです?」
「うん知らない」
「すみません有難うございました。こんな事でお呼びして」
「いいよいいよ気つけて帰りなよ」
「はいお疲れ様でした」
「お疲れ様」




