A{0,1} Youtu部・第1回 用語の定義―コンテキスト 『回復魔法』を定義しよう
——TIMES_A{0,1}——
2023年9月19日(火)
部活を作ってから1週間後。
第1回の部活動と、動画の撮影が始まった。
撮影には、1台のノートPCに2つWEBカメラと、3台のスマホ、2つのビデオカメラを使うこととした。
ビデオカメラはチキとツタエがインディアカ部で使っていたものだ。
スポーツに不慣れでありなおかつ、インディアカの素人二人が、それなりにインディアカをやっている人達と一緒に行って来た部活動。
チキとツタエの二人も合同練習に参加した際は、審判をやったりする。
インディアカの試合を成り立たせる為の補佐——審判などは、バレーボールとほぼ一緒だ。
大学との合同練習の遠征の際、他の人から見てもやはり、幼いかつ運動できなさそうな二人だった。
なので、当初は得点係くらいしかやれなかったが、ビデオカメラやスマホのカメラと線審の旗を両刀に巧みに使うことにより線審をやることも可能となっていた。
そんな感じ、機器に恵まれている為、さっそうと動画撮影に取り組めたのであった。
「まぁ、スマホ1台かWEBカメラ1台でなんとかなると思ってたんだけどね。
適当にいろんなところに配置して取りっぱなしにしておいて。
後で、編集して、顧問の先生のチェックを通ればアップロードする流れとなるよ」
セツコの指示の元、動画撮影の準備が淡々と進む。
「ほいじゃ、あ、もうカメラ回ってるね。
みんな、十分大丈夫だと思うけど活舌よくしゃべるようにね〜。
むしろ、一番悪いの私かな。
まぁ、では。第一回の授業を始めたいと思います。
はい、全員拍手ー」
パチパチパチとセツコ以外の3人は拍手をする。
「まぁ、編集してテロップ出すことにするから自己紹介はいらないかな」
「そうか……、ボク動画をアップロードする側のこと、全然知らなかったけど、後で編集が必要になるんだよね」
と、心配そうにモエは言う。
「まぁ、編集してくれる伝手があって、頼めるかもしれないから、今はとりあえず気楽に撮っちゃおう」
「そうなんだ。なら安心かも」
「えっと、第一回、セツコ先生のプログラミング、コンピュータ、IT講座を始めます。
今回は基本中の基本、コンピュータとはどういう物なのか、から説明していきたいと思います。
分からないことがあれば、というか分からないことが発生したら、じゃんじゃん質問してもらうってことで、それに私が答えて行く形で授業を進めていくお」
「了解ですわ」
「ん。うん。了解」
「ボクも分からなかったら聞くね」
「えっと、コンピュータはどういうものかを説明する前に、説明の仕方の説明をします。
まず最初に再確認しておかなきゃいけないことは、用語の定義というか認識合わせはしっかりしようという話だお。要件定義も大事だお」
「説明の仕方の説明? 定義? 認識合わせ?」
「そう定義と認識合わせ。まずは、例として、『回復魔法』とは何かという話。『回復魔法』って何? では、モエ君答えて」
「回復魔法って、回復させる魔法のことだよね? あってる?」
「うーんと可能であれば、もっとかみ砕いて、詳しく答えて欲しいんだお」
「詳しくか……。うーんと、なんだろう、体力を回復させる魔法かなぁ。ボク、ゲームとか、そんなに詳しくないから、合ってる?」
「違う答えの人いるかお?」
「体力じゃなくてHP
「ツタエ
「え? 何、これ、何かのギャグですの?」
「あ、いや、本当に私が間違ってるの、要は、定義をちゃんとしてないで、用語を使っているから曖昧な話になるの。なので、今のシチュエーションで言ったら、最初に定義を適当にした私が間違ってる人なの」
「はぁ……」
「えっと、何を説明したいかというと、回復魔法って言葉は曖昧だから、曖昧なまま使うと、こういう混乱が起きるってことなんだ。現に、モエ
「ん。なるほど。んと、ってことはMP
「そう! チキ
それだお。
で、もっと言うと、MP回復魔法の場合、とあるゲームでは、HPを減らしてMPを回復させる魔法があるとする。
その場合、”HPを減らしMPを回復する『回復魔法』”って表現すれば、間違いが少なくなるわけだお」
「なるほど、と、いいますか、当たり前のような気もするのですの……」
「まぁ、当たり前なことなんだけど、けっこうすぐ、その当たり前をやらずに、『回復魔法』という一つの熟語の意味がガチガチに固まってしまって一つの意味の言葉と思い込んで、やりとりしているうちに問題が発生してくるって場合があるってことだお。
結局、何が言いたかったかというと、漠然と使う言葉は、隠れてる『タグ』というか『継承元』というか、『要素』を省略してしまってるんだお。
また、拍車をかけて、業界別に同じ熟語が違う意味幅を持つから、それに輪をかけて分からなくなるんだお。
さらに、文脈からの判断、コンテキストも求められるから、いろいろと大変なんだお。
なおかつ、言葉は、短ければ短いほど、しゃべったり伝えたりするのには、総合的な能率がいいから、こういうことがたびたび起きてしまうんだお」
「うーん、ちょっと難しくなって来ましたのですわ……」
「まぁ、なんにせよ、
言葉は正しく使おうってことだお。
問題が起こりそうなら、定義を明確に、要素を付け加えて話始めることだお。
質問し始めることってことだお。
例えば、さらに『タイムリープ』とは何か。
加えて『タイムトラベル』とは何か。
『タイムリープ』や『タイムトラベル』を使ったときにこうなるっていう話は、そもそもどういったタイプの『タイムリープ』や『タイムトラベル』なのかの条件を付けて、使わないと混乱する用語なんだお。
さっきの『回復魔法』みたいにだお」
「ん。何故、突然『タイムリープ』や『タイムトラベル』が出てくるの?」
「なんか、だいぶ前にオーストラリアかどこかの大学で発表されたことを思いだしちゃって、ついね。深い意味はないんだお」




