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「・・・そうなんですね」


あれから数日、てっきりもう婚約破棄済みかと思っていたのにまだ私たちは婚約中らしい


「今は王宮も少しバタバタしているから、手続きどころじゃないんだ」


向かいで昼食を食べながら説明してくれるベスお兄様の話を聞きながら私も頷く


「生誕祭まであと一月ですものね、、でも、王宮勤めのジルお兄様からなら分かりますがなぜベスお兄様が??」


昨日会ったけどジルお兄様はなにも言っていなかった


「さ、、さぁ、言いにくかったとかじゃねぇかな、、忙しいから俺から伝えろって言われて、、」


少しギクシャクとし出した気がするが、まぁ気持ちのいい話ではないのは確かだ

私たちの婚約破棄にわざわざ王宮を絡めなくてはいけないのには訳がある

この王国は二人の英雄によって建国されており片方は国王になり政で国を支え

もう片方は国を護る守護者として国を支えた

そしてそれぞれの末裔が今の王家と公爵家なのだ

つまり、公爵家は王族と強い結びつきがある、、がしかし、お互いの家が婚姻する場合は当事者は継承権から外れるという決まりもある

どうやら過去に何回か両家が婚姻したことがあり権力の集中と血が濃くなる事を恐れてできた決まりらしい


そして過去の歴史で身分を偽って婚姻し継承権も持ったまま権力を集中させようとした者がいたり、、

いざ結婚しようとして調べたら婚外子だった為継承権か、婚約者かという選択を強いられたり、、などなど問題があったそうだ

という訳で、王家と公爵家はそれぞれの婚約、婚姻に対しての契約書を相互管理している

婚約をする前段階でそれぞれの家系に関係のある者かどうかを調べられ、問題ない場合婚約を認められるという訳だ。


一筋縄では行かない婚約破棄だ


「でも今度ドレイクお兄様が、騎士の方を紹介して下さる事になったの」


私の言葉にベスお兄様はブーっと口に含んでいたお茶を吐きむせる


「お兄様、大丈夫!?」


控えていたメイドにティーカップを渡しながらベスお兄様は私を見る


「・・・ちょっと、詳しく聞いても良いか?」


むせながらも促されキョトンとしたまま答える


「その、一度婚約破棄してしまっては貴族社会では結婚は無理ねってナナと話していたらドレイクお兄様が、、騎士には平民上がりの方もいるし、、貴族社会の決まりとかを気にしない方が多いと教えてくれて、、、、

以前何度か騎士団に届け物をした事もあったからか、その、、私の事を気にかけてくれてる方がいるらしくてっ」


なんだか気恥ずかしくなってしまう

お兄様とこういう話はした事がないし、、そもそも自分に思いを寄せてくれている人がいるという事実ごと驚きなのだ


「いつ、どういう予定なんだ?」


「・・・え?その、、週末はほとんど埋まってます、、何人か、申し出てくれた方がいたみたいで」


モジモジと返すとベスお兄様は頭を抱える


「あぁ、でも、婚約破棄出来ていないのだったら良くないし、、一度お兄様と相談してみます」


にこりと微笑みかけるとベスお兄様はあぁ、そうした方がいいと何やら疲れたような表情で先に昼食を引き上げてしまった


ーー

ーーー


騎士団の駐屯所は都内に2箇所、外に5箇所、外壁に沿って設置されている。

以前はそれぞれ固定持ち場だったらしいが癒着を防ぐ為今は各期ごとのローテーションになっている

今お兄様は外壁の中でも一番ディオーラルに近い位置にいる為、森を突っ切れば30分かからない位置にいる

ドレイクお兄様が通勤しやすいようにと森もある程度切り開かれている為、舗装はされていないが馬車で十分通れる

私は手土産にクッキーをカゴに入れて駐屯所を目ざす


お兄様が戻ったらでもと思ったが、一番近い週末、、つまり3日後に是非会いたいと言ってくれた方がいる為出来るだけ早く伝えた方がいいと思い向かう事にした


「ドレイクお兄様に会いに、、あっ、お兄様!!」


馬車を降り、駐屯所の門を叩くと出てきた若い青年にドレイクお兄様を呼んでほしいと頼もうとするとちょうど後ろを通りかかるお兄様が見えた


「・・・リーチェ、、どうしたんだ、こんな所まで」


すぐに駆け寄ってくれたお兄様にカゴを渡しながら少し駐屯所から離れるように馬車に近づく


「これ、よかったらみんなで食べてね」


「・・うん、ありがとう」


お兄様はルカ様に似て少し寡黙だが、私からすると表情豊かで分かりやすい

今も実は好きな甘いものを前に喜んでいる様子が伝わる

私が来たことも嬉しいようで、なんだか大型犬が尻尾を振っているかのように見える


「その、、先程ベスお兄様に聞いたのですが、私の婚約破棄は生誕祭以降執り行われるらしくて、、

まだ一応婚約中だから相手の方に申し訳ないし、、まだ時間を貰うわけにはいかないだろう


「お互いの署名と日付の入った紙は提出済みなんだよな?」


「えぇ、もう署名してお父様にお渡ししてあるわ」


「・・・少し聞いてくる」


本人は奥にいるようでお兄様は小走りで駐屯所内に戻るとほんの数秒で戻ってきた


「気にしないそうだ」


「・・・え?でも、、」


「少し会ってお茶するだけだ、そう力を入れなくて良い」


お兄様の言葉にそわそわとしながら頷く

初めての経験でよく分からないが、顔を合わせて、良いなと思ったらデートして、、恋愛して、、いつか結婚する、、

平民や一部貴族がそうしているのは知っていたが自分が経験することになるとは思ってもみなかった


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