戦いの幕開け
戦いの幕開け
「おい、ミサあれって何かわかるか?」
その時けたたましいブザーのようなサイレンが響き渡る。
ビービービー
前面のモニターあたりからかなり大きな音量で避難のアナウンスが流れる。
【緊急警報・緊急警報 生徒及び職員は直ちに第一避難格納庫に移動してください】
【これは訓練ではありません 繰り返します生徒及び職員は直ちに第一避難格納庫に移動してください】
教室が一気にざわめく。
「落ち着いて、訓練と同じよ 焦らず騒がずいつものようにね」
このクラスの担任である歴史の先生アヤナ・マキカワ34歳独身が、ドアの横に立って自動ドアを開くに固定する。
生徒たちは慌てず速やかに廊下へと出ていく,、皆についておれも教室の外へ出ようとすると。
「アスラ君とミサさんはちょっと待って」
俺達に何か用なのか悪い予感がする。
「先生なんでしょうか?」
「多分五級以上はお呼びがかかると思うから少し待機していて」
気功強化法にはランクがある学生は一級から十級まで、大人になるとそれ以上もあるらしい。
(日本の武術に似ている)
一級は通常の一・五倍二級で二倍だいたい級が一つ上がるごとにコンマ5倍力がアップする。
俺は五級なので三,五倍、この年齢でこのクラスでは上位に属するらしい、強化3倍=筋力が3倍に跳ね上がりパワーも3倍。
要するに普段の握力が50㎏だとすると気功強化法で150㎏に上がるわけだ、十円玉2つ折り可能。単純な法則でこのぐらいだが体全体ではなく一点強化だとさらに上昇し、足だけを強化すると百メートルのタイムは5秒前後になってしまうわけです。
なんとこの世界で現在は最高で時速100kという記録さえある(1分間だけだが)マジ・
そして肝心なのがこのサイレンと避難誘導。
実はこの世界には化け物がいて現在そいつらと戦争中、化け物と言ってもファンタジー世界のオークやコボルトではなく。
インセクト(昆虫・バグ)の進化系である蟲化人である、猫や犬そして馬やウサギと言った動物の進化系というような獣人も存在します。
そして現在攻めてくるのはインセクター。
インセクターは体表が固く複眼で隙が無いしかも体液を利用して様々なデバフをかけてくる厄介な敵なのだ。
獣人はというと我々と同じ言葉を話す事が出来たので国単位で居住するエリアが決められていて、今は共存している。
現在この時代では講和条約を結んでいない国がインセクターを利用し戦争を仕掛けている、そう戦時中になっているのだが・・・
敵国は事故によるインセクターの暴走と言う発表をしたため、政治的には事を荒立てたくないこの国の上層部は特別処置とかで事実をオプラートに包んでいる。
何ともはっきりしない政治決断だが、そこには何やら裏がありそうだ、学生の身分ではそんな大人の考えなど露知らず・言われた通りに動くだけだが。
そして敵の放ったインセクターと戦うために気功強化術を勉強する防衛学校があるわけです。
ビースターも体内機能が同じで気功術を取得できるらしい マジ。
呼び止められたのは残って戦かわなければいけないという事。
リアリー! 無茶フリもいいとこなんですが、中身は60歳美容師 戦闘なんてムリでしょう。
【5級以上の生徒は本校舎正面に集合 敵インセクターと応戦 戦闘配置は本校学長である強化指導10級のガイ・サナダ先生が担当します 直ちに集合してください】
長い一日が始まった。
1階正面玄関ロビーに集合している5級以上の生徒及び職員を見ると
全員で25人 戦闘員の内訳は先生が15人 中等部生徒が10人
先生
ガイ・サナダ10級♂気功術指導主任及び学長
リサ・カワナ8級♀気功癒術指導主任で保険室の主
リョウ・クサナギ9級♂気功戦闘術指導員で数学の先生 副学長 旧教頭
サイ・カクタ8級♂気功戦闘術指導員で国語の先生 全学年担当
シュウ・トドロキ8級♂気功強化指導理科の先生 中等部担当
マナ・セイヨウ7級♀気功戦闘術指導員で数学の先生 中等部担当
コウ・チヒラ7級♂気功強化指導員で歴史社会学の先生 中等部担当
アスカ・ラン7級♀気功癒術指導員で美術の先生 中等部担当
シロ・ゴトウ8級♂気功戦闘術指導員で数学の先生 小等部担当
ヨウコ・イマイ8級♀気功戦闘術指導員で社会学の先生 小等部担当
ジロウ・カワサキ7級♂気功強化指導員で理科担当の先生 全学年担当
クニ・タカタ8級♂気功強化指導員で数学の先生 全学年担当
ロック・ゼンシュウ8♂気功強化指導員で制作技術の先生 全学年担当
ミドリ・クーカス7級♀気功戦闘術指導員で国語の先生 小等部担当
アケリ・マスクス8級♀気功強化指導員で国語の先生 小等部担当
生徒
アスラ・ミスイ5級♂気功強化クラス6年
ミサ・コシナ5級♀気功強化クラス6年
リョウ・イシカワ5級♂気功技術クラス4年
ミーン・タイスイ5級♂気功技術クラス6年
トリキ・サムサイ5級♂気功強化クラス3年
アキラ・バンカン5級♂気功強化クラス2年
キュレイ・シシト5級♀気功技術クラス5年
コウキ・アラスイ5級♂気功癒術クラス4年
ミョク・タキサワ5級♀気功技術クラス5年
フミ・サワイ5級♀気功癒術クラス6年
以上が戦闘参加
5級以上がほとんどなのはインセクターの肉体強度が、ヒューマンの4級以上と言われていて、肉体強化のクラス分けで戦闘に有利な5級以上に今回は出陣の命令が出されている。
もちろん先生の中には技術系なのに肉体強化にも優れている人はいる。
通常は肉体派が近接戦闘で技術派が中長距離戦闘と選別されるようだ(普通はね)
肉体派は攻めも守りも兼ねる万能型、技術派はバフ掛けや遠距離攻撃らしい。
先生のうち何人かは弓矢や投げナイフのようなものを携えている。
(トゲトゲグローブも良いのか・・)
だから5級以上と言っても一概に同じ強さと言えるわけではない。
事実クラス分けはさらに細かく0.1~0.9まで分けることもあるのだそうだ。
その中でも俺は5.9で限りなく6に近いから、期待のホープと言うことらしい。
学校なので通常武器は持ち込めませんが戦闘時は貸し出しもあるそう。
組み分けの標準は近接攻撃(タゲ取り)1名 遠距離攻撃(攪乱)1名 バフ掛けと戦術指令。
(バックアップ)など もちろん役割分担は1種類ではなく状況に応じて変化する。
そして医療班3名~5名
(体内気功を活性化して回復を早める気功治療術の担い手)
学長からの伝達を聞く。
「みんなよく聞いてくれ、生徒諸君の中には今回の戦闘が初めての者もいるだろう、決して無理はせず一人負傷(戦闘不能)になれば直ちに後退し現場を離脱 医療班に任せてほしい」
「無傷のものは欠員が出た者と組んで再度現場へ戦闘に向かう、その時は必ず気力ポーション及びガードパネル 破損した戦闘服を交換補充してくれ」
「皆 聞いた事を忘れるな」
戦闘に参加する生徒たちは学長の言葉に首肯する。
「ハイ」
「医療班はこっちアスカ・ラン先生とフミ・サワイさんついてきて、医療用具の用意と準備をするわよ」
医療班のカワナ先生が数名の女子を連れだって臨時医療施設の準備をする。
副学長が装備の点検を始めた。
「後の者は戦闘服を装着、ヘッドセットをチェックして同じ班で集まってくれ」
「装着の仕方は解るな?」
小型のヘッドセットとVR面体が1セットになっている、VRの進化版みたいだ
それとグローブ さらにシューズ・・
装着し気を流すと淡く全身を光らせブーンという音がする。
そしてVRヘッドセットから目の前に光学画面が展開し透過モニターが表示される、表示された透過モニターにHP、DF、AGI(敏捷性)、STR(攻撃力)、SPD、RDCOPAなどが表示され。
左上に透過地図と現在地を知らせる赤いポインター、まるでゲーム画面そのものの様なレイアウトで何とも言えない懐かしい感じにとらわれる。
「装着したら画面右上にある緑色のPAの文字をクリックしてくれパーティの位置が表示されるから各自集まってお互いの行動戦略を相談してくれ」
(ん、この位置はミサか?そしてもう一人ガイ先生?)
ちなみにガイ先生は人間兵器と呼ばれている・・(なにそれ恐ろしい)
「よし来たな、これからこの3人で行動するが 詳しいことは歩きながら説明しよう」
組み分けの戦闘形式はこの場合前2人後ろ一人だが、俺とミサが強化系なので
ガイ先生がリーダーでバックアップを担当するらしい。
3人での連携はバックアップが一番神経を使う、前衛が攻撃している間、常に遠距離攻撃やバフ掛け(ガス弾や光過弾など)や被害状況を判断しスイッチのタイミングを知らせたりしなければならない、体だけでなく頭も使うからだ、まあおれは今回初めてなので100%お任せです。
【先生、今回の警報5段階でどのあたりでしょうか?】
ミサからの質問に学長が即答してくれる。
【3だと聞いている、先行5班後攻3班我々は先行後10分で防御待機だ。まず俺達で中央の敵兵を叩く他の班がそのすぐ後を扇状に散開、300秒(5分)ごとに状況確認と報告】
VRヘッドセットに仕込まれた気功伝達装置からの声はまるで頭の中に直接聞こえるぐらい明瞭だった。
(気功音声伝達術と言うらしい別名・気功テレパシー)