気功術協会小樽支部
気功術協会小樽支部
「あら久しぶりじゃない」
そう答えるのはマリ・コガ小樽支部の所長であり古い友人の孫でもある。
彼女は現在276歳だが外見は27前後にしか見えない、昔ヒデキがUSAへ気功術協会の大使としてUSA気功術協会の幹部と接見するとき同行した女性の玄孫に当たる。
ヒデキがここを訪れたのは5日前、古い知り合いのつてを頼って数日後に起きる大惨事の回避作戦を手伝ってもらうために、協力してもらう算段をつけに来たのだ。
「2年ぶりかな・・」
「丸が一つ違うわよ~」
「元気そうだね」
「そう見えるなら一回ちゃんと抱いてくれないかしら?」
彼女は前回もその前もヒデキに言い寄り肉体関係を迫ったがそのたびにかわされている。
酔って絡んだ時も、けがを装い看病してもらった時も、いつの間にか朝が来て彼はすでに次の仕事へと去って行った後だった。
彼女の人生の中でも最高の男、ヒデキも彼女が自分を好きなのは分かっているが。
ヒデキにはすでに数10人の子供がいるし自分より先に子供や孫が死ぬのも見てきている。
彼はこれ以上見たくはないのだ、だが彼を愛する女性はそんなことまでは気にしていない。
はたから見れば完璧にドンファンだろうけど、だがイケメンでやさしくて強いやつ、そんな奴が何百年も同じ容姿でいればこうなることは自然の摂理といえるぐらい至極当然なのではと思う。
「その前に頼みがあるんだけど」
「いいわよ~一晩抱いてくれたらね」
「・・」
「冗談よ、でもムラムラ来たら私いつでも待ってるから」
「考えておくよ」
「それで頼みって?」
「あと数日すると華連邦のインセクター軍団が小樽に攻め込んでくる」
「何?それはどこの情報?」
「君にも言ってあると思うけど未来予知の魔法を使って得た情報だ」
(嘘なのだが魔法といえば誤魔化せる)
「それでどうすればいいの?」
「まずは所属している気功術師6級以上に数日後虫が攻めてくるので剣術を使い対処してもらうようにお触れを出してくれ、襲ってくるのは羽根つきの虫が最初になる。当然ガードはしっかりしておくように命令しておいてくれ。それと一般市民には外に出ないように、時間は夜8時以降から朝方まで。その時にはサイレンを鳴らすからすぐわかると思う」
「わかったわすぐ手配する」
小樽の気功術協会に所属している6級以上の気功術師は15人、半分がロシア系の帰化住人、気功術協会から仕事や食事の支援や斡旋を受けてそのまま就職したり、職員になったものが多い。
港の仕事は結構多く斡旋されるとすぐに、埋まってしまうぐらい好条件の場合が多い。
しかも旧ロシアより断然待遇は良いらしい、気功術の習得で体力の底上げもしてもらえるので。
そこそこ無理も効く体になるので、難民たちの仕事への定着率も高い。
北海道全域でいえることだが、この時代ほかの地域より人の数は多くなっている。
難民を受け入れたからともいえるが、やはり衣食住が一番の原因だろう。
この国一番の穀倉地帯で農産物は当たり前だが海産物も豊富な地方、それに樺太や北方諸島とも漁業協定を結び以前よりも収穫量はよくなっている。
「あの国まだあきらめてないの?」
「というより悪あがきとみていい、兵士はかわいそうだと思うけどね」
「いい迷惑だわ」
「だけどあと少し頑張ってもらわないといけない」
「何か策があるのね」
「全部は話せないけどね」
「母にも祖母にも聞いたけどあなたに任せれば安心だって」
「買いかぶりすぎだよ、僕はできないことはしないし、全員を守っては上げられないから」
「そうねでも何かの時は遠慮なく言って、守られてばかりじゃ気持ちが治まらないわ・」




