ヒデキ・オースティン
ヒデキ・オースティン
彼の出自は秘密にされているらしい、マユミ・キルムの父チョウジ・キルム航空技術機器会社の社長でCFコーポレーションの傘下、この会社では大型ドローンのエンジン開発を行なっている。
近いうちに新開発の気功式エンジンをヨーロッパに向け発表するらしい、そのつてで父親からヒデキのサポートを頼まれた。
彼はEURから来日した取引先と同行しているEUR気功術協会のエージェントと言う話だったのだが・・・
それが1週間前、当然のことながら北大にも案内した、外見はイケメン身長はアスラより数センチ高いぐらい。
聞いたところ結婚はしていないらしいが、大学を案内しているときにちょくちょくかかってくる電話の相手は女性ばかりだった。
時たま電話の向こうから聞こえる甘えた女性の声、しかも全て違う外国語。
マユミはおのずと距離をとった、女の敵だと本脳で感じたらしい。
それが正解か否かはわからないが、普通の女性なら彼を見るとそのぐらい魅力的に感じるのだろう。
しばらくすると彼が戻ってきて、同時に華連邦の船が全てユーターンし始めた。
学生達の頭にはほっとしたのと同時に?マークが浮かぶ。
あれだけの蟲を積んでこの程度で引き返すなんて信じられないからだ。
そこへ彼が駆け寄る
「悪い悪い後かた付けさせちゃって」
「いえそんな事はかまいませんが、どうやって撃退したんですか?」
「話しただけだよ、魔法を見せて脅しながら」
「あ~そ~」
間近で魔法を見ていた学生達は納得してしまった、と言うか・・
(まほうってそう言う使い方で良いんだ~~)
と言う感じで???の方が大きい、皆 心の真ん中では彼の言う事を信じてはいない。
「お兄さんは何処の人?」
(うわ~この子エロいな~)
エリザベートが彼にしなだれかかる。
「今は地球人かな」
「それは皆同じですがな」
アスラと数人が同時に突っ込みを入れる。
「現在拠点はUAFCだねEURにも何年か行っていたよ、それにサハリンと択捉にもね」
「それより俺は魔法のことが知りたい」
「あ~それなんだが今魔法をこうやって普通につかえるのは僕だけなんだよね」
あんな強力な魔法を使える人間が何人も居たらニュースどころか絶対自慢するやつが出てくる。
今まで誰も知らないって事は彼が魔法を使っても一切自慢はおろか、映像にも撮られていないって事。
「あなたは気功術何級なんですか?」
「たぶん30は越えていると思うよ」
数人が心の中で(そんなやついるかーーー)と叫んでいるのが解る。
だが一部の女子は彼を見て頬を染めているのが解るとなんとも言いがたい。
ただ一人マユミだけはきりりとした目で彼から目を背ける。
「それじゃあこれで安心なんですね」
「ああ 又来るようなら僕が行って国ごとつぶしてくるから」
「うそだ~~」
「ばれた!?」
「お兄さん冗談じょうず~~」
アスラは冗談だとは思わなかった、アツシも同じように魔法が使えるなら可能だと思っていた。
女性陣は皆 彼の側に集り笑顔で話をしているが、男性人はそれを見て腕を組みため息を漏らす。
「あの人一人で結局全部終わらせるつもりだったんじゃねえの?」
「かも知れないな」
意気込んで現地入りしたものの下手をすれば全滅だったのはこの惨状を見ればスグに解る。
だが・・・
終わってみれば人的被害は最小どころか極小なのではないだろうか、全て彼のおかげと言っていい、憧れと嫉妬が付きまとう。
「リア充死すべし」誰かの声が聞こえてきそうだ。
いや本当に隣でぶつぶつ念仏のような声が聞こえる。
結局俺たちは到着して1時間でこの事件は解決してしまった、すでに朝を迎え日差しが真後ろから降り注ぎ始める。
道路には夥しい数の蜂とバッタの残骸、先ほどまで家の中に隠れていた市民たちが出てきてそれぞれに家の前の道路を片付け始める。
町の市役所からの連絡で除雪車を出動させ蟲の死骸を道路わきへと片付ける。
市民総出でごみ処理の時間となった、蟲の死骸はこの時代全てリサイクル材料として利用される。
当然のことだがウィルスや細菌の有無はしっかり調査してからの事になるが。
もしかすると北海道全土に被害がおよんでいる可能性も有るので、数日はその対応で追われる事だろう。
彼はこの後小樽の気功術協会へと去っていった、去り際に女性陣が彼に連絡先を聞いていた、たらしと言う言葉が即浮かんだのは言うまでもない。
戦争と言うより駆除だった
俺達学生はしばし町の人たちを手伝って蟲の除去作業で汗を流す。
「蜂の針は手で触るなよー」
「ああ りょーかい」
死んでいても毒は残っているので素手で触るのはもっての他、町の人に軍手を渡され何とか道の上は方付ける事が出来た。
数時間後 残った処理は町の人たちに任せ、市役所の緊急対策で発足した害虫処理課に呼ばれたので行ってみると、今回の蟲討伐の参加理由を聞かれ、学生達はおのおのが質問に答える。
「いえ、蟲の駆除に来ただけです」
「私も同じです」
「僕は新潟の第三防衛学院に居ましたから、じっとしていられなくて」
その後市役所で駆除参加理由の書類にサインをしているとどこかの局から取材が来て、いつの間にか女性陣は取材対象になり、おこぼれでアスラたち男性陣も少しコメントを残す。
カメラの前では笑顔だが、それ以外では少し緊張しているのがわかる。
理由は?
「あまり取材受けると後で言われそうだな」
「ああ 勉強と蟲の駆除どっちが大切か問われそうだ」
「死人が出なかったから駆除になるが、死人が沢山出れば戦争になっていたからな」
「後から見に来たやつらは何とでもいえるが、下手すれば大惨事だった」
「まあ、ぼやくな仕方ないさ。でも出来る事はやったんだから」
「ああ でも何か こう物足りないな・・」
学生の男性組5人はやるせない気持ちを胸に秘め、魔法を使えるようになろうと思うのであった。
この後彼らは表彰される、町と気功術協会から。
「努力は報われないとね」
気功術協会でヒデキはそう支部長に話していた、彼はこの後すぐに華連邦へと潜入する。
勿論戦争を終わらせるために。




