いきなり北海道へ
いきなり北海道へ
大学院の授業は専門課程のカリキュラムを数個取ると後は自分が所属する学部の教授が主催するゼミを受講するという形になる。
アスラの場合は気功物理学、そしてもうひとつは気功運動学を専攻したためこれら2つの科目を研究している教授のゼミに参加する。
ミサはアスラとは違い医療看護学部のため、精神医療学と神経治療学の受講をすることになった。
現在東京帝都大学院では2つ以上のカリキュラムを受講しなければならないが基本的には1つの研究課題をしっかり論文にすれば卒業が認められる。
今回アスラの学部の教授は現在北海道農獣医大学院にて交換ゼミというシステムで教鞭を振るっているため、アスラは急遽北海道へ行くこととなった。
「え~教授が北海道にいるから行かなくちゃいけないってマジ!」
「仕方ないでしょ交換授業らしいよ、ミサのところも教授は九州に行ってるらしいし」
「そうなのよね、これじゃアスラとラブラブ学生生活が大幅に予定変えなくちゃならないわ」
「なにそれ・・」
「だって私たちまだ付き合い始めて1年も経ってないのよ、もっと思い出作りたいじゃない?」
「それはそうだけど、毎日会う予定って言うのも、なんだか中等部と変わりない気がするんだよね」
「確かにそうね、でも私はアスラと毎日会いたいんだけど」
「僕もそこは変わらないよ、でもお互いに勉強したいことが違うのだから仕方ないよね」
「そうよね、色々将来に向けて考えないといけないことも有るし、悩んでいても仕方ないわね、お互いがんばるしかないわ、それでいつ発つの」
「明日の気功便で行こうと思う」
気功便(飛行機)気功による代換えエネルギーが発達しジェット機のエンジンは気功式になり。
現在は空の旅もCO2を出す従来の旅客機ではなくなった。
燃料は気功エネルギー(魔法機械)による噴射システム、を利用しスピードはそのままに地球に優しい運行方法に変わっている。
デイバッグを背に同じゼミの学生たちとともに羽田発千歳行き309便に乗る。
1年生が25人2年生が30人3年生が15人総勢70人が今回ゼミの教授がいる北海道の北大へ移動する予定。
気功物理学を教える教授の名は、ウシワカマル・タチハナ教授。
彼はこの学問の第一人者で気功術も13級という高レベル研究者。
年齢は126歳、外見はコウ・ミスイ教授と同じ50代にしか見えない。
今回同じ飛行機には半分の36人が乗り込んでいる。
もう半分のゼミ学生は明日と明後日に分散したみたいだ。
ちなみに教授はすでに現地入りして交換授業の教鞭をすでに振るっている。
北海道はこの時期まだ肌寒く東京の冬と同じ服装が必要だ、アスラも急遽厚手のジャケットを手に入れた。
バッグの中身は新型のネックレスタイプのVR機器とタブPCそして長年使ってきたグローブと戦闘服一式。
なぜ戦闘服がと思うが、現在北海道は例の華連邦の残党が潜伏しているのと、旧○シア系諜報部がなにやら北海道で不穏な動きをしているらしいと、気功術協会側からの情報提供があった。
実は入学式でミサの父から言われた気功術協会からのお話はそのとおりで、後日協会の幹部からお誘いの連絡が来た。
どうやら俺に気功術協会に入ってほしいとの話だが、別に職員になれというわけではなく。
気功術協会の講師として登録してほしいのと、いずれ何かのときに役に立つだろうからと協会のお墨付きをいただけるという話。
気功術8級になり魔法を使えるようになるといろんな付帯特権とともに、制約も課せられるのだとか。
確かに魔法は便利だが、知ると言うことは他のものに教えることも意味する。
悪いことを考えるやからに魔法を教えてはいけないという話だ、まあそれは当然だが、現在7級以下では体術系の魔法しか使えないため、そんなに厳しい制約はされていない、魔法は知っても使えないからというのが理由だ。
だが魔法は便利だもし魔力を増幅させる装置が開発されれば低い等級の気功術師でも高位の魔法が使える可能性があり、俺にもその規制が当てはまってくるというわけだ。
そしてゼミによる北海道への一時的な移動、北海道にはもしかしたら国家的な企業スパイがいないとも限らない。
先の華連邦との戦闘で彼らもわかったはずだ、気功術の脅威的な戦闘能力を。
いまさらという感じだが、今華連邦とは和平の最終合意確認で少しもめている。
東和皇国が勝ったために賠償金の支払いについてもめだしたのだ。
かつての戦争以降賠償はこちら側が何年も続けて支払わされていたがそれが逆転したからだ。
だがあの国は当然の事ながらいまだに貧しい。
核やウィルスの廃棄に伴う合意と戦争の勝敗による保障を天秤に掛けた場合、有利なのはどちらなのか。
もちろん東和皇国は今まで煮え湯を飲まされていたのだから、この機に要求される条件は相手国にとって思っても見ないマイナスに転ぶのは必然だろう。
だからかその前に又よからぬ事をたくらんでいると考えても不思議ではない。
広い大地があり攻め込んでも解りづらく目立たない場所、今でも森は深く未開の原野がある場所。
悟られなければ何年も身を潜めて時を待つことも可能な北の大地、そこを狙っている可能性は捨てきれない。
他の学生には知られていないみたいで、今回戦闘服を持ち込むのはアスラだけの可能性もあるが、準備していくに越したことは無い。
どうせ他に持っていくのはタブPCと少量の日用品だけなのだから。




