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夢憑依Ⅰ(次元夢旅行、変な能力に目覚めたらしい)  作者: 夢未太士
[第2部] — [再び戦闘]決戦
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ミサ・コシナ閑話

ミサ・コシナ閑話


16年前、埼玉県の所沢にある幼等学院、ここには数百人の子供が集められている。

東和皇国の教育制度は1歳から4歳までをこの幼等学院で過ごす、この時代は私学の学校は殆ど無くゼロ歳から16歳まで全て国営の学校で勉強することになっている。

それは時代の流れと共にあるシステムが導入されたからだ。

それはBIWビーアイといわれる記憶装置。

この記憶装置は脳内に直接働きかけ、映像や文字などのデータをコンピューターのように脳内に記憶させることが出来る。

そのため教育現場では、教えることが激減すると共に、子供の学力の差が殆ど無くなった。

厳密に言えばまるっきりないとはいえないのだが、こうなると学力での競争はなくなり、高倍率の進学校へと進学することも意味がなくなる。


始めは個性がなくなるとか、人権侵害だとか言われたのだが。

子供達が差別無くどの子も同じように優秀に育つのを見て親達は受け入れざるを得なかった。

その過程で私学の学校経営は行きづまり殆どの学校を国営化することで教育破綻を回避した。

途中紆余曲折あったが下はゼロ歳の幼等学院(4年制)から始まり、小等学部(6年)・中等学部(6年)・大学院(6年)という教育制度に落着いた。

ミサ・コシナの父は埼玉県所沢にある気功術協会の支部長をしており、母親はUAFC(アメリカ大陸共同体)から埼玉大学院へ留学に来ていた学生だった。

2人は気功術のイベントで知り合い、あっという間に意気投合すると2年後にはミサを生む。

2人は気功術協会からの薦めもあり、すんなりミサを幼等部である所沢幼等学院へと入所させることを決めた。


この時代他の国でも同様の制度を導入していてUAFC(アメリカ大陸共同体)も主要都市では同じような制度を導入していた。

幼等部に通っている間は親にも特別なカリキュラムに参加する義務が与えられる。

それは毎日子供に会うという義務、当然だが仕事人間の多い東和皇国では難しいことでもある。

そのためには通わせている学院に併設された寮に一時転居しなければならない。

そう学院に入所すると親も付属の寮に住むことになる。

幼等学院は各市に1つはあるので、仕事場までの移動距離は昔より解消されている。

ミサの母親がすぐに幼等学院への入所を了解したのは、まだ学生だったことも関係している。

留学中に子供を生むという事はかなりの負担があるのだが、この時代は全ての子供が国の保護下に置かれる為金銭的なマイナスはないといってよい、妊娠・出産・養育そして教育にかかる金銭的負担は全て国から支給される。


子供との面会は毎日の日課になっているので、今までと変わらず家族単位で暮らしているのと同じで、プライバシーも守られるためこのカリキュラムを断る人はいなかった。

そんな中ミサは確実に成長していく、ゼロ歳から3歳まではまだ脳が幼い為BIWビーアイの使用は禁止されている。

子供の脳はかなり急速に発達していくのであまり早くに脳内ストレージにBIWビーアイを使用するより、少し発達してからのほうが記憶システムからの情報を確実に受け取りやすいのだ。

脳の生育期間としてゼロ歳から3歳までを通常の育児方法で行い、4歳になり始めてBIWビーアイの使用が始まるが、脳に記憶される情報はそんなに多くはない、当然のことながら徐々に情報量を増やす為、4歳といえどもほぼその年齢の子供らしさは失われない。


中には粗暴な要素を持った子供もいるがその場合早いうちに他の学院か個室を与えられ、専用のカリキュラムを受けるので卒業と同時にほぼ粗暴さはなくなると言う。

そして卒業と同時に小等学院へと学び舎を変えるのだがその前に一つの選択が行なわれる。

彼女は親が気功術の講師でもある所沢支部の支部長ということもあり、4年間気功術のレクチャーも同時に受けていた。

気功術の特異性としてスキンシップによる気功術転移現象と言うのがある、高い等級の気功術師が低い等級の気功術師に気の発現方法をレクチャーすると高等級の気功力に引きつけられ本人の気功力をすぐに上げることが可能になる。

知らない間に親から気功力を伝授され能力を底上げされて彼女の持つ気功力はいつの間にか他の子供より高くなっていた、結果この気功術がミサの将来を決定付けた。

そう5歳になる前に選別があるのだ、気功術の素養があるものはそちらの学校へ。

そうでないものは一般の学校へと。

そしてミサは埼玉県から少し離れた新潟県新海市(旧新潟市と阿賀野市そして五泉市が合併して出来た市)は3つの市が合わさって出来た市にある第三皇立防衛学院へと進学することに決まった。


「ミサ あちらでもちゃんと言うことを聞くのよ」


ミサの母は金髪の美女だった、ミサもその血を色濃く受け継いでいる、将来かなりの美女になるだろう。


「毎月顔を見に行くからな」


父親は少し強面だが33歳と言う歳の割に外見は若くそして格闘技の経験者でもありかなりの体格をしていた。


「はい パパママ ミサがんばるね」


第三皇立防衛学院には関東や上越そして中越地区から多くの生徒がやって来ていた。

この学院は全寮制の為一度入学してしまえば他の地区に移動する事は殆どない。

この年、小等部1年に入学してきたのは271人彼女は入学当時から気功術3級だった。

殆どの生徒が入学時は気功術1級なのだが中には2級3級という子供もちらほらいる。

この場合親が気功術の使い手か何らかの形でその恩恵を受けている場合が多い。

最初は10人部屋という寮生活だが、2級以上は4~5人部屋をあてがわれる。

等級が上がると専用の部屋をもらえるというご褒美もあるのだ、まあ仲間と一緒のほうが楽しい場合も有るので希望によっては2~4人部屋を選択することもできる。

学院の寮は当然だが男女別なためこの時点では学校以外では男子との出会いはないはずだった。

だが彼女は少しおてんばだった為、町の中をしょっちゅう駆け回っていた。


「入学式も済んだし・・パパもママも帰っちゃった、どうしよう」


あてがわれた寮の部屋は4人部屋だった、持ち物は殆ど無くせいぜい写真とタブレットぐらいなものだった。

部屋にはまだ自分しかおらず、他の生徒はまだ親御さんと最後の別れをしている頃だろう。

ミサの親は仕事があるため入学式が終わるとすぐに埼玉県へと帰ってしまったので、ミサはすることがなくなってしまった。

同室となるはずのお友達の姿もなく、ミサは一人ぼっちのこの状況を何とかしたかった。

暇になったミサは学院から出て町の中を探検することにした、初めての町そして緑多いこの地区を色々と知るためにはどうしようかと。

タブレットとVR機器を使いまずは町にあるお店や道順などを覚えよう。

いくら地図が頭の中にあるストレージに記憶されていても、そこに何があるかまでは全て情報として入っているわけではない。

道端には花が咲いていたり、畑では米や野菜などが植えられていて、季節の行事などなどストレージにある情報だけでは知りえないことも多いのだから。


子供ながらミサはそう言う事をするのが好きだった。


「あ~お花がいっぱい咲いてる~」


町から少し外に出ると空気はまだ冷たいながら花がいっぱい咲いていた。

いつの間にか市内を流れる川の土手まで歩いて来ていた、そこには花だけではなく鳥やミツバチなども飛んでいた。


「そこから先へは行っちゃいけないんだよ」


そんな声が突然後ろから聞こえてきた、彼女は少し憮然とするがすぐに言葉を返す。


「そんな事知ってるもん」

「そうなんだ」

「あなたこそなにしてるの?」

「暇になったから、散歩してるんだ」

「ふ~ん」

「ねえ知ってる?」

「なにが?」

「この川の水は田んぼに使われているって」

「知ってるよ」

「じゃあ土手に咲いている花はなんていう花か知ってる?」

「それは知らないかも」

「これはねタンポポって言う花なの」

「そうなんだ~」

「私の名前はミサって言うのあなたは?」

「僕はアスラ アスラ・ミスイ」


2人はこの日初めて言葉を交わした。まだお互いの事は何も知らなかったが何故だか懐かしい感じがしたのをミサは覚えている。

2人はその日から勉強にスポーツにと同じ学び舎で過ごすことになる、いつの間にかアスラの隣にはミサがいるのが当然のようになっていた。

他にも同じ歳の子は沢山いたが、2人は始めから気功術の等級が少し高かった為に他の生徒とはなぜか行動が合わなかったのだ。

この時代でも子供は学業が主な仕事なのは当たり前では有るが、気功術の授業も体育やスポーツの授業で平行して行なわれている。

子供達の気功術による生育具合はそんなに飛びぬけたりすることは無い。

だから入学時に高い等級だったとしても小等部での差はそんなに変わらず成長していく。

2人も小等部6年生になるまでは気功術3級から殆ど変わらずにいた。

そして運命の時がやってくる、華連邦による皇国侵略。

たまたま2人はアルバイトの最中だったが、正義感が強く勝気な2人はこの日から気功術の訓練に一層励むようになっていた。


「アスラ君今日はどうするの?」

「僕はもう少し体術の訓練をしようと思うけどミサちゃんは?」

「じゃあ私も」


学院にある道場では10人以上の生徒が道場にて自主練習を行なっていた。

2人は11歳となり中等部1年、回りには一回り身体の大きな先輩達が組み手をしている。

其の中に割って入る形でアスラとミサは先輩達の身体をお借りしていた。


「おお今日もまた自主練か?」

「はい」


声をかけてきたのは中等部5年のクニオ・カミジョウ、あの日避難している最中に敵の蟲を鮮やかな剣術できり払った先輩の一人。


「先輩もですか?」

「ああ 気功術って言うのは毎日訓練しないとすぐに衰えてしまうからね」


アスラはこの先輩の影響をかなり受けていた、そしてミサも…

隣の青畳ではミサがヨシミ・カキザキと組み手を行なっていた。


「ミサちゃんも結構やるようになったわよね」

「先輩のおかげです」


この時期アスラとミサの身長は殆ど同じ、子供の頃はどうしても女子のほうが早く成長が進む。

時代が変わっても成長の度合いはそんなに変わらない。


「それっ行くわよ!」

パシッ!パンッ!ドサッ!


組み手から足払いされ寝技へと流れ込む、柔道の基本的な技の掛け合い。


普段の組み手では気功術での底上げはあまり行なわない、組み手で使用するのは気功防御術のみで、身体全体に気功で薄い膜を張るところまでだ。

常日頃こういう練習をすることでとっさの受身や不意の攻撃に対していつでも防御できるようにしておくのだ。

この時点でミサとアスラは気功術4級まで力をつけていた。

勿論先輩達はそれよりも上だが、一応等級は同じ枠内の為練習相手としてはちょうど良い。

それにこの時から彼らは戦闘に借り出されるようにもなっていく。

華連邦の放った蟲の駆除に学園の生徒が借り出されるようになっていたからだ。

通常のアルバイトでも蟲の駆除依頼はあるのだが、最近は学院での勉強中でも頻繁に駆除指令が入るようになっていた。

先輩達はもちろんのこと、4級に上がってからはアスラ達も駆除の手伝いを出来るようになっていた。


「はあ はあ ミサちゃんも結構強くなったわね」

「はあ はあ いいえまだまだです」


ミサは負けず嫌いだった、4つも上の先輩にもここ最近では何回か勝てるようになっていた。

勿論剣術のほうでもかなり良い成績を出している。

この頃アスラはまだミサに勝てなかったが、この後1年で逆転する。

子供の成長が大きく変化するのがこの時期、アスラの身体がどんどん大きくたくましくなっていくのだ。

ミサは逆に女らしくなっていく、それぞれが思いを内に秘めながら有るべき姿へと変化していく。

いつの間にか隣にいる異性もただの友達から大事な異性へと変化していく。

そんな異性の変化にいつもと変わらない応対で答える朴念仁もいるが、男なんてそんなものだ。

ミサの思いが届くのはそれから5年の月日を要するとは本人にさえわからないことでもあった。


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