アスラは困惑(アスラ本人の閑話)
アスラは困惑(アスラ本人の閑話)
ん あれさっきまで教室にいたはず、ここは俺の部屋か?…何時返ってきたんだっけ。
しかも朝、どうやって帰ってきたのか全然覚えていないんだが。
まあいいか、とりあえず着替えて顔を洗って食堂へ、すると何やら騒がしい。
なにこれ軍関係の兵士があちこちに座って食事をしている。
トレーを持って並ぶと後ろから後輩が声をかけてきた。
「先輩昨日は大活躍でしたね、ご一緒したかったですよ」
「ん 何の話だ?」
「又とぼけて そこが先輩の良いところですけどネ」
「いや本当にわからないのだが…」
「まだ寝ぼけてます? まあ疲れていて当たり前ですよね」
食事を手に空いている席へ座ると後輩もついてきて向かいに座る。
とりあえず食事を片手に持ってきたタブPCをオンにする。ニュースでは昨日の出来事を大々的にやっていた。
TONニュース
「昨日東和王国防衛軍は長年の懸案だった新海市を奪還しました、ようやく我が国に取り戻すことが出来ました…」
(うお マジかいつの間に やったじゃん)
驚いていると後輩のアキラが。
「そうそう その立役者が目の前にいるのだから」
「え 何言ってるんだ?」
すると軍服をきた防衛軍の兵士たちが俺に向かって敬礼した。
(なんだ?)
他の兵士も席を立つとこちらへ向かってくる。
「君がアスラ君だね今回は有難う、君のおかげで作戦は成功したようなものだ 礼を言わせてもらうよ」
その後何人もの兵士からお礼を言われた。
訳が分からなかった、タブPCで昨日の事を調べてみると日付けが2日経っていることに気付く。
(え 2日 いつの間に2日間寝てた?)
タブPCを操作しメールをチェックすると2日間で数10通あり、一つ一つ文面をチェック。
(俺の知らない間に誰かがタブPCに侵入したのか?)
セキュリティをチェック 外部からの侵入は無いようだが。
未読のメモが2通あったので開いてみた。
「拝啓、アスラ君2日間有難う君の体をお借して色々と体験させてもらったよ。
なに ひどい事や危険なこと周りに対して悪意のあることは全くしていないので安心してくれ私の名前は多賀秀樹60歳信じられないかも知れないが、2020年令和2年から来た人間だ。
信用するかしないかは君に任せる、ただ嘘偽りのないことをこの日記に書いて置くと誓おう 君の体に乗り移ったのは……」
読んでいると頭が痛くなって来るが、確かに勉強したことのない平成 令和とその時代の歴史が頭の中に刻まれているのが分かる。
その時代の歴史なんて覚えたことが無かったからだ、それから買った覚えもない品物が部屋に有ったりして。まるで2日間別人になっていたような感覚がする。
2枚目のメモにはこう書いてあった。
「君の彼女ミサの事だが、誠に申し訳ない成り行きでキスしてしまいました。天地神明にかけてそれ以上は手を出していないと誓います。もし君がまだ彼女に何もしていないのであれば、非常に申し訳ないと思いますが。
彼女には全く罪はないので怒ったり嫌いになったりしないで上げてください。
ミサさんはとっても君の事を愛しています、君がこれからも彼女を大切に思うのであれば。2日間の事は話さないでください。
2日間中身は私でしたが外見及び行動は全て君の体だからです。
追伸 他の女の子達はやんわりお断りしておきました、モテモテのアスラ君へ ガンバレ 1日目の出来事……2日目の出来事……」
メモを読み終えて
(何やってくれちゃってんの!)
(記憶喪失で済むか?いや普通に記憶が無いでいいのか?、俺がだれかで誰かが俺になって・・・意味わからん)
(キス キスしただって…どういう顔で今日会えって言うんだ)
確かに俺はミサが好きだよ、でもそんなこと聞けないから今まで何もできなかったのに。
いきなり既成事実突き付けられて、知ら無いじゃ済まないでしょうが‼・・・
(頭の中が怒りでパンクしそうだ)
完全に食事の手は止まっていた。
まあ結局それ以上考えるのを止めたのだが、要するに誰かがおせっかいを焼いて、その見返りとして美味しい所を頂きましたと。
彼女にとってはファーストキスだが俺にとっても…ファーストキス、いや2回目
また頭がこんがらがってきた。
何回考えても怒りの収集はつかない、会えるならいちど会ってぶん殴りたいぐらいだが、書いてある情報が本当ならば生きていれば千歳を超えている、考えるだけ無駄という物だろう。
食堂から出ると、本日の授業内容を参照、午前中は数学と歴史午後は気功術体育と表彰式。
(表彰式?)
なになに
「昨日の戦闘における殊勲賞 敢闘賞 特別賞などを発表と共に賞金(賞状)の授与を行います、出席は必須、参加なさらない場合は賞金は授与されません」
(面倒なことを押し付けやがって)
学院に向かい廊下を抜け教室のいつもの席に座ると隣にいつもの顔があった。
「お・おはよう」
ミサの顔を直視できない、こんなに恥ずかしいとは…
「アスラ おはよう」
次の瞬間ミサは肩をくっつけてきた
「ねえ 昨日のこと覚えてる?」
「き 昨日の事って…あはは覚えてます 覚えています」
「じゃあ 今日も買い物付き合ってくれる?」
「なんで?」
「昨日賞金で奢ってくれるって言ったじゃない」
「え 言ったっけ」
(慌ててクリアPCを起動メモを探すと、確かに賞金でプレゼントする予定と書いてある、書いてあるが本人に約束したとは書いてない)
マジか…
アスラ前途多難である。
授業を無事に終え午後2時から講堂で表彰式、学長のガイ先生が壇上へあがりマイクの音量を調節する。
「あー あー 生徒諸君先日はご苦労様、今日はこれから先日の表彰式を行います。名前を呼ばれたら壇上に上がってくれ。」
ヨウコ先生が表彰者を読み上げる
「それでは発表します まずは敢闘賞…君…さん…以上10名」
「おめでとう よく頑張った」
次々に記念品と握手そして賞金授与
「次に殊勲賞…君…さん…以上10名」
「おめでとう よく頑張ったな」
「次に特別賞…君…さん…以上10名」
「おめでとう よくやった」
「最後に最優秀特別賞 アスラ君そしてミサさん 以上2名」
「おめでとう 君たちは我が校の誇りだ、追って通達があると思うが
君達は今回の成績で我が学院を卒業 帝都大学院へ推薦入学が内定している それと東和皇国防衛軍からも幹部入隊の誘いが来ているが、どちらを選ぶかは諸君に任せる おめでとう」
初耳だった、後で聞いたことだがたった2日の戦闘でここまでの好待遇を手に入れたのは初めてという事だった。
5年続いた戦闘に終止符、都市の奪還 国を挙げて祝うぐらいの出来事だったのだという実感が今になって湧いてきた。
表彰式後俺たちは大学院への編入を希望した、ミサは大喜びだった。
俺の入賞はまあ当然だったのかも知れないが、ミサの表彰は残ったインセクターを鬼神のごとく倒し回ったのが先生達の目に触れての入賞だった。後で聞いたが退治したインセクター数は500匹以上で断トツの1位、討伐の報奨金は数百万円という話だ。
今回俺には直接戦闘の記憶が無いので何とも言い難いが、2人して大学へ行けるとは思いもしなかった。
帝都大学院(旧東〇大学)各地区から優秀な学生が集まるスペシャルな大学だ。
来月から帝都へ移り大学生活を送る事になる、旅費準備費用無料もちろん帝都でも寮生活となる。学費は特待生待遇なので全額国費で給与まで付くと言う。
この待遇で断る人は居ないよね、ただ自分自身にそこまでの才能や頭脳があるかは残念ながら思ってもいないので。推薦してくれた人には悪い気がする。
少しプレッシャーを感じるよ、でもミサと一緒ならうまくやっていけそうな感じもする。
なんだかんだで、2日間俺の代わりに有難う21世紀のおじさん・・・礼を言うのは何となく悔しい気もするが。
許したわけじゃないからな!ってこの時代ではおっさんはすでに死んでるのか?
まあ墓にでも八つ当たりするか、東京行きが楽しみだ。




