一夜が明けて
一夜が明けて
メールが来ていた、臨時休業もとい臨時休校だった。但し昨日の戦闘後東和皇国軍が学校の北門及び並木道に仮の指令所を設営し続々と各方面からの兵士が終結して騒々しいというか、寮や学園にも軍部の人間が情報提供やら設営許可やら、全く昼寝も出来やしなかった。
蕨駐屯地 茅ヶ崎基地 拝島基地などなど。
2020年では基地など無かった地区から応援で駆け付けた東和皇国防衛軍である。
俺は部屋を出ると飯でも食おうかと思ったが、その前にこれから始まる戦闘に興味が沸き学院の正面玄関へと足を向けた。
ロビーから校庭の方を見ていると防衛軍の装甲車が沢山それと簡易テント(軍用)
が何個も設営されているのが見えた。
「ようアスラ 暇そうだな少し付き合え」
うわ 学長かよやばそうなのにつかまってしまった…
「紹介しよう、こちらが第三方面指令カイ・アズマ幕僚長だ」
第3方面指令カイ・アズマ。
「アスラ君だね、話は聞いているよ 敵の捕虜を6人も捕まえたそうだね。」
「ハイそうです自分一人の手柄ではないですが」
握手 握手(力強えーよ)
「硬くなるな、ざっくばらんに話そう」
指令はそう言うが硬くなるにきまってる。
「敵の新型ワームに蟲笛が効くという話だが、詳しい話が聞きたい」
「ハイ それでしたらミョク・タキサワさんにお話を聞いた方がよいと思います」
「うむそれはすでに聞いてある、問題は戦闘中のどの場面で効果が出るかの話だ性能は詳しいぐらい彼女からは聞いてあるよ・」苦笑い
「はあ でしたら 蟲笛を使用した敵司令部の包囲作戦ですね、ちょうど包囲網を縮めていくあたりで。敵大型ワームが出て最初の攻撃をかわしてからだと思います、キラービーにも効果がありました、敵司令部まで500mのあたりです」
「問題はあの小型蟲笛を各自に持たせるか、分析開発するには日数がかかるからな、効果のあるものは速導入すべきだと思わないか?」
「おっしゃる通りです、でもあの笛は彼女のオリジナルのようですし」
「となると今回は彼女にお借りするしかないか・・・」
蟲笛は戦闘が終わったとき持ち物を消毒した後ミョクさんにお返ししてありすでに手元に無い。
(遺伝子は採れなかったかもね)
確かにあの笛はうまくいけば敵インセクターにかなりの効果が見込める、味方の損害をかなり減らせるはずだ。
「判った ありがとう感謝するよ、それではこれで失礼する」
「お疲れ様です」
ガイ先生と司令は去りながらなにやら酒の話を始めた。
「この仕事が終わったら…いい店」
「おお そいつは良い…」
お~ビックリした~~…
まあ学院の正面ロビーで軍の様子を見ていた俺が悪いのだが、まさかガイ先生に捕まるとは。しかもあの人が司令か…なかなか感じのよさそうな人ではないか。
すると右側から。
「ア ス ラ こんな所で何してるのかな~?」
「おお おはよ いやこんにちは かな」
「こんにちは」
この子まさかいや完璧に俺の後つけてきましたね、ストーカーですかダメでしょう。
「えっと テープの件だったか」
「覚えていてくれたんだー」
昨日の今日ですからそりゃ覚えていますとも忘れかけていましたとは言えません、まあ俺も興味ありますからね。
「その前に遅い朝食をとろうと思うけど、そっちはどうする?」
「実は私もまだなんだ 一緒にいい?」
「もちろん どこにする?学食でもいいけど、街に出てもかまわないぞ」
「今日学食は軍部の人も使ってそうだよね」
本日のお知らせに学食の注意事項(新海市奪還作戦)に付き防衛軍司令部に本学園学食を開放していますとの事。
まあ軍の雰囲気を味わいたいと思うならそれも一興ではあるが。話の内容によっては機密事項なんかを軽く話せない場合も有る。
「じゃ~買い物に行く途中で昼食にするか」
「うん賛成―」
「着替えなくてもいいか?」
「それっておしゃれして行くって事?」
なんか恥ずかしくなってきたぞ、ミサももじもじして顔がなんか赤くなっているし。
「いやいや 今日はこのままでいいか…あははは」
俺が歩き出すとミサは少し後ろをついてきた。
「待ってよ~」
なんだこの青春馬鹿は…顔から火が出そうなぐらい熱いのだが・・
(どこかからリア充死すべしと聞こえそうだ)
学園の南側は昨日の戦闘とは無縁でごく普通にお店もオープンしていた。
少し歩くとファーストフードの店が何件か並んでいたが、俺はなんとなく和食の店へ向かって行った。
「和食でいいか?」
「うん」
メニューを見るとカレーライスからそば うどん 定食と 2020年と全く変わらず和食は健在だ、もうカレーは和食と言っていい俺はそう思う。
ちなみに俺はカレーとオムレツを頼んだがミサはなんと定食を注文した。
今日の定食はサバ味噌煮定食茶わん蒸し付き。
「ここの茶わん蒸しおいしいのよね」
だそうだ、確かに茶わん蒸しは和の醍醐味を味わえる逸品である。俺も食べたくなったので追加で注文したのは言うまでもない。
昼食が終わるとご馳走様と言い店を後にした、食事中とりとめのない話と少し戦闘の話もしたが恋愛の話は出なかった。
その後スポーツ用品店へ行くとやや列ができていた。
「まだ買えるかな」
「大丈夫だと思う」
列は4つぐらいできていたがそのうち2つに分かれて並んでいると見知った顔が何人か俺たちの後ろに並ぶのが見えた、昨日一緒の班になったランともう一人は…
「あ 先輩こんにちは」
「こんにちは」
「先輩も強化テープの購入ですか?」
「おお」
「ミサ先輩と何話してたんですか?」
直球来たー
「昨日の戦闘の話とか食いものの話とかだけど」
ランの影からもう一人顔をのぞかせた女子がいた
「こんにちは」
「こんにちは」
もう一人の女子キョウナはトリキのお姉さんだった、しかもアスラに対して好意的と確かメールでも確認は取れているが。
「二人はお友達かな?」
二人「はい そうです」
二人とも超かわいいしスタイルも良い、ランは健康的キョウナは逆におしとやかな感じで身長はキョウナが8cmほど低いくらいか。だが俺の目はどこを見た方が良いか分からないぐらい宙を彷徨よっていた。
ミサの方を見るとそこだけ何故か人が避けているのが見えた(負のオーラってあるんだ)ほんとだよ、あまり他の女子と話すのは得策ではないよね。(汗)
少し世間話をするぐらいで順番が来たのでとりあえず商品を購入、俺とミサの分を入れて合計10パック、端末に身分証をかざし支払いを済ませるとミサと合流する。
「待った?」
(ものすごい笑顔でミサが呼びかけてくるが何故か怖い)
と言って俺の腕を取ると自分の腕を絡めてきた、ミサさんお胸が当たっています
もうそれはナイスな感覚で むにゅっともう夢心地です。
「あ 二人も来ていたんだ」
ミサさんの先手必勝でございます
(おめーら何 人のものに手―出してんだよっ)
と聞こえるぐらい、目が怖いです顔は笑顔なのに…
女子同士でレーザーが飛び交う激戦地となりそう、分が悪いと感じたラン達は互いに目くばせをするとこれ以上は入り込めないとあきらめたのかすぐ立ち去った。
「それじゃ 先輩又ね~」
と2人が軽く礼をし立ち去るとミサの腕からようやく力が抜けたのがわかった。
店から出てもミサの腕は俺の腕に絡んだまま。
少し歩きミサの主導で路地を曲がると俺の胸にミサが顔をうずめてきた。
「アスラを取られたくない」
ミサの涙声を始めて聞いた気がする、これは男なら決めるしかない。
中身60のおっさんだが経験値は3倍以上(なんの3倍じゃ)恋愛のだよ。
「…」
無言で俺は抱きしめ返した。
「俺はミサのことが大好きだから心配しなくても大丈夫だよ」
そしてニコっと笑顔を見せると
ミサは一瞬俺の顔を見て泣きながら微笑んだ。
(可愛すぎる)やばいがまんできない!
その後ミサは両腕を俺の首に回し背伸びをすると目を閉じた。
ファーストキスである、俺は少し膝を曲げると顔を右に傾け唇を合わせ抱きしめた
当然だが周りに人がいないことは確かめた。(やばいアスラに言い訳を考えておかないと)
言っておくが舌は入れてない、ファーストキスは甘くないとね。
ファーストキスって大切なんですよ、ファーストキスでそのままゴールインなんてことも。
とキスであまり尺をとってもいけないのでうんちくはこのぐらいで。
女の子って不思議ですね、いくつになっても男にはわからない だが判ろうと努力すればまあ結構うまくいくですよ。
(カビが生えてそうな経験者談)
それから2人は路地を抜け散歩しながら公園へと向かう、手をつなぎながら近くに設置してあるベンチに座り今日の成果(買った強化バンド)を確かめた。
「それじゃ5個ずつで これとこれね」
「おう サンキュ」
ミサは顔を赤くしたまま少し俯き俺の方に頭をもたれてきた、そのまま何分経っただろうか。北西の方角から戦闘の音が響いてきた奪還作戦の開始である。
(パンッ ダダダ タタタ)
事前に俺達には学院にて待機するように伝令が回っているが、東和皇国防衛軍が負けるとはこの時点では誰も思わないだろう。
(まあ勝ったんだけどね)
しかし、まさかそこまで敵の逃げ足が速いとは思わなかったさ。
防衛軍が町を取り囲んだ時にはもぬけの殻も良いところで華連邦の兵はインセクターが千匹ぐらいしか残ってなかったと言う話だった。昨日攻め込んだ敵でほとんどだったという報告を聞いて唖然とした。逃げ足の華連邦は伊達じゃなかったという事なのか。
既にほかの地区の戦闘も終結しており防衛軍はこれから佐島(佐渡島)の奪還が当面の任務になるという。




