196.「補佐官と借金」
【辰守晴人】
──結果として、俺に与えられた私室は魔女のたまり場の様になってしまった。
というのも、スカーレット、イース、バブルガム、ライラックの4人が4人共、頑として抜け駆けを許さなかったためだ。
一応、一人一日づつ交代で俺の部屋を共用する権利を回していく……みたいな話も出たのは出たのだが──
『……それ、なんか嫌かな……べ、別に4日に1回しか晴人君の部屋に行けないのが寂しくて我慢できないとか、そんなことは思ってないんだからね!? あとイースのバカとかバブルガムが何しでかすかわかったもんじゃないし……』
とか
『俺様は行きたい時に嫁の部屋に行くんだよボケ!! つーかスカーレットのバカの次の日とかぜってー部屋汚ぇだろ!! あとバブルガムに晴人が食われちまうからなぁ!! 却下だ却下!!』
だの
『むはぁ、そもそもフーはなんでフォーメーションに入ってねーんだ? とか言い出す奴もいるだろーし、ややこしいからテキトーでいいんじゃねー? 私ちゃんは晴人のてーそーを守るために毎日入り浸るけど』
ときて
『わ、わわ、私、今、一日の半分、ラミーと身体を、替わってるから……せめて、自分でいられる時間は、は、ハルと一緒に、いたいの……あと、ハルの初めては、わわ、私が……』
というようなご意見が集まったので、結局皆が行きたい時に俺の部屋に行く……というところに話は落ち着いた。落ち着いてるのかこれ?
「──というわけで、昨日はソファで寝たので身体があちこち痛いですよ。最初はふかふかで結構良さそうだと思ったんですけど……やっぱりアレは座るものですね。寝るもんじゃないです」
「フフ、君に買ってあげたベッドで君だけが眠れないって、ちょっと面白いね」バンブルビーがクスクス笑った。
「笑い事じゃありませんよ……まあ、さすがにベッドで寝た5人の方も寝心地悪そうでしたけどね。狭い上にイースの寝相が悪いですから」
「イースの寝相、そんなに悪いんだ」
「今朝はライラック……というかラミー様がイースの尻尾に締め付けられて死にかけてましたね」
と、俺は結わえた彼女の髪をリボンで結び留めながら言った。フーにリボンをプレゼントした温泉旅行の時以来、俺が女性の髪をこんなふうに触るのは人生で2度目のことである。
「うん。上手に出来てるよ。ありがとうね」
「それはどうも……まあ、ただ単に一つくくりにしただけですけどね」
「いつもの編み込みとかは皆が勝手にやっているだけだから気にしなくていいよ。風とかで髪がめちゃくちゃになるのが煩わしいから纏めておきたいってだけだからね」
「なるほど……」
──さて、なぜ俺が朝っぱらからバンブルビーの部屋で愚痴をこぼしたり、彼女の髪を結んだりしているのかと言うと、昨日盟主アビスによって俺が彼女の補佐官に任命されたからである。
昨日の今日で早速補佐官としての業務が始まった訳だが、1日の始まりは彼女の身嗜みを整える手伝いから始まった。
理由はよく知らないし、デリケートな話題の可能性も大いにあるから特に聞くつもりもないが、彼女には左腕がない。
そのため、髪を結んだりシャツのリボンを結んだりブーツの靴紐を結んだり……べつに結んでばかりという訳でもないが……とにかく、片手では不自由な事を手伝うのが補佐官としての俺に与えられた最初の仕事だったのだ。
普段はラテとかヘザー、ライラックあたりが彼女の手伝いをするらしいが、今日からはそれも俺の役目である。それにしても──
(…………髪、サラッサラだったな)
指の隙間を抜けていくシルクの様な感触が、まだ手に残っている。見下ろすと髪の下から覗く陶器のような滑らかなうなじ……ついドキッとしてしまう……
(いかんいかん、業務に集中しなくては……)
「えっと、じゃあ次は……」
「うん。次はリボンをお願い出来るかな。片手でも結べなくはないんだけど、どうしても不格好になってしまってね」
言われて俺は、椅子に腰かけるバンブルビーの背後から、正面に回り込んだ。
「じゃあ、ちょっと首元失礼しますね」
「どうぞ」
事も無げに返事をしたバンブルビーはそっと目を瞑った。
きっと自分が恥ずかしいとかそういう訳ではなく、単に俺に気を使ってくれたんだろう。実際目を瞑ってくれている方が幾分か気分が楽だ。
俺はゆっくりと彼女のシャツの襟を立たせて、リボンを首の後ろへ回す。襟に沿ってリボンを当て、両端の長さを合わせる。長さが揃ったところでリボンを離すと、リボンの先端がハラりと彼女の胸にかかる。
(…………バンブルビー、デカいよな……)
前々から分かってはいたが、イースとかスカーレットに負けず劣らずの立派なものをお持ちである。
(だめだ。早く終わらせよう。これは目に毒だぞ)
俺は邪念を振り払って彼女の襟を元に戻した。リボンを丁寧に結び、歪んでいないか入念にチェックする。よし、完璧。
「出来ましたよバンブルビー」
「ああ、ありがとう辰守君。助かったよ」
バンブルビーは化粧台の鏡で自分の姿を確認すると、椅子から立ち上がって俺の肩をポンと叩いた。
「じゃあ、朝食の時間までまだ時間あるし、裏庭で軽く運動でもしようか」
「え、バンブルビーが相手をしてくれるんですか?」
「俺じゃ不満かな?」
バンブルビーがいたずらっぽい顔でそう言った。
「まさか、是非お願いします!」
鴉のNo.2に手ほどきして貰えるなんて願ってもない。昨日ようやく身体強化魔法の勝手を掴んだところで、身体がうずうずしていたのだ。
「フフ、じゃあまずは俺の倉庫に行こうか」
「……バンブルビーの……倉庫ですか?」
彼女の倉庫というと、この前イースと2人で泥棒のように……というか、泥棒に入ったあの部屋だろうか。裏庭で手合わせするという話と脈絡が無くないか?
「ちょっと君に渡したい物があってね──」
* * *
──鴉城の裏庭……ようやく空が白み始めたこの時間は、当然俺とバンブルビーの貸し切り状態だった。
「えっと、コレに魔力を込めればいいんですよね……いきます」
俺は自分の右手の小指に付けた指輪に意識を集中した。魔剣を作る時のイメージで指輪に魔力を集中すると、結晶化する筈の魔力が指輪にぐんぐん吸収されていく。そして──
「……おぉぉおお!?」
真っ黒な指輪が一瞬発光したかと思うと、いつの間にか俺の右手に剣が現れた。唐突に右手にのしかかった重量に耐えきれず、剣の切っ先が地面に吸いこまれる。
「うん。ちゃんと剣になったね。よかったよかった」
バンブルビーがにこやかにそう言った。
「……お、重たい…………けど、持てなくは、ない!」
地面にめり込んだ剣を両手で持ち直してなんとか持ち上げた。
禍々しい意匠が施された大剣……デザインのせいなのかその冗談みたいな巨大さのせいなのか、邪悪な雰囲気が漂っている。
それにしても本当に重たい……魔力指導してこれとは、イースの“夢花火”超えだな。
「……これ、ほんとに貰ってもいいんですか?」
「ああ。鴉の加入祝いとでも思ってくれればいいよ。俺が持ってても倉庫で埃を被ってるだけだったからね」
──ついさっき、倉庫に行ったバンブルビーはいくつもある棚の中の、小さな箱の中からこの指輪を取り出して俺にくれた。魔力を込めると魔剣になるという不思議な指輪だと言われたが、実際に今この目で見るまで半信半疑だった。
「俺、まだ自分で魔剣作れないんで嬉しいです!」
「喜んで貰えてよかった。あ、それ無くしちゃだめだよ? 多分だけど同じものはないからね」
「ええぇぇ!? そんな貴重な物なんですかこれ!?」
両手に握られた禍々しい魔剣を改めて見る。心做しか重量がましたような気がするぞ。
「昔、魔法式に精通した魔女がいてね。それ、そいつを討伐しに行った時の戦利品なんだ。まあ、倒したのは俺じゃなくてレイチェルとアイビスなんだけど」
「……聞けば聞くほど重みが増すんですが…………」
レイチェルと言えば四大魔女の人だよな。ラミー様をコテンパンにして監獄送りにしたという……その人と、同じく四大魔女のアビスが二人がかりで倒した魔女って、どんだけ強い魔女だったんだよ。
「あの、ちなみになんですけど、この魔剣の持ち主ってどんな魔女だったんですか?」
「まあ、気になるよね……名前はセイラム・スキーム。魔眼同盟っていう組織の盟主で、元四大魔女でもあった奴だよ。で、そいつが振り回してた魔剣をレイチェルが持って帰って飾ってたんだけど、ある日指輪になっててね。それでセイラムが作った魔道具だって気づいたわけ」
なるほど。元とはいえこの剣の持ち主は四大魔女だったのか……しかしそんな凄い魔女が使っていた剣を、魔剣も自分で作れないような俺が持っていていいのだろうか。いや、というか──
「…………あの、バンブルビー……これ、その……もしかしてレイチェルさんから貰った物じゃないんですか?」
今の話を聞いている限りではそういうことになるんじゃないのだろうか……そして、そのレイチェルは既に亡くなっている筈。つまり、この魔剣は言うなれば彼女の遺品というか、形見にあたる物なのではないか……そう思ったのだ。
「……うん、そうだね。だから君に持っていて欲しいんだ」「…………そう、ですか」
バンブルビーの言わんとしている事はよく分からないけれど、追求する気は起きなかった。
「大切に使わせていただきますね」
「フフ、乱暴に扱っても壊れるような物じゃないけどね」
そう言ってバンブルビーは笑った。
* * *
──バンブルビーとの朝の運動を終えた後……城の1階にある食堂につくなり驚くことが2つあった。
1つはアビスとマリアが“ハイド”の偉い人と会食するとかで城から離れていると聞かされたこと。
もう1つは────
「……こ、こんな美味しそうな料理を……イースが作れただなんて!!」
木製の長テーブルにズラリと並べられた料理の数々……朝食にしては少々量も内容も重そうではあるものの、そのクオリティたるや一流のシェフが作ったものとなんら遜色がないものだった。
そしてこの料理、衝撃的なことになんとあのイースが作ったというではないか。俺は初めて知った……人って本当にびっくりした時にも涙が出るのだと。
「……ちっ、俺様だって作りたくて作ってるわけじゃねぇからなぁ!! アビスの野郎が色々見逃す代わりに1週間飯当番やれって言いやがるから、渋々やってやってんだよ!! 渋々なぁ!!」
本人はこう言っているが、見ればわかる。料理が好きじゃなければこのクオリティの料理は作れない。後でレシピを教えてもらいたいレベルだ。
「フフ、イースは鴉で1番料理が上手いからね。こう見えて」
バンブルビーが椅子に腰掛けてそう言った。よく見るとバンブルビーの皿に盛られた料理だけ既に切り分けられている。フォークナイフが使えない彼女への配慮まで……酒と暴力の化身だなんて思っていてごめんなさい……イース。
「むはぁ、自分にも関係する事には妥協しねー奴だからなーイースは。まぁ無関係な事には無関心で不寛容だけどなー」
バブルガムはフォークとナイフをギリギリ擦り合わせて舌なめずりしている。行儀の悪い子である。
「ほんと、料理だけは上手いんだから……いえ、むしろ料理だけでも出来たのが幸いっていうか、神様のお情けっていうか……ぁ痛ぁッ!? ちょ、何すんのよこのバカァ!!!!」
イースの向かいの席で、大袈裟な身振りで鼻を鳴らしていたスカーレットの額に、弾丸のような勢いでワインのコルクが直撃した。無論イースの仕業である。
……この2人、つくづく思うけど仲悪いんだからもっと離れていればいいのに。なんで正面同士に座るんだよ。
「確かに美味しそうだけれど、朝にはすこし重たいメニューね………………は! まさか、朝から精がつくものを食べて私と性の……」
「ブラッシュテメェは黙ってろこの色魔がぁ!!」
うん。このやり取りはもう見慣れたな。特に何を感じることもない。
「今日から1週間イースのご飯! やったわねヘザー!」
「ああ、美味しい料理もだけど、それを大切な人と一緒に食べられる1週間に感謝だね。ラテ」
この2人もいつも通りのラブラブカップルである。お幸せに。
「わー! こんな美味しそうな料理作れるなんてイース凄いねー!! おかわりある? おかわりある!?」
「ガッハッハッ!! ちゃんと俺様の凄さが分かったみてーだなぁフー!! おかわりならいくらでも作ってやるから好きなだけ食え!!」
フーは本当にみんなと仲良くやっている。あの純真さの前には、一癖も二癖もある鴉の面々も少なくとも悪意や敵意の類は湧いてこないみたいだな。
「ふん、ようやく黒鉄と駄犬が来たのだ……さっさと祈りでも乾杯でもして飯を食わせろ」
テーブルの一番端……出来るだけ目を合わせないようにしていたラミー様が、苛立たしげにそう言った。どうやら早く飯にありつきたいのに、俺とバンブルビーが遅れてきたせいでお預けをくらっていたようだ。
「やれやれ、一応朝食の時間ピッタリなんだけどね。それじゃあ今朝の料理当番のイースに……」
バンブルビーがそう言って、水の入ったグラスを少し持ち上げた。すると他の面々もそれに追従してグラスを持ち上げた。俺とフーも見様見真似でそれに従った。
どうやらこれが鴉の“いただきます”的なことらしい。特に毎回食材に感謝の気持ちを込めているわけではないが、もはや習慣化したことだし、やらないと気持ち悪いまであるので一応いただきますと手を合わせた。
フーもなんの迷いもなくいただきますと言って飯にかぶりついている。
他の面々も料理に手をつけ始めているが、ヘザーとラテ、ブラッシュは目を瞑って祈りを捧げている。各々信仰している宗教とかがあるのだろうか。
「むはぁ、ヘザーはよくわかんねぇもんに祈ってて、ラテはそれに合わせてるだけだぞハレト。ブラッシュは知んねーけど」
俺の様子を見ていたのか、バブルガムが肉を切り分けながらそう言った。
「僕が祈っているのは僕や僕の身近な人のご先祖さまだよ。先人達は僕達が食べるのに困らないように、いつも見守ってくれているからね」
「まったく、バブルガムったら変な宗教みたいに言わないでよね」
なるほど。まだあんまり関わる機会はなかったけど、ヘザーとラテは鴉の中でもかなりまともな人というか、いい人なんではないだろうか。
特にヘザーは落ち着いた物腰とかも相まって凄くとっつきやすそうだ。これからはもう少し積極的に関わっていこうかな。
「ちなみに私は、今日もかわいい女の子とお近づきになれますようにと祈っていたわ。あ、もちろん性的な意味でね」
「……なぜ食事の前にそんなこと祈ってるんですか」
「食欲と性欲は密接な関係にあるからよ。詳しく聞きたい?」
「結構です」
聞いてもいないのにブラッシュが祈りについて説明してくれたが、驚くほど下卑た祈りだった。皆もやれやれといった表情だ。
気を取り直してイースが作った料理をいただくとする。
献立は、カニやらエビが入ったスープ……たぶんビスクってやつに、トマトとチーズとバジルの色合いが鮮やかなカプレーゼ。
テーブルには大きなパンが置いてあってそばにはパン切りナイフとどでかいチーズ。おそらく勝手に欲しい分切り分けて取るスタイルなんだろう。
そしてメインは鴨のコンフィ……付け合せの野菜にしろ肉にしろ、焼き加減が最高だ。
自称メイラード反応マイスターの俺が100点をあげたいレベル。
前菜から頂きたいところだが、熱いうちに食べておきたいのでまず鴨のコンフィから……パリパリの皮と、もっちりとした肉にナイフを通すと、断面から肉汁が滴る。
ブラッシュの言う通り絶対朝っぱらから食うもんではないが、そんな事は気にならないくらい美味そうである。では、ひと口──
「イース…………めちゃくちゃ美味しいです」
「ったりめぇだぁ!! 酒に合うもん作らせたら俺様の右に出るもんはいねぇからなぁ!!」
「なるほど、だから普通のサラダじゃなくてカプレーゼなんですね」
ガッハッハッ!! とイースが笑ってワインを流し込んだ。よく見るとイースの席には赤と白両方置いてある。さすがイース。それでこそイースである。
「むはぁ、イース! パン食いてーから火出してくれー」
「ほらよ」
「むふふ、サンキュー」
「あ、それラクレットチーズだったんですか……ていうか火こわ」
バブルガムがテーブルに置いてあったどでかい半円のチーズを素手で持ち上げると、イースがその断面を蒼炎で炙った。
バブルガムは皿に取り分けたパンとコンフィの付け合せの野菜に、こんがりと焼けてトロトロになったチーズの断面をナイフで削ぎ落としてぶっかけた。なんて美味そうなことしやがるんだ……そして胃は大丈夫か、まだ朝だぞおい。
「それにしても、これだけの食材を毎食使うとなると結構食費がかさみそうですね」
「いや、そうでもないわよ? お肉とか魚は狩りで手に入るし、野菜もあちこちで育ててるもの。イースのワインも自家製だし。ね、ヘザー」
「そうだねラテ。だから結局お店で買わないといけない趣向品とかが1番高くつくのさ。バブルガムのお菓子とか」
「バブルガムの私服とかも結構高いわよね。色々理由つけて買いまくってるけど、潜入捜査っていつどこにするつもりなのよ……私なんて一着も持ってないのに」
「テメーは尻尾が生えてるから普通の服が着れねーだけだろうがバカ。つーかバブルガム、テメーは外泊費用もかかり過ぎなんだよ!! なんでテメーは出かける度に高ぇホテルに泊まったりすんだよボケ!!」
「そういえばバブルガム、俺が前に貸したお金いつになったら返してくれるのかな。倍にして返すからって競艇場に向かった時のやつなんだけど」
「おい紫雷の、貴様そういえばライラックからも金をせしめていただろう。札束でビンタしてやるとかなんとか言って……あの札束かえせ。このラミー様の金だぞ」
俺はただ食費のことを聞いただけなのに、なぜこうなってしまったのか。出るわ出るわバブルガムへの不平不満が。
そして聞けば聞くほどバブルガムの株が暴落していく。
それにしても、こんなにも金にだらしがなにのに貯金は共有にしようとか言ってやがったのか……恐ろしい奴である。
「…………バブルガム、皆バブルガムに話しかけてるんだと思いますよ」
全員の視線を一身に受けながらも、バブルガムはトマトのぶよぶよを必死に取り分けている。聞こえないふりをしているのか、マジで聞いていないのか。
「むはぁ、物事には順序ってのがあんだろー。もちろん借りた金は返すけど、まずは400年くらい前にヘリックスに借りた分から返すのが筋だ!」
「……色々ツッコミたいところですけど、その人に返すお金持ってるんですか?」
「むははは! 持ってるわけねーだろー!? だからハレトお金貸してー!!」
うん。ダメだこいつ。




