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ラヴ6 父は威厳があると誰が決めた?

 さて、どうするか…と俺が悩むと事態は勝手に進むのが常であり


「じゃあ、私が衛輔さんを迎えに行ってくるから、今のうちに話す事をまとめておきなさい?」


「はい!ありがとうございます!」


「分かった…流石は我が母上様。こちらが何か話があると言うのはお見通しか…」


 緊張を解そうとしてくれてたのかもしれないが、我が彼女の愛海瑠さんは緊張よりも俺との話をしたくて仕方がない感じですよね?本当に、俺の事がどういう風に見えているやら…?見れたとしても、見る勇気はないんですけどね?


「ど、どうしよう!?今更ながらに緊張してきたよ…」


「本当に今更な?まあ、うちの父はまあ…普通?」


「普通の定義って?」


「それ言われるとなぁ…まあ、大丈夫だから」


「・・・ぽっ」


 何故に大丈夫と笑いかけただけなのに照れてしがみ付いてくるんですかね?そんな、女子の心理に首を傾げそうになっていると…


「ほら、この娘が円斗さんの未来のお嫁さんよ?」


「は、初めましてお義父さん!!私、円斗君と結婚を前提お付き合いをさせて頂いております、舞川愛海瑠と申します!よ、よろしくお願いします!!」


「あ、ああ…よろしく。円斗の父の衛輔です。・・・本当に結婚を前提にと言って来るとは…円斗、本気と見て良いのか?」


「あ、ああ…彼女が俺に愛想を尽かさない限りは」


「それはないよ!円斗君が私を傍に置きたくない程嫌いにならない限りは離れないからね!!」


「分かった!分かったからそんなに抱き着かないでくれ!ああ…もう!ほら、これで落ち着け…な?」


「うん・・・♪」


 何かもう、腕組むか抱き合うかしかしてないぞ?バカップルと呼ばれる人もびっくりの距離感だろうなこれ…


「あ~…私たちはどうすれば良いんだろうな?」


「ふふっ、若いって素晴らしいわよね♪私たちも若い頃を思い出して抱き合ってみます?」


「美津奈がどうしてもと言うならやぶさかではないが…収拾がつかなくなるだろう?」


「分かってますよ。でも、あれだけ熱いのを見せつけられると…ねぇ?」


「あ~・・・二人とも?話があるんだろう?とりあえず、抱き合うのは後にして席につかないか?」


「は、はい!すみません…」


「すまん、親父。怒るなら俺にしてくれ」


「いや、怒っているわけじゃないんだが…」


 そんなこんなでやっと全員で席に着いた訳だが…


「その…腕は組んだままなのか?」


 母と違って父はそれを指摘して来たわけだ。まあ、これが普通の反応だよな?


「す、すみませんお義父さん!その…何と言うか…円斗君にくっついてないと不安になるんです…」


「あのさ、二人には悪いけど…これは受け入れてくれると助かる」


「美津奈はどう思う?」


「微笑ましいなとしか思いませんね」


「まあ、そうだろうな…分かった、気にしない事にしておく」


「悪いな、親父」


「すみません、お義父さん」


「・・・可愛い娘さんにお義父さんと呼ばれるとこそばゆいな」


「・・・衛輔さん?」


「ああ、ごほん!そ、それで、何か話があったのだろう?」


 ああ…威厳が一気に吹き飛んだぞ?父よ…。まあ、俺の父だからこんなものだろうなぁ…(遠い目


「そ、そうなんです!えっと…あの…いきなり来て厚かましいお願いだとは思うのですが…」


 チラッと俺の方を見る愛海瑠に、俺は分かりやすく大きく頷いてみせた。俺がお願いしても良いが、愛海瑠の我がままなんだ。まずは、愛海瑠から話させないと色々と遺恨が残るだろう。もちろん、一度話を切り出してくれれば最大限フォローするつもりだ。


「まさか、円斗を婿に欲しいとか?」


「まさか!私がお嫁に来ます!絶対に円斗君には、私をお嫁さんとしてもらって欲しいんです!!」


 そう言って意気込んで俺の方を見てくる愛海瑠さん。え?何?この流れは?


「こんな可愛いお嫁さんを貰えて、俺は幸せ者だなぁ!!」


 そこで大げさにアピールする俺。マジキチだな円斗さん…


「可愛いだ何て…もう!円斗君!もう!!」


 怒ってる風を装っているけど、思いっきり顔がにやけてますよ?愛海瑠さん。そして、嬉しさからか、腕にしがみ付いてますよ?


「我が息子ながら恐ろしいな…」


「衛輔さんより器が大きいのかもしれないわね?」


「ううむ…」


 話が進まんなぁ…俺のせいでもあるから何とも言えんが…


「んんっ!話を戻そう」


 おう、さすが我が家の大黒柱。強引だが話を戻したぞ!そこに痺れる憧れるぅ…そうでもないか?


「あ!すみません!?円斗君が褒めてくれたのが嬉しすぎて堪えられませんでした…」


「円斗…この娘の好感度高すぎないか?」


「好感度とか言うなし、愛と呼べ、愛と!!」


「円斗君の事を宇宙の誰より愛してます♪」


「ああ、ありがとう…俺もだよ」


「円斗君…」


「・・・嬉しいけど、進まないから我慢して話をしような?」


「・・・はぁい」


「しぶしぶだなぁ…ちゃんと出来たら後で思いっきり抱きしめてあげるから頑張れ」


「絶対だよ!言質とったからね!!私が良いって言うまでだからね!!!」


「あ、はい…ヤクソクダ」


「えへへ♪では、改めまして。実は、お義父さんと、お義母さんにお願いがあるんです」


「お願い?」


「私にもなのね?」


「はい。・・・私を、この家に住まわせて下さい!!お願いします!!」


「え?ええ!?な、何故そんな話に…?」


「なるほどね、円斗さんとそんなに離れたくないの?」


「はい!円斗君と離れると凄く不安になるんです!私、自分でも驚いてるんです…こんなに、相手に依存する女だったなんて…」


 そう言って落ち込む愛海瑠。やっぱり、こういう姿を見ると俺の中の何かが条件反射的な速度で動き出す。


「大丈夫だ、俺が全部受け止めてやるって言っただろう?」


「円斗君…」


「あ~、またそれるからストップだ。そして、この家に住みたいと言う話だが…」


「もちろん、好きなだけ住んでもらっても構わないわ」


「そうそう、構わない…って、何を言ってるんだ!?美津奈さん!?」


 あ、こういう所俺にそっくり!やっぱり、俺って父親似だなぁ…


「決意を固めた女には、どんな言葉も届かないのよ?それよりも、有意義な時間にしましょう。この家に住むからには、家事は手伝ってくれるんでしょう?」


「いや、しかし…」


「父よ、諦めろ。母上様がこの様に決定したことを覆せたことがあったか?」


「・・・ないな」


 我が父は、どこか遠くへ視線を向けながら肯定した。何か、微妙に哀愁が漂ってる気がするなぁ…


「もちろん、家事は全部任せて下さい!」


「そうはいかないわ、私も家事は好きだもの…全部譲るのは無理よ?」


「す、すみません!お義母さんの仕事を全部取ろうと思ったわけじゃないんです!?」


「そんなに慌てなくても大丈夫よ?そうね…これからしばらくは、私が家事をするのを手伝ってくれないかしら?それで、愛海瑠さんの家事の腕を見て、徐々に任せても良い所増やしていくの、どうかしら?」


「はい!もちろん、それで構いません!」


「良い返事ね♪でも、家事をしている間は円斗さんにくっついていられないけど、大丈夫かしら?」


「だ、大丈夫です…多分」


「そこは自信ないのかよ!?」


「うう…だってぇ…」


「泣きつかれてもな…さすがに、家事は片手で出来るほど甘くはないぞ?怪我に繋がる事もあるし、俺にしがみ付いたままではされられない」


「はい…」


「だって、愛海瑠に怪我されたら…俺が辛くて泣いちまうだろ?」


「円斗君のバカぁ!これ以上私に円斗君を好きにさせて…愛させてどうするの!?離れる事がもっと出来なるなっちゃうじゃない!バカぁ!円斗君のおバカぁ!!」


「ちょっと!胸を叩かれるとか本当に経験するとは思わなかった!痛くないけど何か痛い!?」


「もう!もう!もう!!円斗君何て…大好きなんだからぁ!!」


「うっ…力強い抱き着きだな…またやっちまったか、俺…」


 愛海瑠を片手で抱き締めながら片手で頭を撫でる。そうしながらも、我ながら俺はどうしようもないなと思っていた。女の前でカッコつけマンを治す方法ってありますか?


「はぁ…これはもう断れないじゃないか。・・・賑やかになりそうだな」


「そうね、賑やかになりそうね」


 そんな風に、俺たちを温かく見守る夫婦の姿があったとかなかったとか。


 あれ?愛海瑠の家への連絡は?着替えは?部屋は空きがあるけど寝床の用意は?色々考えることあるじゃん!?抱き合ってる場合じゃないよなぁ…ハハハ…

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