ラブ4 ショッピングは彼女任せ
やって来ました巨大ショッピングモール!そして、ここに来るまでに改めて実感したのが彼女が視線を集める存在だという事だ。男性はもちろん、女性の視線も集めやすいようだ。前者はもちろん見惚れる意味で、後者は可愛いものに見惚れるのに性別は関係ない!と言うものあるが、俺にべったりだからと言う理由もあると思わる。
俺への視線?短いうえに疑問が多かったかと。何でこいつ?みたいな感じの…仕方ないがな!しかし、思った以上に彼女の俺(の左腕?)への依存率が高い。一度、トイレに行くために離れたのだが、行く前に一悶着、戻って来てから一悶着あった。特に、腕を組み直す時の安心しきった可愛くどこか艶のある表情は、思わず写真に残したくなったほどだった。ごめんなさい、正直に申告するとそのシーン以外にも残したい表情ばかりです、ハイ。
「円斗君、どこから回る?何か希望があったりするのかな?」
「いや、まあ…突然決まったから愛海瑠にお任せしたいんだが…俺が決めた方が良いのか?」
「う~ん?私の行動を温かく見守る円斗君、俺に付いて来いと私を引っ張ってくれる円斗君。どっちの円斗君も見てみたいなぁ…」
「そ、そうか…」
どっちもハードル高いんですが!?何?俺ってかなりレベル高いと思われてるの!?人生で初デートですよ?そんな当たり前行動出来ると思ったら大間違いでございます!!
そんな心の叫びをよそに、愛海瑠の方針は決まったらしく…
「じゃあ、とりあえず洋服を見に行こうよ!円斗君の服を選んであげる!日曜日は、その服でデートに行こうよ♪」
「お、おう…服か…俺に似合うのあるかなぁ?ははは…」
お値段はリーズナブルのでお願いしたい!甲斐性なし?高校生なんだから仕方ないだろう!?アルバイトしろ?俺の左腕の現状で出来る仕事があるとでも…?
「・・・どうした?何でそんなに沈んだ表情してるんだ?」
ふと見ると愛海瑠が何か落ち込んでいるようだったので思わず声を掛けたんだが…マジでいきなりどうしたんだ?
「うん…なんか…このデートが終わったら円斗君と明日の朝まで会えなく…離れなくちゃいけないと思ったら何か…ごめんね」
「愛海瑠…」
そんな切ない表情されても…どうすればいいんだ!?彼女にとっては数時間でも俺と離れたくないって事だよな?何とかしてやりたいけど、これだけはどうにもな…
どうしようもないと思った俺だが、気が付いたら優しく彼女を抱きしめていた。正直、自分自身の行動に驚いた…
「円斗君…?」
「そんな寂しそうな表情するなよ…スマホを使えばすぐに会話だって出来るだろ?」
なるべく優しく語りかけたつもりだが、セリフは浅すぎたな…俺だし、この程度ですよ、ええ…
「うん…仕方ないのは分かってるんだけど、自分でもどうしようもないの…この温もりの温かさを知っちゃったせいだと思うんだけど…」
そう言って、愛海瑠は抱き着いている手に力を込めて来た。離れたくないって気持ちがすっごく伝わって来るが、どうしようもない…分かってる、下手な事を言うと悪化させるとは分かってる、分かっているんだが…
「愛海瑠…一度離れてしまう事はどうしようも出来ないけど、お前が傍に居る時はどんな我がままでも受け止めてやる。だから、交換条件として、俺の傍に居る時はお前の笑顔を見せてくれ」
「円斗君…」
ただしイケメンに限る!って入りそうなセリフだったな…我ながらこれは黒歴史になりそうだ。どうやら俺は、女の前で格好つけたくなるおバカだったらしい…後で一人になったら悶えよう…
でも、セリフ自体は本心だ!だから、思いは伝わったはずだ!・・・伝わったよな?
「どうしよう、円斗君…すっごく嬉しい!嬉しすぎて…余計に離れたくなくなっちゃったよぉ…」
「やっぱり、真面目になった俺は碌なことしねぇな…」
「ううん!すっごく嬉しいよ!私がダメダメなだけ…ごめんね」
「笑顔!笑顔になってください!」
「あ!そうだね!うん!笑顔笑顔♪」
「ああ、俺の彼女は世界一可愛いな!!」
「も、もう!そんな事言っても何もないからね♪」
バカップル作戦?で空気は変えられたが、根本的な問題が解決してないぞ…どうする?そっと愛海瑠の様子を窺っていると…一度目を瞑った後、こちらを真剣な表情で見て来た…何かすっごく嫌な予感がするんだが…
「円斗君!」
「な、なんでしょうか!?」
「さっき、どんな我がままでも受け止めてくれるって言ったよね?」
「言ったかもしれないね…俺の中のかっこつけが…」
ほうら、嫌な予感的中だよ?何を言われても、俺は全力を尽くさなければいけないじゃないですか!?ど、どんなお願いされるんだ…?
「私…今日から円斗君の家で一緒に暮らしたい!!一緒に住めるように円斗君のご両親を説得するのを手伝って欲しいの!」
「あ~…そう来ちゃったかぁ…可能性としてはあり得たのよね…考え無しの俺のバカ野郎…」
「え?よく聞き取れなかったけど…ダメなのかな?」
「も、もちろん手伝うさ!不安な顔はするなって言っただろ?」
「うん!円斗君大好き!!」
円斗君大好き!!と言う愛海瑠の可愛らしい声が俺の中で10回以上リフレインした…物凄く良いね!!って、そんな場合じゃないだろ!相変わらず、すっごく良い匂いと感触…って、たまに思い出すな!そんな場合じゃない!!どうするんだ!?付き合いだしてすぐに同棲とか高校生の出来る事じゃないだろ!?
「俺も愛海瑠の事は大好きだぞ!し、しかし、俺の良心の説得は大丈夫だろうけど、愛海瑠のご両親はいきなり娘が知らない男の家に転がり込むと知ったら、驚くだけじゃ済まないだろ?」
普通に考えて、大事な娘が全く知らなかった男と一緒に住むと言い出したら止めるだろう。少なくとも、父親は!だって、こんなに可愛い娘だぜ?絶対に手放したくないだろう?普通は…俺の中の普通が壊れかけているので強調して行ってみたが…嫌な予感しかしないんだよな…
こういう時だけは当たる俺の予感はやはり正しかったようで…
「うちの両親は大丈夫だよ?絶対に…ね」
「そうなのか?それは変わったご両親だな…」
そう答えつつ、俺は少し違和感を感じた。何かこう…愛海瑠の発言が何となく核心と言うより、強い意志の力が働いていたと言うか…うまく言えない自分がもどかしいな!!
「じゃあ、円斗君のご両親に挨拶に行く事になったし、今日は日曜のデートの服を選ぶだけにしようね♪」
「そ、そうだな…?決定しちゃったんですね、それ…あはは…」
身から出た錆だけど俺は悪くない!だって、あんなに寂しそうな愛海瑠を救うことが出来たんだからな!!・・・と、自分に言い訳しつつ愛海瑠に引っ張られながらショッピングデートに向かう俺です。流され続けているなぁ…
「これはどうかな?」
「良いと思うよ」
「じゃあ、こっちは?」
「それもまた良い!」
「・・・全部良いって言ってくれるのは嬉しいけど…ちゃんと選んでくれてる?」
さすがに疑いの目が向けられましたか…?現在、俺の服はささっと決まったので、愛海瑠の服を選んでいる所です。しかし、可愛い愛海瑠には何でも似合う想像しか出来ないのです、俺には!!従って、さっきのような全部良い!って返事しか出来ないだよなぁ…
「俺からすると、愛海瑠が可愛すぎて何でも似合うから他に返事のしようがないんだよ…すまん」
正直に言う事にした。だって…誤魔化すとこじれる予感がするんだ。
「そ、そうかな…?じゃあ、全部買って来るね♪」
「お待ちください、愛海瑠さん!?そんなお金があるわけないでしょう!?」
「ここはローンを組んででも…!」
「そんな決意は要らないから!!じゃあ…これ!これにしよう!!ほら、このモデルの人より愛海瑠が来た方が絶対に似合うし!これに決定!!」
それは、秋にふさわしいふんわりとした落ち着いた色彩の上下の服だった。たまたま目についたものだが、何でも似合うと言う極論で問題ないはず!!
「それが円斗君のおすすめなんだね♪じゃあ、それを買って来るね♪」
「いや!ここは俺が払うから待っててくれ!」
「え?でも…」
「初デートの代金は男が払う!これ、俺の中の常識!!と言うわけで、異論は無し!!分かったか?」
「う、うん…円斗君がやっぱりカッコイイって分かった♪」
「何か違うけど…買って来る!!」
そう言って、レジに向かった後、試着してないからサイズが!?とか思ったりして、試着したりでしばらく時間が掛かったのは内緒だ!・・・俺、本当にカッコイイの??
「えへへへ♪」
「あははは…」
今、ただただ俺の家に向かっているだけだが、それだけでも嬉しいらしい愛海瑠は終始ご機嫌だ。もう、俺も嬉しくなってくるくらいに!・・・例の件がなければ…
「あのさ…やっぱり、今日から俺の家に住むって話は…」
「一緒に説得頑張ろうね!」
「あ、うん…頑張ろうね…はは…はぁ」
そんなこんなで家に着いてしまったのだった…どうするんですか?これ…