裏ラヴ7 私の日常が変わった日 その7
「じゃあ、私が衛輔さんを迎えに行ってくるから、今のうちに話す事をまとめておきなさい?」
美津奈お義母さんがそう言ってくれたので、素直に甘える事にします。
「はい!ありがとうございます!」
「分かった…流石は我が母上様。こちらが何か話があると言うのはお見通しか…」
あ、待って?もしかして、私は円斗君のお父さんに女性として美津奈お義母さんと比べられるんじゃ…?そう考えると…
「ど、どうしよう!?今更ながらに緊張してきたよ…」
「本当に今更な?まあ、うちの父はまあ…普通?」
普通…普通かぁ…普通??
「普通の定義って?」
「それ言われるとなぁ…まあ、大丈夫だから」
大丈夫だと笑いかける円斗君は、本当に格好良くて安心出来て
「・・・ぽっ」
思わず、心の声を出してしまうほど動揺してしまい、円斗君にまたくっついてしまいました。やっぱり、円斗君は私の安心の形だね♪
「ほら、この娘が円斗さんの未来のお嫁さんよ?」
私が円斗君にくっついてほわほわしてると、話を通していたらしい?美津奈お義母さんが衛輔さん?を連れ立って現れて、私を未来のお嫁さんと紹介してくれた。お嫁さん…!?
「は、初めましてお義父さん!!私、円斗君と結婚を前提お付き合いをさせて頂いております、舞川愛海瑠と申します!よ、よろしくお願いします!!」
未来のお嫁さんと言われたからには、しっかりしないと!・・・円斗君のお嫁さん…えへへへ♪
「あ、ああ…よろしく。円斗の父の衛輔です。・・・本当に結婚を前提にと言って来るとは…円斗、本気と見て良いのか?」
あれ?疑われているの?
「あ、ああ…彼女が俺に愛想を尽かさない限りは」
私が円斗君に愛想を尽かす?ないない!!
「それはないよ!円斗君が私を傍に置きたくない程嫌いにならない限りは離れないからね!!」
絶対に離れないと言う気持ちは行動に現れてしまい、またも円斗君にきつく抱き着いてしまっていた。
「分かった!分かったからそんなに抱き着かないでくれ!ああ…もう!ほら、これで落ち着け…な?」
円斗君の抱き締めは、私にとっては凄い効果があってすぐに落ち着けた。
「うん・・・♪」
ただし、効果がありすぎて私をダメにしていると思われますよ?円斗君…♪
「あ~…私たちはどうすれば良いんだろうな?」
「ふふっ、若いって素晴らしいわよね♪私たちも若い頃を思い出して抱き合ってみます?」
「美津奈がどうしてもと言うならやぶさかではないが…収拾がつかなくなるだろう?」
「分かってますよ。でも、あれだけ熱いのを見せつけられると…ねぇ?」
「あ~・・・二人とも?話があるんだろう?とりあえず、抱き合うのは後にして席につかないか?」
はゎ!?つい、円斗君との世界に入り浸ってしまっていたよ…
「は、はい!すみません…」
やっぱり、自分でも分かるほどポンコツになってるよ…
「すまん、親父。怒るなら俺にしてくれ」
円斗君!?私のポンコツ化を加速させないで!?と言う思いとは裏腹に、私は嬉しくて円斗君にしがみ付いていた。私はもう、重度の円斗君中毒かもしれない…
「いや、怒っているわけじゃないんだが…」
ややあって、みんな席に着いたのは良いけど
「その…腕は組んだままなのか?」
と、衛輔お義父さんに注意されてしまいました!?…ここは素直に言ってみましょう。
「す、すみませんお義父さん!その…何と言うか…円斗君にくっついてないと不安になるんです…」
ポンコツですみません…
「あのさ、二人には悪いけど…これは受け入れてくれると助かる」
すぐにフォローしてくれる円斗君。えへへへ♪って、違うよ!私のポンコツ化が…何て考えるのもしなくなりそうだよ、円斗君…
「美津奈はどう思う?」
「微笑ましいなとしか思いませんね」
「まあ、そうだろうな…分かった、気にしない事にしておく」
美津奈お義母さんの一言で納得してくれる衛輔お義父さん。素敵な夫婦だね♪
「悪いな、親父」
あ、私も謝らないと!?
「すみません、お義父さん」
あ、お礼の方が良かったかな…?
「・・・可愛い娘さんにお義父さんと呼ばれるとこそばゆいな」
あれ?私の緊張を解そうとしてくれたのかな?少し、崩れた笑顔を見せてくれた衛輔お義父さん。
「・・・衛輔さん?」
「ああ、ごほん!そ、それで、何か話があったのだろう?」
違ったのかな?円斗君も、たまに照れ隠しするから分かり難いなぁ…
「そ、そうなんです!えっと…あの…いきなり来て厚かましいお願いだとは思うのですが…」
そうだった。ここに来た目的を円斗君が素敵すぎて見失ってしまう所でした!円斗君が素敵すぎて♪ちらっと円斗君を見てしまう。あ、頷いてくれた?タイミング的にお願いの件だと思われたみたい…うん、自重します…
「まさか、円斗を婿に欲しいとか?」
それはそれで魅力的ではあるけど、やっぱり!
「まさか!私がお嫁に来ます!絶対に円斗君には、私をお嫁さんとしてもらって欲しいんです!!」
お嫁さんにして貰う方が愛して貰えてる気がしてしまうのは私だけじゃないよね?それに、円斗君から私が欲しいって言って貰いたいし…ぽっ♪
「こんな可愛いお嫁さんを貰えて、俺は幸せ者だなぁ!!」
円斗君にしてはオーバーなアクションで幸せアピールをして来た!?きっと、意図があっての事だろうけど、そんな事を言われてしまったら私はもう…
「可愛いだ何て…もう!円斗君!もう!!」
思惑の深いところまで考える事何て出来るはずもなく、照れながら身体を円斗君にぶつけていた。いつでも貰って下さいの意を込めて…伝わらないだろうけどね?
「我が息子ながら恐ろしいな…」
「衛輔さんより器が大きいのかもしれないわね?」
「ううむ…」
円斗君のご両親が何か言っていた気がするけど、私の中では可愛いお嫁さんが円斗君の声で何度も再生されていて、際限なく私は照れていた…円斗君!もう!!
「んんっ!話を戻そう」
と言う声が聞こえ、私はやっと正気を取り戻した。
「あ!すみません!?円斗君が褒めてくれたのが嬉しすぎて堪えられませんでした…」
それでもまた例のセリフが頭の中で再生され、にやけてしまう私。
「円斗…この娘の好感度高すぎないか?」
好感度と言う数値があったら、私は針が振り切れていると思います!
「好感度とか言うなし、愛と呼べ、愛と!!」
愛…♪
「円斗君の事を宇宙の誰より愛してます♪」
断言出来ます!
「ああ、ありがとう…俺もだよ」
「円斗君…」
そんな事を言われてしまっては、私の思考は円斗君一色になってしまうではないですか…
「・・・嬉しいけど、進まないから我慢して話をしような?」
「・・・はぁい」
円斗君本人に言われてしまっては…私はしぶしぶ返事をした。
「しぶしぶだなぁ…ちゃんと出来たら後で思いっきり抱きしめてあげるから頑張れ」
思いっきり抱きしめてくれる!?
「絶対だよ!言質とったからね!!私が良いって言うまでだからね!!!」
ここぞとばかりにしっかり約束として取り付ける私…我ながら必死過ぎるかな?
「あ、はい…ヤクソクダ」
少し私の余りの剣幕に引いているみたいだけど、しっかりと約束してくれる円斗君…素敵♪
「えへへ♪では、改めまして。実は、お義父さんと、お義母さんにお願いがあるんです」
流石の私も自分の我がままを通すために来たのを思い出し、気持ちを切り替えしっかりとお願いする事にした。
「お願い?」
「私にもなのね?」
「はい。・・・私を、この家に住まわせて下さい!!お願いします!!」
頭を下げてお願いをしました!・・・円斗君の腕は話してないけれど…
「え?ええ!?な、何故そんな話に…?」
「なるほどね、円斗さんとそんなに離れたくないの?」
さすが、美津奈お義母さん!私の気持ちをすぐに察してくれるなんて…♪
「はい!円斗君と離れると凄く不安になるんです!私、自分でも驚いてるんです…こんなに、相手に依存する女だったなんて…」
反省はしているけど、どんどん依存率は上がってる気がする…円斗君に迷惑しかかけてない気がして来た…
「大丈夫だ、俺が全部受け止めてやるって言っただろう?」
私の落ち込みをすぐに察して言葉をかけてくれる円斗君。
「円斗君…」
円斗君が素敵すぎて、また思考が円斗君だけに引っ張られてしまう…
「あ~、またそれるからストップだ。そして、この家に住みたいと言う話だが…」
危ういところで衛輔お義父さんの声が聞こえ、何とか踏みとどまりました。せめて、時と場所を考えようよ、私…今更感が強いけど…
「もちろん、好きなだけ住んでもらっても構わないわ」
そんな反省をしていたら、美津奈お義母さんの許可する声が聞こえて来た!?
「そうそう、構わない…って、何を言ってるんだ!?美津奈さん!?」
あ、このノリツッコミ、私と円斗君のやり取りに似てるかも…?私と円斗君もこんな素敵な夫婦に…えへへへ♪って、今はそう言うの禁止だったよ!?
「決意を固めた女には、どんな言葉も届かないのよ?それよりも、有意義な時間にしましょう。この家に住むからには、家事は手伝ってくれるんでしょう?」
そう!今はともかく、円斗君の近くに居られる権利を得る事が一番大事!さすがは美津奈お義母さん!私の覚悟を分かってくれるなんて♪円斗君中毒?の私には、ここに住めるかが死活問題になりかねないのです…
「いや、しかし…」
「父よ、諦めろ。母上様がこの様に決定したことを覆せたことがあったか?」
「・・・ないな」
美津奈お義母さんって、すっごく優しそうだけど決める時は譲らない部分もあるんだ…私も見習わないとね!でも、今はアピールが大事!!
「もちろん、家事は全部任せて下さい!」
多分、ふんす!って表現が使われるんじゃないかってくらい気合いを入れてそう言い切って見ました!
「そうはいかないわ、私も家事は好きだもの…全部譲るのは無理よ?」
はぅ…美津奈お義母さんの立場を奪おうとしてるわけじゃないんですよ!?
「す、すみません!お義母さんの仕事を全部取ろうと思ったわけじゃないんです!?」
ど、どうしよう!?調子に乗っちゃった…?
「そんなに慌てなくても大丈夫よ?そうね…これからしばらくは、私が家事をするのを手伝ってくれないかしら?それで、愛海瑠さんの家事の腕を見て、徐々に任せても良い所増やしていくの、どうかしら?」
よ、良かった…やっぱり考え直します!って事じゃなかったみたい。
「はい!もちろん、それで構いません!」
美津奈お義母さんと一緒に家事をするのも楽しそうだもんね♪
「良い返事ね♪でも、家事をしている間は円斗さんにくっついていられないけど、大丈夫かしら?」
あ…それがありました…
「だ、大丈夫です…多分」
大丈夫なはず…なのに、半日にも満たない時間で円斗君漬けになってる私には確信を持った発言は出来なかった…
「そこは自信ないのかよ!?」
「うう…だってぇ…」
そんな、情けない声が自然と出ていた。円斗君とくっついている時の安心感…どうやったら伝えられるかな…?
「泣きつかれてもな…さすがに、家事は片手で出来るほど甘くはないぞ?怪我に繋がる事もあるし、俺にしがみ付いたままではされられない」
「はい…」
さすがに円斗君から厳しい指摘をされてしまった。確かに、片手間でやる事じゃないよね…居候するようなものだもんね…
「だって、愛海瑠に怪我されたら…俺が辛くて泣いちまうだろ?」
その、あくまで私のためを思っての言葉に…
「円斗君のバカぁ!これ以上私に円斗君を好きにさせて…愛させてどうするの!?離れる事がもっと出来なるなっちゃうじゃない!バカぁ!円斗君のおバカぁ!!」
私は、思わず円斗君の胸を叩いていた。じゃないと、嬉しすぎてもうわけが分からなくなってしまっていたから
「ちょっと!胸を叩かれるとか本当に経験するとは思わなかった!痛くないけど何か痛い!?」
少し力も入っていたけど、抑えられなかった。だって、これから火事の時は離れないといけないのに離れられなくなるようなことを堂々と言うんだもん!!
「もう!もう!もう!!円斗君何て…大好きなんだからぁ!!」
大嫌いって言おうと思ったのに、口から出たのは抱き好きだった。仕方ないよね?大好きなんだもん…♪
「うっ…力強い抱き着きだな…またやっちまったか、俺…」
私の大好き♪攻撃の抱き着きを、受け止め頭を撫でてくれる円斗君。もう、好きなんだから!大好きなんだから♪家事は頑張るけど、それ以外は離れないからね?覚悟してね♪
「はぁ…これはもう断れないじゃないか。・・・賑やかになりそうだな」
「そうね、賑やかになりそうね」
また何か言われた気がしたけど、私はしばらく円斗君とのこの時間に浸らせてもらう事にしました。円斗君が格好良すぎて本当に困ってしまいます…♪