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ラヴ1 唐突に彼女はやって来た

懲りずに新作です。よろしくお願いします。

 俺の名前は、翠口円斗(みどりぐちまると)。名前についてのツッコミは要らないからな!…おっと、話が逸れてしまった。気を取り直して…


 俺の通っている高校は、恋愛を推奨しているふざけているようで真面目な進学校だ。何故恋愛を推奨しているのに真面目な進学校だと思ったろ?俺も思いっきり思っている事だ!・・・え?説明しろ?まあ、これはこの学校の創始者の言葉で俺のじゃないと言っておくぞ?


 難しく言っているのでかなり端折った言い方に訳すと、恋愛こそ努力出来る最大の燃料だという事みたいだ。まあ、お互い好きな人に良い所を見せようと頑張れるらしい。正確な内容は忘れました!恋愛経験のない俺からすれば良く分からない理論だからな!


 驚くべきことに我が県に置いて、この恋愛充実高等学校は一番の進学校になっているのだ!どうだ!?驚いただろう!?まあ、俺も知った時は驚いた!驚き過ぎて勉強を頑張って受かってやったくらいだぜ?はっはっは!!


 とまあ、そんな勢いで頑張ったお陰でこの競争率の激しい高校に受かったのは良かったんだが…


「空しい…何故、俺にはまだ彼女がいないんだ!?」


 そう!ここが大事な話だが、恋愛自由でどんどんしろと言う方針の学校に通う事になったとしても、俺みたいな何の取り柄もないでただ彼女欲しい!とか思っている奴にまで彼女が出来るかと言うと、そんな事があるわけがないのが現実だったりして…


「まあ、この学校に入れれば彼女なんてすぐに出来るとか思い込んで何もしていなかった俺に問題があるのは分かるんだが…」


 そう、モテないなりに女子にアプローチすれば何とかなったかもしれない。だけど、恋愛推奨している学校ですよ?何もしなくても何かあるんじゃないか!?とか思ってしまっても仕方ないと思わない?


 いや、週に二回オリエンテーションと称して出会いの場みたいなのが用意してあったりと学校は頑張っているかもしれない。だが!俺はこう見えて、コミュニケーション力は低いのだよ!そんな奴は、どんな場だろうと女子に話し掛けるなんて出来ないんだよ!話しかけられてもしどろもどろだよ!悪いかよ!!


 そして今、俺は人気のない裏庭に来ている。何故か?それは…


「昼休みに友人と一緒にご飯を終えた後、トイレに行く途中に中庭にあーん♪って食べさせ合いっこしているカップルを見たからだよ!叫ばずにいられるか!?いられまい!?」


 と言う下らない理由でこんなところにいる俺だ!無駄な労力?暇人の極み?ちょっと何言っているか分からないですね…え?それ以前に、もしかして告白されるかするんじゃないかと思ったって?それは…思わせぶりにしたかっただけだ!参ったか!!・・・俺の精神が参ってるぜ…ちくしょう!!


「くそぅ…彼女が欲しい!クラスのアイドル的存在、舞川愛海瑠(まいかわあみる)が付き合ってくれるなら、俺の出来る事なら何でもするのに!!」


「それは本当?」


 ん?・・・今、俺の超絶独り言に割り込む声が聞こえなかったか?いや、気のせいだろ?彼女が欲しすぎてとうとう幻聴が聞こえてきたか?


 そう思いつつも、俺は声が聞こえて来た気がした木の方に目を向けてみると…


「・・・」


「・・・」


 おや?幻覚まで見え始めたぞ?やばいかもしれないな。俺が今、勝手に何でもすると豪語した相手、クラスのアイドル舞川愛海瑠が木の陰から出てきてこちらを見ている姿が幻視されているぞ?


「やばいな、クラスのアイドル舞川愛海瑠の幻覚が視えるようにな」

「幻覚じゃないんだけど?」

「る…何て…あれ?もしかして、本物だったりしますでしょか?」


「そうだよ?今時の幻覚は、こんな返事をしてくれるの?」


「いや…どうだろう?俺も、ここまではっきりした幻覚は見たことないから分からないなぁ!!」


 そう答えつつも、俺は必死に思考を走らせる。つまり、現状を打開する策を!!


 まず、整理しよう。俺は、裏庭に居る。そして、さっきまで愚かしい独り言…彼女欲しい!クラスのアイドル、舞川愛海瑠が彼女になってくれたら何でもするのに!とか妄想っぽい発言をしていたわけだ。そして、ご本人が木の陰から登場…うん、俺のクラスでの立場は死んだな…となれば!


 俺は、開き直って舞川を真っ直ぐ見つめる。…やっぱり、可愛いな!全体的にふんわりとした雰囲気の可愛い系の美少女だ。そんな彼女が俺を見ている!?って、そうじゃない!やるべきことは一つだ!!


「舞川さん!俺と付き合って下さい!!」


 そう!姑息な俺が閃いた手!それは、告白玉砕することによって多少の罪悪感が出た相手に同情し、先ほどの件をうやむやにしてくれることを願うと言う作戦だ!!


「うん、いいよ」


 そう、相手の善意に頼る…ん?


「…いまなんて?」


「うん、いいよ」


「・・・やばいな、まっすぐ向かい合ってるのに幻聴が聞こえてくるんですけど?」


「幻聴じゃないよ?付き合っても良いって言ってるんだよ?」


「・・・なんだ…と…?」


 落ち着け俺!どうことなんだ!?え?玉砕は!?善意に頼る作戦は!?何でOKされたの!?どういう事!?WHY!?ここはどこ!?わたしはだれ!?マイネームイズマルト!!丸くないけどな?はっはっは!!・・・OK、落ち着け俺…


「そうか、知らない間に俺は惚れられていたのか」


「違うよ?」


「・・・分かった!ドッキリだな!?」


「違うよ?」


「・・・ふむ、説明願えないだろうか?俺は…そう!少しだけ察しが悪いかもしれない感じかもしれないような気がするんだ!!」


「そこまで遠回しにしなくても良いと思うけど…えっと、付き合っても良いけど条件があるだけだよ?」


「条件…?なるほど、分かったぞ!」


「絶対に分かってなさそうだけど、一応聞くよ?」


「お金は持ってないぞ!」


「違うよ?」


「臓器も売らないぞ!?」


「お金から離れようね?」


「何!?金が目的じゃないだと!?」


「やっぱり、全然分かってなかったね…」


「くっ…この俺が分からない事がこの世に存在するとは…」


「翠口君ってそんなキャラだったっけ?」


「ふっ…テンパってるだけです!!」


「あー…何かごめんね?」


「謝らないで!惨めになるので!!」


「あ、うん…」


 俺は結構な醜態を晒してからやっと深呼吸をした。はっ!はっ!!ふぅー…あれ?これは違うな!?だが、結構なボケをかましたことで落ち着てきたぜ!・・・取り返しがつかないほどの阿呆をやらかした気がするが…気のせいだと思いたい!!


「よし!じゃあ、俺たちは付き合うって事で良いんだな!?」


 ごめん、落ち着いてなかったようだ…


「それは良いけど…条件を聞いて貰っても良い?」


「そうだった!そうだった!…財布には少ししかなくてですね…」


「お金から離れるように言わなかったっけ?」


「過去に類を見ない程錯乱していた俺が、話を覚えていると思わない事だな!!」


「何で偉そうにしてるのか分からないけど、分かったよ。じゃあ、もう面倒だから条件言っちゃうね?」


「!?おう!どんとこい!!」


 あれ?これ、どんな条件出されても断れない感じじゃない?そう思ったら、急に冷静になって来たぞ…


「えっとね、簡単だけど難しいと言うか…所謂、イチャイチャを堂々としたいだけなんだけど…どうかな?」


「なるほど、イチャイチャか!それなら得意だ!どんと任せてくれ!!」


「ホント!?やった!じゃあ、これからよろしくね?彼氏の円斗君♪」


「任せておけ!彼女の舞川さん!」


「・・・愛海瑠って呼んで?」


「あ、愛海瑠さん?」


「愛海瑠」


「・・・愛海瑠」


「うん♪よろしい♪」


「…可愛すぎだろ!?」


 今の見ました?ちょっとどやってるような笑顔めっちゃ可愛かったんだけど!可愛かったんだけど!!


「もう!彼女を褒めても何も出ないよ?」


 ちょっと照れた様子を見せてくれただけで十分出てます!!いや、落ち着け!お金じゃなかったからまるっとOKしてしまったが、イチャイチャってなんだ?堂々と?・・・俺に得しかなくないか?条件にもなってない気がするんだが…どういう事だ?


 そんな今更な俺を置き去りに、現状は動いて行く。


「じゃあ、教室に戻ろっか?」


「!?あ、ああ…」


 自然と腕を絡ませてきたぞ!?女の子とこんなに接近したことが未だかつてあっただろうか?いや、無いと断言出来る!!伊達に彼女いない歴=年齢じゃないぜ!!って、違う!柔らかいとか、良い匂いがするとか…それも違う!!そうだ、イチャイチャってもしかしてやっぱりこうやってくっついたりすることなのか…?隠語で何かあるんじゃないのか?・・・俺、もしかして死ぬ…?


「どうしたの?そんな、幸せ過ぎてもうすぐ死ぬんだな…と、悟りを開いたみたいな顔をして?」


「それまんま今の心境なんだが…エスパーか!?」


「当たったの?何となくだったんだけど…」


「もう、ど真ん中直球ストライク!だって、ま…愛海瑠みたいな美少女に腕を組んでもらってるんだぞ?幸せ過ぎて何かあると思うだろ?」


「私が組みたいから組んでるだけなんだけど…やっぱり、いきなり馴れ馴れしかった?鬱陶しい?」


「今の俺の話を聞いてどう解釈したらそうなる?むしろ、いくらでも来い!全身全霊で受け止めてやろうではないか!!」


「本当だね?言質とったからね?」


「ああ!どんとこい!!」


 まあ、理性との戦い続けなければならないかもしれないが…幸せに対する投資だと思えばなんてことは無い!と言うか、腕を組むを通り越して胸を押し付けるかのようにすり寄って来られているこの状態で、彼女の希望を断れる奴がいたらみてみたい!俺はきっと、尊敬の念すら抱いたであろう。


「やったね♪それじゃあ、本当に教室に行こうよ♪」


「おう!クラスの奴らに俺たちのラブラブっぷりを見せつけてやろうではないか!!」


 押され過ぎると人間は引くものだ。きっと、ま…愛海瑠も引くはず!そして、本当の理由を話すはず!


「良いね♪円斗君を選んで正解だったよ♪やっぱり、私だけじゃ限界があるから、相手である円斗君が乗ってくれるなら、イチャイチャの限界に挑めそうだよね♪」


「ま、任せておきなさい!」


 俺の浅はかな策略では乗ってくれなかったようだ…。しかし、イチャイチャの限界ってなんだ?どこが限界なんだろうか?


 そんな事を考えながらも愛海瑠を連れ立って教室へと向かう。しかし、腕を組むってこんなだったか?愛海瑠との距離が近過ぎて腕を組むと言うより、腕にしがみ付かれているようで…左腕が幸せな事になっているんだが?


「ん?どうしたの?」


「いや…女の子ってこんな良い匂いするんだなぁと…思ってですね…」


 チラッと愛海瑠の様子を(うかが)ったら質問をされてしまい、流石に柔らかくて幸せです!とは言いにくかったので、もう一つの疑問をぶつけてみた。これも十分変態っぽいが…


「そうなのかな?自分では分からないかなぁ?」


 首を傾ける仕草も可愛い!じゃなくてだな、やっぱり良い娘だな…何かあるんじゃないかと思うのは勘ぐり過ぎなのだろうか?


「でも、臭いって言われなくて良かった…言われたらイチャイチャ出来ないもんね?」


「愛海瑠が臭いわけがない!それよりも、俺が大丈夫か心配なんだが…」


 女の子…いや、美少女が臭いわけないだろう?何を言っているんだ、愛海瑠さんは?


「その顔、絶対に女の子は良い匂いがすると思ってるでしょ?あのね、ちゃんと気を使ってる子が大多数なんだからね?まあ、詳しく言わないけど…マナーみたいなものだし?それよりも、円斗君の匂いかぁ…気になるから嗅いでみても良い?」


「この距離で匂わないなら俺的にはOKなんだが…別に、嗅いでも構わないと言えば構わないけど…」


 と許可を出してすぐに俺の匂いを嗅ぎに来た!?どうしたら良いんだ!?美少女が、俺の首元で匂いを嗅いでますよ!?どうしたら良いんだ!?(二回目)誰か教えてくれ!!


「う~ん、確かに何か匂いはあるけどそこまでじゃないかな?ただ、今の時期は平気だけど、熱くなったらお互いに気を付けようね?ずっとくっついていたいから♪」


「そう言う事ならそうしよう!ただ、何を使ったら良いかアドバイスは欲しいかもしれないな…気を使った事が無くてですね…」


「それはもちろんだよ♪やっぱり、円斗君は優しいね?私の我がままを聞いてくれるし」


「先に言っておくぞ?イチャイチャしたいのは俺の願いでもあるんだからな?つまり、付き合うための交換条件にもなっていないのだよ!だから、これは優しさとかではなく…」


「やっぱり、円斗君を選んで良かった♪」


「…ああ、頑張って期待に応える様にしますぞ」


 腕にしがみ付くようにされて、安心してますって笑顔であんなことを言われたらさすがの俺でも照れますってば…


「あれ?円斗君、照れてる?良かったぁ…私がくっついても結構平然としていたし、実は、私の一方通行になるんじゃないかと、ちょっとだけ心配していたんだよね」


「そんなことあるわけないだろ?お世辞抜きで愛海瑠は可愛いからな?正直、こうやってくっついてられるだけで幸せの絶頂と言っても過言ではない程だからな!」


「うん、ありがと…やっぱり、真っ直ぐに彼氏に言われると照れますな?えへへへ♪」


「やばい、照れている顔も天使級に可愛い!!どうしたらいいんだこれ!?俺が彼氏で本当に良いのか!?」


「え?今更離さないからね?私の彼氏は円斗君で確定しちゃったからね?」


 離さないよ?と言わんばかりに腕に力を込めてしがみ付く愛海瑠さん。俺はと言うと…表情がにやけない様に必死ですよ!だって、油断すると…わかるだろ?だが、普段より顔が緩んでるのは間違いないだろう。全くの無表情でいられる奴がいるとしたら、それは男じゃないか特殊な趣味の奴に違いないと断言出来るね!!


「円斗君黙ってどうしちゃったの…?もしかして…」


「あ、違うぞ!マジで俺から愛海瑠を離す気はないからな!ほら、証拠だ!ぎゅぅ!」


 と言いつつ、抱き締めてしまった!勢いって凄いな…あと、愛海瑠の不安な表情が悪い!守りたくなったんですよ!まあ、冗談交じりだし、ここはすでに校内の廊下なのですぐに離そうと思ったんだけども…


「・・・」


「・・・♪」


 愛海瑠さんが離してくれません!?いや、嬉しいんだよ?柔らかいし、良い匂いがするしで俺もう大変なんだよ!だから、嬉しいんだけどもさ…この体勢ではさすがに歩けませんぞ?しかも何と言うか…嬉しそうな気配みたいなのがあってだなもう離しません!みたいな感じで抱き着いて来てるんですよ?行こうぜと促すのすら難易度が高いんだけども…どうしましょうか?



 結論から言うと、何とか伝えられました…腕を組まれていると歩く速度にも支障があるのでね…余り余裕がないという事も含めてやんわりと…あと…


「じゃあ、後でまた抱きしめてくれる…?」


「もちろんだ!俺たちは、放課後と言う自由な時間がある!その時間にならいくらでも抱きしめてやる!放さないから覚悟しろよ?」


「離さない…♪」


 と言う、約束を取り付けられてしまった。それはそれとして、俺の言った半分冗談が冗談として受け止めてもらえていない事に多少危機感が募っているが、まあ何とかなるだろう!・・・いや、未来に丸投げ何てしてないからな?本当なんだからね!?・・・要らんなぁ…男のこのセリフは…


 で、やっとの事で教室まで辿り着いた。そして、ドアを開けようと手を伸ばしたところで勝手に開き…


「おう、円斗!随分長いトイレだった…な!?」


「ま、まあ色々とあってだな…」


 出て来たクラスメイト…いや、友人の一人である清水幸也(しみずこうや)が、俺に軽口を叩こうとしたところでどうやら俺と腕を組む存在に気が付いて驚いたようだ。まあ、俺も逆の立場だったら…女っ気の気配すら全くない友人が、ちょっとトイレ行って来ると言って出て行ったのに、戻って来たら女と腕を組んでいた!なんて事になったら、驚愕するだろうな…ある意味、同情する。


 俺と愛海瑠を交互に見て事態を飲み込もうとする幸也だが、


「おい、入り口で何やって…なんだ?円斗、やっと戻って…って、どういう事だ!?何で、舞川さんと腕を組んでいる!?」


 その後ろから、もう一人の友人である淀川竜輝(よどかわたつき)がど直球で聞いて来た。正直、どう答えたらよいのか迷うところだと悩んでいると、やはり事態は待ってはくれないものだったらしく…


「なに!?まじか!?舞川が本当に翠口と腕組んでやがる!?罰ゲームか!?」


「なるほど!俺は幻覚を見ているのかと思ったが、罰ゲームなら仕方がないな!!」


 ふむ、どうやら平々凡々な俺とクラスのアイドル的存在の舞川愛海瑠が付き合うと言う発想がないクラスメイトたちは、俺たちの姿を見て罰ゲームと判断したようだ。俺も、逆の立場だったらそう思った可能性が高いから何とも言えないな…


 しかし、苦笑いしか出来ない俺とは愛海瑠は違っていたようで…


「清水君、淀川君、ちょっとどいて貰っても良いかな?」


「はい…」


「ああ…」


 愛海瑠は、進路を塞いでいた友人二人を一言でどかすと俺の腕を引っ張って教壇の前へと立った。何をするつもりだ?と困惑する俺を置き去りにし、愛海瑠は俺ともう十分すぎるほどくっついていると言うのに、さらに身体を寄せながら…


「みんな、聞いて!私、円斗君と付き合う事にしたから!だから、男性陣は私の(・・)円斗君を馬鹿にするのは止めてね?」


 笑顔だがどこか迫力のある愛海瑠の言葉に、男どもはコクコクと頷いている。・・・あれ?愛海瑠さんって怒らせると怖いタイプ?


「それと、女性陣の皆さんは、ちょっとくらいなら馬鹿にしても良いけど…誘惑するのは絶対に止めてね?私も知らなかったけど、どうやら私って独占欲が強いみたいだから…ね?」


 ゾクッとした!!背筋がぞわわって!!今、女性陣とか言ってたけど、半分は俺に向けてましたよね?浮気したら死刑!!って言う幻聴が聞こえましたよ!?これは…尻に敷かれるどころか、デッドオアアライブなんじゃ…


「円斗君、席に座ろうっか?」


「あ、ああ、そうしようか。みんな、これからそんな感じでよろしくな?」


 控えめにクラスメイトに挨拶した。まあ、半分くらいは色々な意味で驚愕から固まっているが…


 で、席に着くから離れると思った俺は甘かったようで?何と、席をくっつけて俺の腕に抱き着いたままなんだよね、愛海瑠さん…いや、偶然にも隣の席だから席自体はあれだが…


「なあ、愛海瑠?さすがに席をくっつけるのはまずくないか?」


 俺が名前呼びすると、周りのみんながザワッとしたが、さきほどの宣言もありその程度だった。それ以前に、俺にくっついて離れない愛海瑠の存在が大きい気もするが…


「何で?恋愛を推している高校だよ?これくらい、大目に見てくれるよ♪」


 翻訳すると、絶対に離れないからよろしくね♪という事だと思われる。いや、イチャイチャってこんなだったっけ?何か、俺の左腕の所有権が彼女に移ってる気がするんだが?まあ、幸せの感触とか、良い匂いとかあるから強く否定するなんて出来ないけどね!!それ以前に、そう言う条件を受け入れたわけだしな…


 しかし、彼女に関してはここまで大胆だとは思ってなかった…恐らく、クラスメイトもだろうが。なので、しばらくは俺たちにはちょっかいを出す輩はいないだろう。誰だって、美少女から睨まれたくないもんな!特殊な性癖の持ち主は除くが…


「ねえ?円斗君?今日は何か予定あるの?無いならショッピングモールでお買い物デートしない?どーーーしても外せない用事があるなら…残念だけど諦めるよ…」


「ないない!用事何てない!だから、全然OKだぞ!だから、そんなに人生最大の選択肢を強要されたみたいな苦渋の表情しないでもらえますかね!?何か、居た堪れないから!!」


 最初はすっごい笑顔で喋っていたのに、俺に用事があった時の事を想像したのか、途中からすっごく辛そうな何とも言えない表情になったのだ。こんな表情されたら、用事があってもないって言うわ!実際ないから良いが、これからもこれ入れ難くないですか?


「そっかぁ♪ないなら問題もないよね♪えへへへ…楽しみだね♪」


「あ、ああ、そうだな!楽しみだな!!」


 春が来ました!と言わんばかりに、明るい笑顔に変わった愛海瑠。俺はその笑顔に見惚れてあまり良い返事が出来なかったが…大丈夫みたいだな!!しかし、左腕が幸せ過ぎて離れた後が物足りたくなったりしそうで怖いぞ…


 そして、席に着けーの声とともに教師が入って来た。…あ!よりによって俺の苦手な数学だったじゃないか!・・・嫌な予感しかしないんですが?愛海瑠さんは離してくれませんよねぇ?

最後までお読み頂き、ありがとうございます。


続きが気になる方は是非、ブックマーク登録よろしくお願いします。

ブックマーク=読み手の数と言う作者の考えで、テンションが変わりますので…


 他の作品の書き直しを予定しているので、それの兼ね合いとか…他の新作も書きたいとか思っているので、それとの兼ね合いとかもありまして、更新は不定期になりそうですが…現状一番優先度が高くなりそうですので、見捨てずに読み続けて頂ければ幸いです。どうぞ、今後も今作品とのお付き合いの程、よろしくお願い致します。



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