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ルビーアイ  作者: アゲハ
15/23

14話 藤田先生

「これって……」








桜子が口を開く








何も言わない








誰も








何も言えない








ただ、【ソレ】を








直視、した








さっきの








昇降口のソレで








実に冷静な








自分が居る








でも、








冷静が続かない








【ソレ】を








制服を








制服から








目を離し








もっと








上を








見た








心が








揺さぶられる








いや、








私の








心が








壊れそうだ








目の前の








【ソレ】の








右の








【ソレ】の








左の








【ソレ】の








顔を








私は








知っている……








コレは








この子は








この子達は








昨日


















ベランダで本を読んで居た時に、噂話をしていた女生徒だ!








マズイ


心が壊れる


逃げなきゃ


もう、それを考えた瞬間


声にもならない声で叫び


叫び散らし


ただ全力で


廊下を走り








階段を下り








昇降口に向かっていた








昇降口まで戻る








息が切れて肺が潰れそうだ








立って居たくも無い








でも……








逃げなきゃ、出なきゃ、校舎を!








着いた


昇降口


龍斗がその戸をひたすらガチャガチャと鳴らし、鍵を捻る





どうしたの?





早く開けて逃げよ!





息が切れて声は出ない、が、イヤ、今はまだ……


今はまだ……


いや、何でも無い……


ただ、


「え?」


と桜子が私を見て驚いた表情を見せた


私に似合わない不安な表情をしていたのかも知れない


それを打ち消す怒号



「っっそ!!!!」


「開かねぇ!!!!!」



龍斗が叫ぶ



「修!! そっちの戸はどーだ!?」


「こっちも開かねぇよ!!!!!」



修の叫声にも似たソレ



「お前ら、何してんだ?」



藤田先生!?



修が物凄い速さで駆け寄り、先生にすがるように袖をを掴む


そのせいでジャケットが大きくはだけた


逆光が眩しい


先生の眼鏡だけが異様に光る


藤田先生の袖にすがり、修が叫んだ


「先生! 大変なんだよ! 6組! 1年6組で首吊り…… 先生! なんなんだよコレは!? なんなんだよコレはぁぁぁ……!!!」


もはや泣きが入っていて聞き取れない



が、



気持ちは解る



凄く、解る



私もその姿を見るまでは冷静になれなかった



だから、解る



私はそれでも冷静になれたのか、修の後ろに回り、先生から引き剥がそうとした



その私を龍斗は修ごと引き剥がそうとする



桜子も反対の袖にすがり、助けを求めた



ソレらを見回し、先生が口を開く



「勘弁してくれよー…… 面倒事が起きると俺が責任負うんだぞ!? 早く帰れし! 全く最近の若いもんは……」


「いや、そーじゃねーんだよ! ホントなんだよ!!」








先生は








「お前ら、何してんだ? 勘弁してくれよー…… 面倒事が起きると俺が責任負うんだぞ!? 早く帰れし! 全く最近の若いもんは……」



「先生! ちゃんと話聞けって!!!」



「お前ら、何してんだ? 勘弁してくれよー…… 面倒事が起きると俺が責任負うんだぞ!? 早く帰れし! 全く最近の若いもんは……」



「だから、だから、先生ぇぇ!!!」



「お前ら、何してんだ? 勘弁してくれよー……面倒事が起きると俺が責任負うんだぞ!? 早く帰れし! 全く最近の若いもんは……」



「え……? 先生……?」




「お前ら、何してんだ? 勘弁してくれよー……面倒事が起きると俺が責任負うんだぞ!? 早く帰れし! 全く最近の若いもんは……」






修がキレた






「遊びじゃねーーんだよ!!!!」




先生の持つ懐中電灯を、彼の手が叩き落とした




懐中電灯は




壁にぶつかり




光りを散らしながら




クルクルと回る








そして








止まった……








光を








先生に向けて








先生は








先生の眼は








黒く








より黒く……








眼鏡の奥には、無かった








【眼球】が、無かった


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