アタリのヘッドホン
俺は二十四時間ゲームしている……と、言うのは嘘だ。
言い方を変えよう俺の人生はゲームそのものだだから二十四時間ゲームしている。みんなだってそうだろ。
俺の得意なジャンルはレトロゲーム、昔ながらのゲームは何かと奥が深く面白い。
今時のゲームと違い裏技、小技、多くの攻略手段があるからな。
でもレトロゲーム以外にも遊んでいるものはある。
それは……#コンパスだ。
ネットのゲームで知り合ったマルコスという人物に教えてもらったのがきっかけで始めた。
このゲームはVRゲームでありジャンルは三体三の陣取りゲームだ。
楽しさを分かりやすく言うと、梱包材のプチプチを割るのがやめられないそんな感覚だ。いくらでもできてしまう。
レトロゲームとは違った中毒性を持っている。
でも俺はこのゲームを引退しようとしている。何故かと言うと普段2Dゲームしかしてない俺には3Dの耐性がなくすぐにプレイの途中で酔ってしまいまともに戦えなくなる地雷だからだ。
普段リモコンをポチポチしている人に体を使うゲームなどできるわけない。
ああ、横にあるVRが怖いよ……此奴を見ているだけでいろんな記憶が蘇ってしまう。
それは数日前のこと……
「十文字君、今回のステージは光と闇のステージだね! あ、ほら見て仲間にリリカちゃんがいるよ。このゲームのキャラにリリカちゃんを使ってくれるんなんて運営も頭いいよねいIQ400ぐらいあるんじゃないの?!」
「IQ340のお前に言われるなんてさぞかし運営も嬉しいだろうな、俺はC取りに行くからマルコスさんはABしっかりと守っててくれよ」
このゲームは自分の体型をスキャンしその自分の分身がステージを駆け回るゲームだ。もちろんゲームオリジナルのキャラで遊ぶことも可能だが俺たちは自分の体で戦っている。
何故かって? 自分が戦うことを考えて見たら楽しそうだと思いそうしているだけだ。
「リリカちゃん! アピしてぇー! 僕なんでもするからさー!」
俺と違ってマルコスは自分の姿をリリカちゃんに見せたいからその姿で戦っていると言う。
変態だな……そのリリカ本物じゃないのに。
『ゲームの始まりです』
その言葉を聞いた瞬間俺は猛ダッシュで一直線に俺は走り出した。
他の人だって同じだ、一人はHAでとても早くスタートを切ったり、また逆で様子を見ながらゆっくり行動する人もいる。
これがレトロゲーとは違うところだな。相手はコンピューターではない常に人間無数のパターンがある。そうするに面白さは無限大と言うことだ。
「うおおお」
俺はステージの上にあるCを取りに階段をダッシュする。これはゲームでも身体能力を試される。ちょっとでもタイミングがずれたらこけてしまう。
急ぎながらも慎重にいかないとな。
「やっと着いた。そしポータルキーを獲得しチームに貢献しないとな」
そして目の前にある、キーに手をかけたその瞬間……
「ちょっと待った、このキーは私の物だ、大人しく死んでもらおうか」
拳銃を持った男が俺の前に突如現れたのだ、綺麗に回りながら俺を撃ち抜いて来る、その目はまさに殺し屋の目だ。
その勢いで俺はその場に転んでしまう、走って来たあとにこれとかもう目が回ってしょうがない。
すぐに立とうとしたが立ち上がれない、目が回っているのもあるが此奴の目が怖いのもある。
蛇睨みまるで巻かれている様な感覚だ。
「くそぉ……」
「これでチェックメイトだ、殺しの練習のためにこれをしているのだがどいつも此奴も殺し甲斐がない奴ばかりだ……あれを使う必要もないな」
キーを取りながら男は言うと俺の脳天をバンッと撃ち抜いた。
そのから記憶はないがマルコスが頑張って勝ったと言う。
しばらくして目を覚ました俺は酔いとショックで吐いてしまっていた……
マルコスの話だと男の名はルチアーノ、ネットの裏だと有名な殺し屋の様だ。しかしそんな奴がゲームをしているかと思うと怖くてできない。
さらに前のこと……
その時の俺はまだ下手で動きがおかしかったがあれは酷過ぎた。
ステージはグレートウォール、立体的な壁のあるステージだ。
「ちぇ、今回はリリカちゃんいないのかぁー仲間の女の子ちょっと怖いしなんだかやる気でないなぁー」
「そんなこと言うなよマルコス君、ほらなんかブツブツ言ってるよ……」
「ああ早く切りたい真っ二つにしたい床を真っ赤に染め上げたい……」
ほんとこのゲームは色々な人がいるよな。
『ゲームの始まりです』
合図と同時に走り始める、まるで一つのミサイルの様に。
「おりゃあ目指すはCのみ全力で取りに行くぜぇー!」
速く走るのはいいが、そのぶんいつもドット絵に慣れてる目には入って来る情報が多く過ぎてすぐに気持ち悪くなってしまう。
意識が朦朧としながらも高台に上がる階段を全力で登る、その時だった登り切って左折すればCなのに下に飛び落ちてしまったのだ。
もちろん降りた途端袋叩きにされた。
「やべっすぐに挽回しないとっ!」
スタート地点にリスポーンしまたすぐに走り始める。しかしもうまともに走ることはできなかった。
さっき回りながら落ちて行ったので目が回りすでに酔っていたのだ。
そこから意識はない……
まあこんな調子で負因を作ってる。ゲーム好きの奴だったら誰だって分かる原因だろう。
ゲームして酔うとか遊ぶ以前の問題だ。
やはり俺にはレトロゲームがお似合いてことか。
マルコスにどう説明すればいいのか悩んでいると、インターホンから音がなる。
確認してみるとどうやら宅配便のようだ。
受け取ると俺は送り主を確認した、マルコス……マルコスってまじかよ!?
箱の中を開けてみると大きなヘッドホンが入っている、その横には小さい手紙。
開けてみると『これ付けながらやれ、5555で待ってるからな』と最小限使えるだけ書いていた。
「一体なんだんだよ……」
めんどくさいが思ったがやはり友達の頼みは断れないよな、ここで断ると罪悪感だけが残っちまう。
このどでかいヘッドホンに一体何があるかは知らないがやってみるしかないよな。
ヘッドホンを耳につけVRを目に装着するといつも見ている風景があった。
レトロだ、コンパス内がレトロゲームの雰囲気になっている。なんだこの最高の空間は心が揺れるぜ!
そうそう5555ってルームだよな、字までレトロ風素晴らしい。
「マルコス君、このヘッドホンって一体?」
ルームの暗号を解き入った途端俺は問いかけた。
「僕が作ったんだよ、ほら大切な友達失うのはなんかやだろ。それに最近ログインしてないから自分が役に立たなくて落ち込んでるのかなって思って、どうすれば解消できるかボイドールと考えたらそのヘッドホンができた」
「お前……俺のことバカにしてなかったのか……てかバカにするどころかちゃんと分かってくれてたんだな」
「一つの悩みで好きな事をやめるってなんだか効率悪いだろ、俺だって昔は悩み事でいっぱいだったんだ、でもある人に助けられた。そこで変われたんだ。人は助け合って生きているってね」
マルコスは笑顔で俺に行って来る。
「助け合うか……」
確かに俺はシングルプレイばかりしていた。だからマルコスの気持ちも考えずに辞めようと……
何故か涙が出てくる。
「さあ行こうか! 俺たちの戦いはこれからだ!!」
これからはみんなと助け合って戦おうさあ、モンスターサーカスの始まりだ!
みんなで助け合おう!!
最後に出てきたボイドールとはコンパスを監視しているロボットの事です。
協力することを覚えたアタリ君ここからモンスターサーカスが始まります!『個人的な妄想』