新たな出会い
年末年始まったく動けずようやぬ再開できました。
とりあえず現状を振り返ってみる。
先程までただの夢と思い、ただただ面白いなぁ〜〜楽しいなぁ〜くらいにしか思っていなかった。
しかし、夢なのにまったく思い通りになりません。
いやいや、夢なんて勝手なものだと思います。思い通りにいかないことや想像しないことも起こるでしょう。
ただ、私の夢は自由自在だったのです。
ああっっっ
夢が思い通りにいかないなんて…!
ショック。
ストレス発散でストレス溜めてしまうなんて本末転倒もいいところ。
この上はさっさっと目覚めるに限ります。
ただ…どう目を覚ましていいのか…
夢はきっかけがないと起きれない。
いくら自覚していても外気の刺激で目覚める。
アラームなり着信なり。
あとは体が十分に休めた場合に体のシグナルとして。
しかし今の私は疲労困憊で仮眠中。
お産がなけれざ朝まで呼ばれることもありません。
そしてこういう日に限って呼ばれなかったりする。
今まで調子良かったのはたまたまだったのかしら。
今回は少し趣も違えば、自在度が格段に異なる。
たかが夢だがなかなかショックから抜け出せない。
自信満々だっただけに切ない。
先程から何回もトライしているがまったくなにも起こらない。
「風よ吹け」
「土よ壁になれ」
「もう何でも良いから動け〜」
集中するがまったく何も起きなかった。
いや、集中は嘘。
ただヤケになっていた。
「魔王様、かなりの消耗がおありのようです。まだ無理をなさらない方が良いかと。」
いやいや。
まったく疲れてませんよ。
ただただショックなだけですから。
えぇ、何も起こらないから疲れようもありません。
ムスッとしたまま振り返った。部屋に明かりが灯っている。辺りは暗くなっていた。スッカリ夜だ。
白霧に覆われているとはいえ光は入るらしく日中は明るく夜は暗くなっていた。
「…私才能ないのかしら」
思わずつぶやく。
「魔王様はお目覚めになられたばかりなのです。まだ魔粒子の流れが滞っているのでしょう。
むしろあれだけの魔粒子が白霧になって出ていたのですからいくら魔王様の星の種子といえども負担が大きいのだと思われます。」
白夜は跪きながらこうべを垂れた。
「魂の消耗もあり、言霊も力が弱いものと思われます。御魂が再びお体に馴染み、御魂のエネルギーの回復も必要かと。」
「…そうだね、そういうことにしとこう。」
まぁ今無理なものは仕方ない。
どうぜ私の夢。いずれはできると信じよう。
「何もしてないけど疲れたわ。体が重たい。」
腕を伸ばしながらストレッチをすると若い体に似合わずボキバキと音がなる。
なんだか体が当直明けのように凝っている。
「湯殿やサウナのご用意があります。そちらでお寛ぎください。」
「ゆどの、っておふろのこと?そんなのもあるんだ。すごいね」
正直あの変な赤い液体に浸かっていたからなのかベタベタするような気がして気になっていた。たぶん気のせいなんだろうけど、なんかね。
「ありがたく頂戴するね」
白夜に案内されて着いたのはこれまた白を基調にしたギリシャ風の柱が並ぶ内風呂だった。
もちろん、内風呂と言っても日本の一般家庭の大きさにあらず。1人で入るにはもったいない大きなお風呂だった。
もちろん、白夜を誘ってみたが見事に断られた。
ちっ、つまらない男だ。
白夜のまとめ髪がほどける姿を見たかったのだが、仕方ない。ついでに言うなら若い男の子の肢体を…
っと、いかん。
まだ会って1日目の従者にどんな邪な思いを抱いているやら。
枯れ女期間が長くなって欲求不満なのかしら。
アホなことしすぎて愛想尽かされても悲しいので適度にしよう。
ともあれ風呂は楽しみなので脱衣し浴場に向かう。
浴場は白い岩で出来ており、湯ももちろん乳白色。
贅沢にも水晶のような鉱石の飾りまである。
飾りというか幾つもの大きな水晶の塊が床から飛び出ている。もしかしたら岩風呂みたいに元々水晶のあった場所に作ったのかもしれない。
淡い光がより水晶を輝かせいた。
キレイ…とっても!
この厨二頭にしてはよくこのようなキレイな形にイメージできたものだと感心してしまう。
仄かに香るのは柑橘系の香り。
私の好みにジャストしている。
キレイ過ぎてリラックス出来るかわからないけどとりあえず入ろう。
幸い8歳児に退行していたからか髪は長くてもなんとか纏めて邪魔にならない程度には結い上げれた。
しかし1人で入るには面倒な髪の毛である。
よく物語とかで偉い人のお風呂シーンにメイドさんがお手伝いする場面があるが、今なら納得である。
全身を浸かりながら天井を眺めると天井は鏡張りであった。
どこまで続く白い世界に、私が黒く異質に見えた。
もちろん心の隅ではラブホかよ、とのツッコミは忘れていない。
異質で1人で、なんとなく寂しい。
そういえば、ここにきてからまだ白夜しか見ていない。1番最初に見えた景色にはもっと色んな人が居たような気がするのだけど。
こんな広いお城だし、流石に白夜1人じゃ賄えないよね?明日になれば他の人にも会えるのだろうか。
やばい。
気持ちよ過ぎて寝落ちしそう。
寝落ちしたら溺れる、と分かっていながら意識が吸い込まれそうになる。
あっこのまま寝たらなんかこの夢から目が覚めそうな気がする。
そんなことを思いながら目を閉じる。
「相変わらずここで眠るのが好きなのね。」
「?!?!」
思考が途切れる瞬間に入ってきた声に一気に頭の中が覚醒した。
瞬間開眼し目に入ったのは鮮やかな赤。
赤い髪に赤い瞳の美しい女。
いつの間にいたのか、声の持ち主は私を膝に抱き私の顔を見下ろしていた。
「驚きすぎて声も出ない?」
クスリ、と女は笑った。
驚き過ぎましたよ。
そりゃ、驚くでしょ。
ってか貴方
「誰?」
軽いウェーブのある赤い髪。鮮やかに光る紅玉のような瞳。白い肌に映えている。
女は少し悲しそうに
「白夜の言う通りね。」
言うとその人は霧のように消えて私の足側に霧の中から現れた。
「久方ぶりにお会いいたします、魔王ルシア。
永遠の血の契約のもとお側に侍る貴女様の配下にして愛の奴隷、ルビーランスにございます。」
私の足に手を添えて口付ける。
「ルシア?ルビーランス?」
ちょっと待て。今なんか不審な言葉が聞こえたぞ。
思わず体が後ろに下がりながら
「愛の…?」
声がうわずる。
「奴隷よ、ルシア」
言いつつルビーランスは私に詰め寄る。語尾になんとなくハートマークが聞こえる。
「あんなに毎日見ていたのにちょっと目を離した隙にこんな姿に変わって。前の姿を好きだけど今の姿も堪らなく素敵よ。ルシア」
豊満な胸を隠しもせずさらに詰め寄り私の黒髪をすくい上げる。
「色々忘れてるみたいって聞いたから、これからたっぷり思い出させてあげる」
男ならきっとよろめくような顔で笑う。
だがしかし私は女です。
どノーマルです。
綺麗な人は好きだけど、襲われるとなればまた違います。
綺麗だが、色々と怖い。
色々聞きたいニューワードがあるが、とりあえず誰か助けて。