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1回戦第2試合



 クラウディア、ヴァレリー vs. イル、ゾラ=ナダ



 ++++++++++++++++++++



「すまない、ジーク殿。力が及ばなかった」

 フィデリオが生真面目に頭を下げてきて、ジークはゆるく首を振った。

「俺の、方こそ」

「優勝者に賜る褒美を逃してしまったな」

「得るのは、一人だ。仕方ない。それに、俺は、数合わせ、だった」

「数合わせ、とは」

「うむむぅ、むうむう、むむうぅ」

 アーシェラが何やら謎の声を発した。ジークのとなりにちょんと腰かけ、膝いっぱいに焼き菓子やら果物やらを広げてそれをほおばっているのだから、伝わらないのは当然だ。フィデリオは眉根を寄せた。

「アーシェラ、口の中のものがなくなってから話せとあれほど」

「数合わせといいますか……団の方々から勧められての出場だったんです。イグニア、アグリア双方でよく知られていますし、試合を盛り上げるのに適任だろうと」

 代わってエリアスが苦笑交じりに説明した。ジークもうなずき、のんびりとした表情で目を細める。

「勝てば、皆と、うまいもの、でも、食えれば、それで、よかった」

「なるほど。そうだったか」

「……フィデリオ隊長は? どんなことをお願いするつもりだったんですか?」

 やっと食べ物を飲み下したらしいアーシェラが、逆に尋ねた。ああ、とフィデリオは苦笑した。

「痩せるための薬を所望したく思っていた」

「え? 隊長太ったんですか?」

「私ではなく、トロプフェンに効くものをな……ドラゴン用の痩せ薬というものは、おそらくまだ作られていないだろう」

 フィデリオのパートナー、山脈ドラゴンのトロプフェンは、羽根に軽い麻痺を持っている。飛ぶこと――引いては戦闘に加わる上で不利になるので、せめて負担を軽くしたいという心遣いのようだ。

「そっかぁ。トロさんの……」

「へぇ、お前そんなこと考えてたのかフィデリオ」

 そこへクラウディアが来た。同じ組のヴァレリーもその後ろに。フィデリオはうなずいた。

「今後も共に戦いたいと思っているのでな。クラウディア騎士長は何を求める? 興味があるな」

 問えばクラウディアは胸を張る。返答に迷いはなかった。

「あたしがほしいのは水竜の卵だ! 大陸に渡るには必須だろう!」

「ヴァレリー、は、どう、なんだ?」

「……私は」

 客席を見上げ、ひととおり見渡して、ドラゴン席に視線を留めるヴァレリー。その表情はなんとも複雑だった。

「ティーが。一緒に住みたいと。そう言うので。そのための。居宅を」


「ばれりー、ばれりー!!」


 目を向けられたことに気がついたのか、ティーカップが尾で席をたたき、嬉しそうに叫んだ。ヴァレリーはどことなく遠い目をした。

「そういうことです」

「ドラゴンと住める家か。はは、そりゃたしかに大問題だな」

「――昔に、比べて、面倒見が、よくなった、ものだ」

 ジークが笑い含みに言ったのはあからさまに無視をして、ヴァレリーはステージへ招くように優雅に腕を上げる。

「クラウディア騎士長、そろそろ参りましょう」

「ああ、やるか!」

 見やればステージの向こうでは、対戦相手がとうに準備を終えていた。


「……運命、だな」


 ゾラはイルの肩をたたいた。このトーナメント戦は、組も対戦相手も籤で決定した。完全なる運任せ。それにも関わらずこの巡り合わせだ。

 イルが黙したままうなずいた。赤い視線はある一点、ステージの反対側に向けられている。そこから注意を逸らさせるようもう一度肩に手を置く。

「つき合わせちまったみたいで悪いな、イル」

「! いや、ゾラと一緒に戦えるのは嬉しい。楽しみだ」

「そう言ってもらえると俺も嬉しいよ」

 イルがこちらを見てくれたことにほっとする。――放っておくのは、おそらくまずい。何しろ一回戦の対戦相手、クラウディア・ディメイは、イルにとって前のパートナーの仇だ。他でもない本人からそう聞いた。

 そのことを、今、どう思っているか。イルが纏う殺気から十二分に想像できる。

「なあイル。これはあくまで『試合』だ。だから……」

「わかってる。わかってはいるが、抑えがきくかわからない」

 見下ろしてくる瞳は真摯だった。同時に、若干情けなさそうでもあった。

「また、止めてくれるか、ゾラ」

 ゾラは目を細めた。

 同じ組になれてよかった。イルとクラウディアの仕合いを傍から眺めるしかなかったとしたら、胃も心臓も痛めそうだ。

「必ず止める。心配すんな」

「すまん……ありがとう」


『さてさて第一試合は騎士長コンビの敗退という波乱の結果でした! 次の試合はどうなるのかしらねー楽しみねーっ』


『イル騎士長とゾラ=ナダさんは普段から仲いいんですよねー鉄壁の相棒なんですよねー。見たところクラウディア騎士長とヴァレリーさんも仲悪くなさげだし同じアグリア騎士団出身だしってことで、これはコンビネーションの勝負になったりするのかな?』


『解説のオフィーリアちゃんもだいぶ調子が上がってきました! それでは! 間もなく第二試合開始になりまーす!』


「――第一試合、鍵は『場外』だったよな」

 刃の潰れた剣を抜きつつ、ゾラはイルに声をかけ続けた。イルがうなずく。大丈夫だ、聞いている。

「膝や背をつかせるより、押し出す方がやりやすいってことだ」

「そうらしいな。覚えておく」

「ま、あまり余計なことは考えんな。お前は自由にやりゃいい。俺がサポートする」

「わかった」

 イルも大剣を手にし、気を高めていった。

 その気迫はもちろんのこと、クラウディア・ヴァレリー組も感じとっていた。

「騎士長。お知り合いですか」

「まあな」

「何か殺気じみたものを感じますが」

「ああ、奴はあたしを殺したいと思ってるだろうよ」

「作戦はどうします」

 クラウディアは軽く声を立てて笑い、得物の槍を振った。

「お前は後ろ。あたしが前」

「……愚問でした」

 ヴァレリーが肩をすくめたところで、審判のアルバートがステージ中央に立った。

「準備はいいか。――貴様ら、試合のルールはわかっているだろうな?」

 アルバートもまた不穏なものを感じたのか、念を押すような前置きがあった。すると誰よりも早くイルが首肯し、それを横目に見て、アルバートの手が上がった。


「はじめッ!」


 細身の槍を掲げたヴァレリーの眼前で、クラウディアが挑発的に叫んだ。


「でかいの!! 来いよ!!」


 ヴァレリーはとっさに反応を窺う。眉根を寄せたイルが横手に剣を上げる。ゾラは全体に気を配っているようでいて、意識の比重はややイルに傾いているようだ。

 と、見て取った瞬間にクラウディアが前へ出た。ほんの半歩の差でイルも。

「クラウディア・ディメイ!!」

「そうこなくちゃなぁ!!」

 闘争心あらわなクラウディアの声は、同時にひどく楽しげだ。

 邪魔をするのは無粋というものだろう。

「ならば、私の相手は――」

 目を上げる。視線がゾラとぶつかった。自然と互いに微苦笑を浮かべたが、それもほんの刹那のこと。

 剣と槍が打ち合った。


『始まりましたー二回戦! まずはイル選手、クラウディア選手の一騎打ち! それぞれの相方は今のところ様子見してるみたいねー』


 衝撃が周囲にまで伝播するようだった。クラウディアの槍とイルの剣が滑り、火花を散らした。そこから少し距離を取り、ヴァレリーとゾラは間合いを計って牽制し合う。

 ゾラとこうして向かい合うのは初めてだったろうか。しかし容易に踏み込める相手でないことはすぐにわかった。

 血が躍った。これほど昂揚するのは久方ぶりだ。

 そんなヴァレリーの様子を視界の端に捉え、クラウディアは口の端を上げた。

「は、ヴァレリーわかってるじゃねぇか」

「何がおかしい!!」

「今回は邪魔が入らねぇからな。存分にやれるだろうが!!」

 イルのモーションはいささか大きく、遅い。とはいえもらえば大ダメージになるはずだ。まずは『当てさせない』を念頭に速い攻撃を繰り出すと、イルの表情がますます険を増していった。


『おっと、イル選手がやりにくそうですねぇ解説のオフィーリアちゃん?』


『うーんちょっと気が散ってるっていうか集中できてないみたいですね? 普段ほどのキレがないような。イル騎士長はどっちかといえば脳まで筋肉だっていうのにこれじゃその利点が』


『ねぇオフィーリアちゃん。これ会場中に聞こえちゃってるけど大丈夫なのよね?』


『あ』


 イルは奥歯をきつく噛みしめた。悔しいが言われている通りだ。いろいろと余計なことが気になって、クラウディアの槍をうまく捌けない。

 試合のルールに従って。熱くなりすぎてはいけない。場外へは出ないように――


「どうしたでかいの!! そんなもんじゃねぇだろうが、あ!?」


「……!」


 ギン、と金属が弾きあった。イルはそこで鋭く息を吐いた。

 やめた。あれこれ悩むのは性に合わない。ただ目の前の敵を倒すだけだ――いつものように。

 そう決めてみたら体がふっと軽くなった。

「!」

 はっとしたようにクラウディアが距離を取る。それを追って踏み込んだ。力任せに大剣を薙ぐ。迷いが消えた分の速度を読み誤ったのか、刃はクラウディアの槍を跳ね上げた。


「姐さん!!」

「クラウディア騎士長ー!! ファイトっすー!!」


 直属隊の騎士達が次々に立ち上がった。屈強な男騎士達の重低音が響く中、クラウディアは苦く微笑する。

「この……馬鹿力め!」

「騎士長!」

 さらに畳みかけようとしたところへヴァレリーが飛び込んできた。イルはとっさに剣を引き寄せ盾にする。そういえばもう一人いたのだった。クラウディアばかりを気にして忘れていた。

 幅の広い剣腹が槍の穂先をはじく。しかし次の瞬間、視界の隅でクラウディアが槍を構え直した。そちらへの防御は間に合いそうにない。

 だから、捨てた。ヴァレリーを睨んで次の攻撃に備える。

 同時にクラウディアの方からは軽やかな金属音が聞こえてきた。


「今度は俺の相手をしてくれねぇか」


 槍の軌道を逸らした切っ先を、ゾラはそのままの勢いで押し込んだ。身をひねって回避したクラウディアは、にやりと笑んだ。

「へぇ、あんたも割とやれそうだ」

「そりゃどうかな」

「謙遜すんな――よッ!!」

 槍の柄が横からたたきつけられる。ゾラは身を引きながら剣で打撃の勢いを殺し、眼前に迫った石突きを顔を反らせてかわした。

 なかなか速い。それに、重い。さすが巨漢のイルを臆することなく挑発しただけのことはある。


『騎士長同士の対戦から相手が入れ替わりました! この組み合わせもなかなかいい戦いになりそうねー?』


『うーん僕はヴァレリーさんのことはよく知らないのでっていうかあなたはゾラ=ナダさんを知ってるんですね――っていうかなんですかそのにやけ顔?』


『うっふふー。内緒よー』


「ルーファス、相変わらず楽しそうにしてんなぁ」

 ゾラは口の端だけで苦笑した。そしてすぐに意識の先を変え、冷静を欠かぬよう注意を払いつつ視野を広げる。

 己に冷静を強いる必要があるほどには、ゾラもまた熱くなりかけていた。試合前にイルにかけた言葉はそのまま自身に返るものだ。暗殺者の血筋に連なるゾラは、敵を前にすれば脊髄反射のごとく「どうすれば殺せるか」を考える。

 その衝動を抑えつつどう戦うかということは、悩みの種であり、同時に一種の楽しみでもあった。

 クラウディアが鋭い呼気と共に踏み込んできた。連続の突きを体捌きでかわしつつ観察する。

 ずいぶんと速いペースで攻めてくるものだ。ただの癖か、はたまた必然性があるのだろうか。女性とは思えぬ攻撃の重さを堪えつつ、研ぎ澄ませたゾラの聴覚は、先よりも乱れた息づかいを拾っていた。

「っ、騎士長――」

 ヴァレリーもクラウディアの変化に気付いた。しかしよそ見をしてばかりもいられない。

 気の逸れた一瞬に振り下ろされる大剣。横にステップして逃れる。藍色が鋭くこちらを睨んだ。眼差しは獰猛だが、理性を失っているというほどではないようだ。

 私は私で、こちらに集中するべきだな……


「ヴァレリー、ヴァレリ――――!!」

「負けるなー!」

「こら、ヴァレリー! 呆けるな! 足が止まっとるぞ!」


 せっかく心構えができたところだった。それを瞬時にぶち壊したのはいやというほどに覚えのある声だ。

 皆、来ていたのか――

 一気に表情が暗くなったヴァレリーを見て、イルも思わず客席を一瞥した。

「ずいぶんと、賑やかな応援がいる」

 はたと見開かれたヴァレリーの目に驚きの色がよぎったのは、戦いの最中に言葉をかけたからだろうか。それはすぐ元に戻り、気鬱の気配だけを残した。

 同時に穂先がこちらを向く。

「私の家族です。気に障ったのであれば、申し訳ない!」

 まるでレイピアのような構えで鋭く突き込まれる。これだ、これがやりづらい。次にどんな動きがくるか、予測が難しい。

 それでもカウンター気味に突き返す。互いに互いの衣服の一部をかすめ、すれ違って立ち位置を入れ替えた。

 気に障ったということはない。ただ、見るからに貴族然とした対戦相手の身内が妙に気安げなので、気になっただけだ。

「いや――平気だ!」

「それは、何より!」

 言い合いながらどちらも手は止まらない。――そろそろ、最初よりはヴァレリーの動作にも慣れてきた。

 イルは目を細めた。そして、不意に剣から片手を離した。


『あらー形勢が変わってきたかしら?』


『お、お、ゾラ=ナダさんがちょっと押してきましたかね?』


「ったく、無駄に体力ありやがる……!」

 的確な解説に若干の苛立ちを覚えつつ、クラウディアは大きく息を吐いた。汗で滑る槍を握り直し、乾いた唇を舐める。

 握力が落ちてきた。長期戦になるほど力も速さもガタ落ちする、その自覚は元よりあった。だからこそ初手から猛攻をかけたので、それで仕留められなかったときから勝利は徐々に遠のいていた。

 それでも、だ。

「勝つんなら……ここで、決めねーとな……!」

 乾いた唇を半ば無意識に舐めて濡らした。

 と――


『あっ! これは!』


 ルーファスが叫んだ。と同時に、ゾラの視線が一瞬泳いだ。

 見て取ったクラウディアは、渾身の力で打って出た。


「っらああああああああ!!」


 槍はまっすぐに、締まった身体の中心へ。

 捉えたかと思った。が、次の瞬間はっと目を見開く。

 腕が。目を疑うような間合いまで伸びてきていた。

 つかまれたと認識する間もなく平衡感覚を失い、気がつけば空を仰いでいた。


「ああああ姐さああああああん」


「あーっ、ヴァレリーっ!!」


「クラウディア・ディメイ、フォール! ……ヴァレリー・ヴィランタン、場外!」

 アルバートのコールに無理やり首を回すと、ヴァレリーはイルに剣をつきつけられて微苦笑していた。その手に槍はない。――あの体格差だ、力で押し込まれたことは容易に想像できた。


「よって勝者は、イル・バルセイン、ゾラ=ナダ・ヴォルフクローネ組とする!」


 襟元をつかんでいた手がはずれた。クラウディアも槍を手放し、大の字に両腕を拡げた。

「あーぁあ、負けちまったか!」

 すると上から逆さの顔がのぞき込んできた。軽々とクラウディアを投げ落としてのけた相手は、飄々とした表情に少し困ったような色を浮かべていた。

「本気でヤられるかと思いましたよ。さすがはアグリアの騎士長、強いっすな」

「どの口が言いやがる」

「いや、なかなか楽しかったもんで」

 手を差し出された。迷わずつかみ返して起き上がる。

 そうしてにやりと笑って見せた。

「あたしもだ」


『ななななんだったんですかさっきの! ゾラ=ナダ中級騎士の動き! いつ投げたんですか見えなかったんですけど!?』


『さすが速かったわねぇ。イル選手も、ごり押しに押し切った剛腕! お見事でしたー!』


 イルはつかんだ槍をヴァレリーに投げ返した。刃の部分を潰してあるとはいえ、強くつかんだので多少切れたようだ。

 問題はない。握るのに支障のない程度だ。

「イル!?」

 ゾラが気がついたらしく慌て気味に駆け寄ってきた。「大丈夫だ」と手のひらを広げてかざし、ついでにヴァレリーの方へも向けた。

「大したことはない」

「そうですか」

 小さく息を吐いたヴァレリーは、ふとどこか遠くを見るようにした。まるで誰かを捜しているかのように。しかし、つられて客席を見てからまた目を戻すと、何事もなかったかのように頭を下げられた。

「お相手いただきありがとうございました」

「あ、ああ。俺の方こそ」

「――イル・バルセイン!」

 呼んだのはクラウディアだった。

 彼女に名で呼ばれたのは、もしかすると初めてではなかったろうか。

「今日は半端になっちまった。また相手しろ! お前もだゾラ=ナダ・ヴォルフクローネ!」

 息を弾ませながらもこれで終わらせてなるものかとばかりのクラウディアの表情に、イルとゾラは顔を見合わせる。イルは渋く眉を顰めたが、ゾラは軽く噴きだした。

「もちろんです。機会があればお相手仕りましょう」

 そうして笑いながらイルを引っ張り、ステージを下りて行った。ヴァレリーもまたきびすを返し――懲りずに、客席を見上げた。

「どうしたヴァレリー。誰かいたのか」

「ああ、いえ……」

 いない。まだ見えない。

 いないのだろうか、本当に?

 諦め切れない心が我ながら女々しいとは思いつつ。端から客席をなぞっていく。今、見たい姿はティーではなく、家族ではなく、かのひとですらなく――


「……!」


 背の高い、シルエット。

 それは客席への出入り口近くに隠れるようなかっこうでたたずんでいた。フードを目深にかぶったローブ姿。それでも、彼からは強い視線を感じた。

 ヴァレリーはやっと、心から笑んだ。

「観ていてくれたか。私は健在だ」


 クロヴィ。


 唇だけ動かすと、ローブの人物はすっと下がり、物陰へと消えた。

 聞こえたとは思えないがそれでもいい。

 無二の友に、ヴァレリー自身も背を向ける。が、元より心まで離すつもりは毛頭なかった。




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