家がなくなったんだが問題ないな
時刻は…8時56分。
寝ぼけまなこで時計の針を確認、
覚醒
がばっとおきあがり、スマホを手に取り、
DDEアプリを起動させる。
果たして、新しい迷宮はできていた。
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発生値 :渓谷の洞穴
迷宮色 :紫
階層 :1階
コア魔力:9200
お金 :0G
必要維持魔力 1980/h
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所持品
▼アイテムボックスLV38(制限38個/380kg)
▼公式ダンジョン運営免許証(GOLD)
▼お守りLV25
▼奴属の首輪LV30
ユーザーは保護されておりません。
保護期間残り、0:0:0
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「ちょっ!?」
……おかしい。
何がおかしいって、迷宮作成後、設定されてあるはずの
24時間の保護期間が既にきれている。
何一つ迎撃用意してない現状、冒険者の一組でもきたら
すぐにでもお陀仏である。
丸一日寝過ごしたのか!?そんなバカな?
バグじゃないか?
いそいでwikiと2chを開こうとして―
ネットに繋がらない事にきづく。
「くそ。まだなおってないのか!?」
大地震後、電波が悪い事を思い出し、
いらだちを覚える。
スマホも圏外をつげている。
窓のほうに向けてもみたが何の変化もない。
あきらめるほかないだろう。
日付は寝る前と同じであった。
寝過ごしてはいないようだ。
気を取り直し
ゲーム画面の気になるもう一つの部分をみる。
その部分とは迷宮の必要維持魔力。
ランダム要素はあるが、
初期値は多くとも一時間100(100/h)以内には収まるはずだ。
そして画面で確認すると、
必要維持魔力 1980/h
…やはり、尋常ではない。
これだと、5時間またずにダンジョンコアの魔力が尽きて
迷宮崩壊エンドを迎えてしまう。
なんでこんな魔力を消費してるんだ?
つか、何にこんな魔力をつかっているんだ????
迷宮の詳細を開く、
すると、驚きのデータが続々出てくる。
「なぜ初めから、風呂部屋や厨房が???
瞑想部屋に、寝室、宝物庫…いやいや、いらんだろ?」
序盤では必要にならない
あるはずのない部屋が乱立していた。
迷宮内の建築物、部屋には、維持に一定のコスト(魔力)がかかる。
迷宮内の部屋は労せずボタン一つで消去できるものの、
壊した部屋がもう一度ほしくなったとき、
また新たに一から作り直さなくてはならない。
もったいない気はしないでもないが、
魔力の供給が確保されていない現時点では、無駄飯食いの部屋は消すしかない。
「…それとなんだこの『♯∬ёÅΨ♭』って!?文字化けしてるじゃないか。」
一連の出来事がバグであることを裏付けるかのような、
意味不明の文字の羅列。
この項目がもっとも魔力を大きく消費しているようだ。
文字化けのものも、まとめて、削除。
…ズズズズ
「っうお?」
と、そこでまた揺れがきる。地震だ。
「お、大きい。昨日のより大きいかも、これはやばいぞ。」
揺れは止む気配が無く、むしろとどまることなく強くなっていく。
あわてて、オレはこたつの中に非難する。
こたつで寝ていたので、頭だけかぶれば事足りる。
こたつの中は、うす赤く照っていて暖かい、
熱が頭にかかる。
電気は、相変わらず繋がっているんだな。
電気さえあれば、スマホも充電できるし
オレのエロゲ生活に問題なし、と心の中で思っていると
フッー
コタツの明かりが切れた。同時に頭の上から感じていた
熱がなくなる。
「ついに電気まで…だが、想定の範囲内だ。」
例え電気がこなくとも
太陽光発電型の携帯充電器を買っている。
オレのエロゲ生活にぬかりはないのである。
(どのような世界でも、オレはこのエロゲーを続け、攻略してみせる。)
ながらく続いた地震がやみ、おそるおそるコタツから
顔を出したそこには、家の原型はなった。
ないどころか、家の残滓すらなく
あるのは、
うすぐらい洞窟のようなところだった―。
つい最近こんな風景を、玄関からみた気もするが―
「さて、維持魔力も減ったし、新米冒険者(♀)を捕らえるための罠でも設置するか。」
昨日同様、現実逃避と、スルー能力を遺憾なく発揮し
オレ、外道卓のゲーム生活は続くのであった。まる。